体制転換期の経済構造の変化(1)

体制転換により経済は制度面における変革に成功しただけでなく、構造面においても大きな変化遂げている。

1)民間企業が主役へ
1980年末期には国営企業がGDPの約70%、鉱工業生産の約90% を創出していた。体制移行後には、GDPの民間企業シェアは1990年の31%から2001年の72%へと拡大している。また、小売総額に関しては、1989年に民間セクターが創出したのは全体の約60%であったが、2001年には約98%にまで達した。

2)貿易の重心は東から西へ
共産主義時代には国家によりコントロールされていた貿易も自由化した。具体的には貿易解禁と並んで、国内交換性回復、価格設定の自由化、関税障壁の段階的削減、外資参入の自由化などの政索により貿易は息を吹き返した。輸出総額を見てみると、1989年における民間企業のシェアは僅か4.9%だったが、2001年には86.4%まで爆発的に上昇。輸入面でも同様に、1989年の14.4%から2001年の90.7%まで民間企業のシェアは増加している。

ポーランドに進出した外資系企業の貿易総額に対するシェアも年々増加している。1994年における輸出の25.0%、輸入の32.9%が外資系企業の貿易額であったが、2000年には、輸出56.2%、輸入54.2%と貿易総額の半分以上を占めている 。


貿易相手国も東欧から西欧へと重点が移った。対EU 貿易は1989年の25%から2001年の75%へ拡大。その後隣国ドイツが最大の貿易相手国となり2004年には、全輸出の32,5%、輸入の約25%のシェアに達している。貿易の対象も変化しており、輸出・輸入両面で加工品が徐々に増大し非加工品は減少している。だが、貿易収支に関しては、プラスに転じた1994年(対GDP0.7%)、1995年(対GDP4.2%)を除き、暫くマイナス成長を記録した 。

このように、体制転換からEU加盟まで約15年間で、経済活動の重点移動は東から西へと確実にシフト。そしてEU 加盟によりポーランドが西欧市場に統合され、EU 圏内のヒト・モノ・カネの自由移動貿易を享受するに至る。

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