失業者増加に対する、国の一般的な対応とは?ベーシックインカム?
不況などで経済が落ち込み、若者を中心に失業率が高くなると国の活気も落ちていきます。
そんな時に、国の政府はどういった政策をとるのが一般的なのでしょうか?
理論1
理論上、
”税金を減らすことで国民の負担を減らし、消費を促せる”
ことになっていて、
”消費が増えることで、その国民の需要を満たすために会社は製品をもっと作り始め、そのために労働力が必要になり、雇用が生まれる”
わけです。
現実
しかしこれは理論上の話で、実際には、
減税しても多くの人が消費よりも将来のために貯金する可能性が高いため、
減税から消費を促すまでにも時間がかかり、
消費を促せたとしても、物価がそれに応じて上がっていくので国民の負担としてはあまり変わらなくなる、
といった問題もあります。
減税以外の不況脱出対策としては、お金を借りやすくするというのもあります。
理論2
理論上、
”利子を下げることでお金を借りやすくすれば、消費や投資増やすことができる”
ことになっていて、
”消費が増えたことで、その国民の需要を満たすために会社は製品をもっと作り始め、そのために労働力が必要になり、雇用が生まれる”
わけです。
現実
しかしこれも理論上の話で、実際には、
国が多額の借金を抱えている時には、
利子を下げてもなお国の銀行はお金を貸したがらないため、効果が出にくいことがあります。
ジレンマ
国が雇用を増やすための規制を厳しくすると、会社は面倒を避けるために雇用の数を減らすことも考えられ、
かといって
国が雇用を増やすための規制を緩くすると、短期雇用などが増えて結局雇用環境は安定しない、
という問題もあります。
国民に対して減税すると貯金に回ってしまうことが多いことから、会社に対して減税する方が新人教育などの新規雇用にまわせるお金が生まれ、失業者を減らすためには有効であるとも言われています。
しかし、この減税した分の財源は政府が負担するため、借金をためこまないよう注意しなくてはいけません。
都市部など雇用競争の激しい地域から、
雇用の足りていない地域へ労働力を移動させることも効果的とされていて、公共交通機関の充実なども長期的に失業者を減らすためには大事になってくるのです。
参考: Economics Help, the balance
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[ベーシックインカムの各国の実験と、良い点、悪い点]
ベーシックインカムとは?
コロナウイルスによる経済への不安からベーシックインカムが再注目されていますが、アイデアとしては以前からあげられていて、今まで各国が試験的に制度を実施し、影響がどうなるか考察してきました。
ベーシックインカムのコンセプトとしては、
"生活に必要なお金を支給することで、貧困をなくそう" というものなのですが、その制度の規模には差があります。
”その人の経済状況などに関わらず、その国の人全員がベーシックインカムを支給される” という政策は Universal Basic Income(UBI) と呼ばれていたり、貧困層だけに支給されるもの、失業者だけに支給されるもの、といった色んなアイデアがあります。
実験結果の例
アラスカ
1982年から石油の貿易で得ている収入をベーシックインカムに回すという政策が行われていて、”支援受給者の多くが緊急時に備えて貯金する” という結果がでました。
フィンランド
失業者を対象とした2年間のベーシックインカムが2017年に始まり、"受給者の精神的な負担は軽減するものの、就業率の向上にはつながらない" という結果がでました。
ケニア
一つのチャリティー団体が2011年から貧困層を対象とした一年間のベーシックインカムを始め、”たばこやアルコールではない日用品や医薬品、教育などへの消費と生活環境の向上や家畜への投資が増えた” という結果がでました。
インド
2011年から一年間男性、女性、子どもへのベーシックインカムが支給され、”生活環境と就学率の向上” という結果がでました。
カナダ
1974年から3年間、貧困層にベーシックインカムが支給され、"身体的、精神的な健康状態の向上" が見られたものの、国政内での反対派との争いにより長くは続きませんでした。
ドイツ
NPOがクラウドファンディングをつかって世界中の人々を対象としたベーシックインカムを行い、”受給者の精神的負担の軽減” という結果がでました。
イラン
2011年からガス代や電気代、食べ物などの日用品への支援を減らす代わりに、一定地域ではなく、国内規模で各家庭にベーシックインカムを支給し、"働くことへのモチベーション低下には繋がらない" という結果がでました。
ベーシックインカムの良い点
- 自動化を進展させ、人件費を抑えることができる
- 自動化によって職を失った人を支援できる
- 経済的な理由による精神的負担を減らすことで、様々な機会へ足を延ばすことを促せたり、アルコールやたばこへの依存や犯罪の防止ができる
- 他の支援政策では必要な ”対象者を選別する” という手続きを減らせる
- ”生活支援をしてもらう” という精神的負担を軽減できる
- 主婦や介護にあたってる人など給料がでない仕事をしている人が収入を得られる
ベーシックインカムの悪い点
- コストが高いために資金調達が大変
- みんなが一定の収入を得れば、モノやサービスの値段も上がる
- 外部からの支援への依存が強まる
- 支援の必要ない富裕層にも支給される
参考
Investopedia, The balance, Vox, The Borgen project
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