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日本人の英語の実力は?続編

次に、世界50カ国以上で半世紀以上に渡り英語教育に携わっている語学学校・EF Education First (以下、EF)が作成したレポートに触れておきたい。

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                                画像出典:https://www.ef.pl/aya/

同社が独自開発したEF英語能力指数(EPI)*2の調査結果をまとめたもの。初版2011年のレポートでは、2007年~2009年にかけて計42カ国で行われたテスト(2,368,730が受験)の結果をまとめた形式になっているが、これ以降は年次の結果を毎年発行している*1。

4種の異なるテストの結果をまとめたものらしい。うち2つはインターネット上で無料公開されているテスト*2。残り2つは同社運営の語学学校入学時の実力試験という説明がある。

テスト受験者は基本的には任意希望者であり、自分の英語の能力水準を試そうと自発的に行った者、または一歩踏み込み、英語の語学学校に入学を希望したものということを意味するので、当然のことながら、すでに英語ができると自負している者や、英語に無関心な人は対象外となる。

最近では、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)*3のレベルに基づいて評価できる仕組みになっているのは有益だ。

さて、2017年度レポート*4の気になる結果であるが、まず各国の結果は「非常に高い英語能力」、「高い英語能力」、「標準的な英語能力」、「低い英語の能力」、「非常に低い英語能力」と5段階のランクに分類される。

ランキングにカウントされた計80カ国の地理的分布を大まかにみてみると、北欧諸国が「非常に高い英語能力」にランクイン。「高い英語能力」には、中央ヨーロッパ地域諸国、「標準的な英語能力」は南欧諸国、中南米一部。一つ飛ばして「非常に低い英語能力」には中東・アフリカ諸国という分布だ。日本が入っている「低い英語力」カテゴリーには、東南アジア、中南米、ロシアなどが見られる。のだが、日本のランクは「低い英語能力」と芳しくない。80か国中37位で、30位の韓国、36位の中国を下回った。2011年から2015年まで、日本は「標準的な英語能力」レベルであったが、2016年以降は「低い英語力」へランクを落としている。

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国別の受験者数などのデータが不足しているので、他国との客観的な英語能力の比較は困難だ。しかし、2011年からテスト実施の条件や内容などが変わっていないと仮定すると、日本のランクが低下したとする調査結果は楽観視できない。

*1 EPIレポートバックナンバー
*2 https://www.efset.org/ja/english-score/
*3 https://www.coe.int/EN/web/common-european-framework-reference-languages/
*4 https://www.ef.com/__/~/media/centralefcom/epi/downloads/full-reports/v7/ef-epi-2017-japanese.pdf

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