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言葉に力を

某月某日、忙しい日々は続く。製品の不具合対応から、日本と欧州の間の意思疎通の食い違い、億を超える高額案件なのに相手が何を考えているかイマイチよくわからないサプライヤの対応…

この目まぐるしい中で、やはりベターと思える行動をする確率は上がっている。最近は自己管理も良く、毎日散歩もして「善い」生活をしているからかもしれない。

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家の近くの映画館とレジデンスの複合施設、Filmworksにとうとう看板がついた。まぁ、僕が住んでいる間は完成しないだろうけど。

散歩の後、Historical Royal Palacesの企画で、Lucy Worsleyを含む3人の歴史家がアン・ブーリンの最後の数日間について語るWeb企画に参加した。一番右の女性がLucy Worsley。彼女は、僕が日本に一時帰国した際に、「ヘンリ8世と6人の妻たち」というドラマシリーズを観て、その明快で面白い解説に惹かれていた。僕より1回り年上だが、すごくチャーミング。こんな風に歳を重ねたいと思う憧れの一人だ。それでいて、言葉とジェスチャーが噛み合って力がある。言葉の力、というのは努力して得られるものかもしれないが、彼女の日頃の行い、ポリシー、想いなどから自然と湧き出るものだと思う。それは、この画像を見ても明らかだろう。この企画のために、しっかり準備している。画質や音響の準備もバッチリ。雰囲気に合った着こなし、アン・ブーリンをイメージしてデザインしたネックレスを着用。一番左のトレーシーがハウリングを起こした時も、視聴者のチャット内の会話から状況を察知してすぐに対処。人間として完成されている。

うん、こんな風になりたい。

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トラブルもあり、短く感じたが、話も興味深いものが多かった。アン・ブーリンの若くて丸顔の肖像と、35歳の時の痩せて面長になった肖像を並べて、ヘンリのせいかなと戯けて見せた。伝統的なMay dayを過ごしていた5月2日、アン・ブーリンは逮捕されてGreenwichから、Tower of Londonへ移送される。その時に使われた門なども紹介してくれた。裁判が行われたGreat hallのあった場所、その時の服装、裁判の状況を教えてくれた。姦通罪などの17の訴因のうち、15は同じ場所でしたとされ、あり得ない、無実だと思われた。アンが頑なに無実を主張したのが逆に災いし、

「強い女は魔女に違いない」

と思われたのではないか、とも。僕は強い女性に憧れるし、その眼差しがたまに僕の中に映ったりするけどなぁ。

そして、残念なことに処刑へ。もともとは18日に予定されていたが遅れたそうだ。誰も処刑したくない雰囲気の中、何故か手違いでゲートが開いたままで、数千人に見守られながら斬首されたという。彼女の棺のそこに名前はなく、ただ、St. Peter Chapelに収められた。エリザベス1世の時代に、ムーア教授が調査して、アンの頭蓋骨を発見したそうだ。それまでは、ずっと無名のまま、孤独に眠っていた、その強さ。

ヘンリ8世は後悔しなかったのか、との視聴者の問いに、「決して」。でも、ハンプトン・コート・パレスには、ほんの少しだけ、H&A(Henry and Anne)の紋章が残っているらしい。

僕のサマリだと全く面白くないと思うが、彼女の説明はものすごく面白いし、他の出演者も引き立てる。イギリスの歴史に興味がある人は、是非彼女に注目してほしい。以下に、彼女が説明している、18世紀初頭に在位したアン女王とケンジントンパレスの紹介動画を貼っておく。


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