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「ルックバック」は二度完結する
映画『ルックバック』
上映時間58分。
特別料金設定(割引等一切適応なし)で、大人も子どもも一律1700円。
これを高いと感じるか安いと感じるかは、作品の良し悪しがダイレクトに影響しそうだなぁと思いつつ、レイトショーでしっかりと観てきました。
チェンソーマンの作者、藤本タツキ先生の読み切り漫画「ルックバック」。
小学生の頃自分の中にもあった
「絶対誰にも見られたくない隠し通しておきたい感情」
みたいなものをストレートに見せ続けられながら、「藤野」と「京本」2人の少女の繊細な心の動きを丁寧に丁寧に描写したこの作品が、アニメ映画として動き出したら、一体どんな仕上がりになるんだろうと、ずっとワクワクしていました。
結果、これはもう映画として大傑作なんじゃないでしょうか。
ものすごいものを観させてもらったよ私は。
「原作に忠実」を超える肉付け方があるだなんて…!!
むしろこの映画を観ることで、ルックバックの世界をより深く理解できた気がするし、原作を読んだ時に自分が抱いた感情の答え合わせがここでできた気がします。
(あっ…あのシーンってこう動くんだ)
頭の中にある原作のあの一コマやこの一コマが…
想像を超えた角度で動き出す、不思議な感覚。
まぁ漫画をアニメ化するってそういうことではあるんだけど、
映画「ルックバック」は単純に“漫画をアニメ化した作品”ではなくて、
“原作の一コマ一コマを一つずつアニメ化して出来上がった作品”なんですよね。
私の感覚として。
(この違い…伝わってほしい…!)
漫画と同じところでたまらず泣いたし、映画で理解が深まったことでより濃ゆい涙となりました。
随所に挿入された音楽も、映像との重なりが本当に素晴らしかったし、作画も原作の質感を1ミリも壊していない。
そして「藤野」と「京本」2人の声を担当するのは、どちらも声優初挑戦の方たち。
この声優さんたちが、リアルで本当に素晴らしかった…。
まさに「藤野」と「京本」の肉声がそこにあったのです。
※個人的に、作中2人が描く4コマ漫画のキャラの声が、森川智之さん&坂本真綾さんだったということをエンドロールで知って、その贅沢さと主人公たちとの対比となる意図を感じ、腰抜けました
すごい…。
…すごいすごいすごいすごいすごいすごいすごい。
すべてが凄すぎる。
きっと誰の中にも、大なり小なり「藤野ちゃん」はいて。
瞬間瞬間の自信はあっても、絶対的な自信なんてもんは結局どこにもないんですよね。
どこまでいっても自分自身に対する評価は、周りの人たちがどう自分を見ているかを推しはかった上での、相対的なもので成り立ってるんかもなぁって、ぼんやり感じて…。
少し悲しくもあり、生身の人間臭さが心地よくもあり。
具体的に何かが変わったわけじゃないのに、自分への客観的な見え方が少し変わるだけで、尋常じゃないくらいのエネルギーが生み出されちゃう時の、あの現象を見事に作品にした、「ルックバック」。
(他にも作中の繋がりや構成など、ものすごいところはたくさんあるけど、今回は映画の感想なので割愛)
ここでもう一度「ルックバック」が再完結した、
そう思えるほどの素晴らしい映画でした。
原作漫画を読んだ人は何としても観るべきだし、
映画から入って心動かされた人は、必ずや原作も読んで、漫画にしかないルックバックの行間の良さもぜひ味わってほしいです。
(いや、でもやっぱり原作→映画が1番おすすめ!!)
1700円払ってお釣りくるくらいの感動と衝動と焦燥と希望が得られるので、公開されている間にぜひ。
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※入場者特典「原作者・藤本タツキの原作ネーム全ページ収録」
原作コミックと同じボリュームのネーム丸ごと一冊。
これがグッズ販売ではなく無料特典という驚異。
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