見出し画像

アイデンティティ

ニュースを見ていると、よく「事故に遭われたのは、会社員の〇〇さん」といった表現が使われます。

なんでわざわざ「会社員」と説明するのか不思議ですよね。たぶん、私たち日本人はその人のアイデンティティ(identity)を所属する組織からイメージするからだと思うのですが、「会社員」であろうが「会社経営」だろうが「主婦」であろうがそこにどんな意味があるのでしょう?

また私たちは、姓でお互いを呼び合います。これも、〇〇家の方という位置づけで相手を見ている。

ときどき、謙遜して『ぼくは仕事人間だから』と言う人がいますが、これは恐ろしいことです。自己のアイデンティティ(identity)を、会社に求めると、退職した後に、糸の切れた凧状態になりがちだからです。やることもなく、趣味もなく(仕事が趣味)、友達もすべて仕事関係だったので会うこともなく、...となると、ご家庭で『粗大ごみ』扱いをされてしまいます。悲しい末路です。

また『仕事人間』を英語に訳すと、概して"workaholic"になりますが、"workaholic"を日本語に訳すと『仕事中毒』となる訳で、退職後は中毒症状に苦しむことになってしまいます。

学校を卒業したら、就職して『会社員』や『公務員』になるというのが、ほとんどの日本人の思考回路です。
そのため、多くの日本人は、「その思考回路を持っていない人」を理解する能力を持てなくなってしまい、就職しない人を『フリーター』や『浮浪者』といった社会からつま弾きされた人...的なアイデンティティ(identity)を
相手に持つ傾向が強いものです。

異文化コミュニケーションとは、異なったアイデンティティ(identity)同士の人たちが、お互いの違いを受け入れ合い、仲良く交流することだと言えますが、日本人のアイデンティティ(identity)が、所属組織にあるとすると、外国人からは、まるで生産ラインで規格通りに製造される「工業製品」のようなイメージになります。

笑い話ですが、ある日本人が自己紹介で、英国人に「私は北海道大学を卒業しました。これは元帝国大学の一つです。」と話していました。それを聴いていた英国人のは皆さん『鳩に豆鉄砲』状態だったのを思い出します。
日本人は、大なり小なり同じような感性を持っていることは事実なのだと思います。所属組織の格付けをベースに、自己評価をする人は、相手も同様に「所属組織の格付け」で評価する癖を持っているものです。

皆さんにお願いがあります。より豊かな人生を生きるためにも重要なことなのですが、所属組織に頼ることなく、ご自身のアイデンティティ(identity)を『素のあなた』として、再認識して欲しいのです。

高度人財と呼ばれる外国人と本当の意味でのコミュニケーションをしたいのなら、それがとても重要です。あなたの肩書や所属組織は、は単なる「かりそめ」です。『素のあなた』と高度外国人財は話をしたいのです。

貴社の高度外国人財との間で、何か違和感を感じることがあったら、相手に原因を求める前にまずは『素のあなた』から探してください。
きっと、気が付かなかった道を見つけることができます。

島崎ふみひこ
異文化コミュニケーション研究所(R)
https://www.globalforce.link/
日本企業のダイバーシティ教育、高度外国人財の採用・活用

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?