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船木結さんがアイドルを卒業した。

12月9日(水)

推しの船木結さんが今日アンジュルムとハロプロを卒業する。
ずっとその日が来ないといいのに、いやこのまま卒業延期を重ねて卒業しないんじゃないかと、そう思っていた。けれどついにこの日が来てしまった。
仕事の会議が長引いてやきもきするも、なんとか6時前に退勤。ちょうど一週間ぶりの日本武道館へ。開演直前に二階東スタンド後方の自分の座席にすべりこんだ。


アンジュルムコンサート2020〜起承転結〜船木結卒業スペシャル

船木さんはいつも可愛くて美しいけれど、今日センターステージに登場してスクリーンに映し出された船木さんは、比喩でなく文字通り発光してぴかぴかに輝いていた。神々しい。まぶしい。客席は最初からライトグリーンの光を掲げている人が多い。

オープニングから立て続けの4曲。やっぱりアンジュルムはみんな赤の衣装が似合う。最初から目をうるうるさせているメンバーも。
センターステージで東西南北四カ所にせり出した小さなステージにメンバーが代わる代わるやってくるので、思っていたよりも距離が近く感じた。それでも、目の前の東ステージではなく船木さんがいる場所を目で追ってしまう。同期の川村さんと二人並んでペアで踊っているのを見るだけで泣けてしまう。

2曲目の「赤いイヤホン」あたりまではメンバーの緊張が伝わってくるようだった。8月に出たばかりの新曲「ミラー・ミラー」を生で観るのは初めて。特徴的なシンメトリーのダンスが、ステージ上だとさらに見栄えがする。竹内さんがいつも以上にセクシーかつ鬼気迫るパフォーマンスで本当にかっこいい。
ひさびさの単独ライブ。それも日本武道館。客席は通常の半分しかお客さんを入れていないし、声を出したり大きく身体を動かしたりはできないけれど、それでもたしかに会場が熱狂していた。
ファンに見送られて卒業したいという船木さんの意志を汲んで、こうして観客を入れてライブを実現してくれて、本当にうれしいし感謝しかない。

「学級委員長」を歌う新メンバー3人はみんなフレッシュで可愛かった。新メンバーがはけた後の4曲は大人っぽい曲続きで、そのギャップにやられた。新メンバーが成長したら、先輩たちのようにこういう表現の幅を身につけていくのかと思うと楽しみすぎる。
特に素晴らしくて印象に残っているのは「私の心」。ラストサビの前にメンバーがゆっくりと円を描くように歩いて位置を移動する。伊勢さんの姿勢良く凛と歩いていく姿が美しくて見ほれていたのだけれど、同じときに、歩き方や肩の落とし方や全身で「とぼとぼ」としか言い表せないような哀愁を表現している船木さんに気づいて背中に電流が走った。そして、間奏が終わって最後の歌詞「私の心全然見てくれない」という船木さんソロ。歌い終えてもカメラを見ず伏し目がちにせつなげな表情を浮かべている船木さんの表現力に感動して、心がぎゅっとなって涙が止まらなくなってしまった。ダンスも含めた表現の道を追求したいっていう気持ちがすごくよくわかった。歌やダンスや表情や所作の全てが船木さんの表現の世界を作っていた。

謎の紙コップ積み上げVTRを挟んで衣装替え。グリーンや青基調の、ピーターパンみたいな衣装で登場した船木さん+メンバーひとりのメドレー。竹内さんも佐々木さんも、船木さんと一緒に「可愛い」をやりきっていてすごい。上國料さんと一緒に歌ったのが「十人十色」で二人で披露していた「自転車チリリン」だったので、前奏からまた泣いた。そして、川村さんと船木さんの「Uraha=Lover」が本当にせつなすぎてよすぎた。選曲が2人にぴったりだった。船木さんの低音がしっかりして安定した声は誰とでも相性がよくてすばらしいのだけれど、川村さんとは特に合う。
そして、新メンバーが加入するまで最年少だった鈴ちゃんの成長をとても感じた。正直、これまで鈴ちゃんのパフォーマンスに惹かれたことはそれほどなかったけれど、ダンスも大きくて堂々としていたし、笑顔で楽しんでいるのも伝わってきてかっこよかった。
新メンバー3人+船木さんの「寒いね」。新メンバーそれぞれ良いけれど、やっぱり船木さんの表現力に圧倒されてしまう。二度の卒業延期がなかったら、この3人と船木さんが出会うこともなかったんだよなあと思うと感慨深い。そして新メンバーの川名さんと船木さんは年齢がひとつしか違わないのだ。やはりあまりに早い卒業だと思わずにいられない。

それでも、メドレーに続いて始まった後半戦。どの曲も良すぎて、メンバーがみんなこのライブを楽しみ尽くすように全力で歌い踊っていて、船木さんのパフォーマンスはどの瞬間もすばらしくて、一つも見逃したくなくて夢中で見ていると、「もったいない」とか「まだ卒業しないでほしい」という感情がもうそれほど姿を見せないことに気づいた。感覚を研ぎ澄ませて、身体中でそのパフォーマンスを感受しながら、これがアイドルとしての船木さんの、8人のアンジュルムの集大成のパフォーマンスなんだということを少しずつ納得していったような気がする。
それでも時間が過ぎていってしまうのがさびしいのには違いなくて。

たいきばーんせーと声を出したくて仕方なかった「大器晩成」の最後、正面を指さすポーズのままぴたっと静止する船木さんの表情がほんのわずかにゆがんだのを見て、ああ、終わりが始まってしまう、と思った。
そして、船木さん以外のメンバーが、バトンのように声を繋いでアンジュルムの卒業ソング「交差点」を歌い始める。歌詞が全部船木さんのこととしか思えない。泣いてしまって歌えない年長のメンバーを見守りながらもらい泣きしつつ微笑む船木さん。そしてそれを見てもらい泣きする私。対照的に泣かずに堂々と力強く歌いきる鈴ちゃんを見てその覚悟にまた泣いた。とにかくずっと泣いていた。

ライブ本編が終わってしまった。
アンコールまでの、船木さんの研修生加入から今までの軌跡映像を見ていたら、本当に、「起承転結」という公演のタイトルがしっくりきすぎるなと思った。いろんなことが、本当にいろんなことがあって、今日という日が船木さんのアイドル人生の結びなのだった。

アンコール、ひとりでチョコレート色のドレスで登場した船木さんが「帰りたくないな。」をソロで歌う。ずっと、船木さんがアンジュルムの仕事の帰り道に「帰りたくない」って言うとメンバーに軽くあしらわれる、なんて話をしていたので、本当に自分の実感としてこの曲を選んで、卒業するこの日に大事に歌っているのだなあと感じられた。どこまでも伸びていく歌声はずっと聞いていたいくらいものすごく素敵だった。夕焼けの中を並んで歩いて歌いながら帰るメンバーの姿が思い浮かんだ。
船木さんが手紙を読むシーンでは泣かせるだけでなく笑わされもして、それがとても船木さんらしい。言葉を大切にするあまりなかなかブログを更新したり好意を言葉にしたりできない船木さんが「アンジュルムが大好き」と言い切ってくれる。その、大好きという言葉の重み。

続く「46億年LOVE」は、新メンバー3人を加えての11人で。モノトーンのアニマル柄の衣装のメンバーたちの中に、大地や木の幹を思わせる茶のドレスをまとった船木さんはとても馴染んでいた。会場は一面のライトグリーン。武道館にアンジュルムのいい意味での野生みが溢れていた。

「46億年LOVE」はライブの定番で、明るくて楽しくて盛り上がれて大好きな曲だし、「夢に見てた自分じゃなくても真っ当に暮らしていく」というパートをずっと歌ってきた船木さんに勇気づけられてもいた。
けれど船木さんの卒業発表があってからは、入りたかったモーニング娘。じゃなくてカントリー・ガールズに加入して、さらにアンジュルムを兼任することになって、それから卒業を決めるまでの船木さんが、どんな気持ちでこのパートを歌ってきたのかなあと想像すると、少し聴いていてつらかったりもした。
アイドルとしての船木さんの「夢に見てた自分」がかなっていたら、もっとずっとアイドルを続けていてくれたのかなとか、考えても仕方のないことを考えてしまったりもした。だから、その直後のMCで同期の川村さんが「ふなちゃんならどんな夢でもかなえられるから」って言ってくれたのに本当に救われて、今日一番泣いてしまった。そうだ。アイドルを卒業する船木さんはこれからどんな夢を持ってもいいし、どんな夢だってかなえられる。
川村さんと船木さんのMCの後、来場者への感謝と船木さんへの思いを、選び抜かれた美しい言葉遣いでよどみなく述べる笠原さんに感嘆する。笠原さんのコメントを聞いたりブログを読んだりするといつも、この人は人生何回目なんだろう、と思う。笠原さんは真摯な表情で、船木さんに対して「一人間としての幸せを祈ります」と伝えていた。上國料さんや佐々木さんや竹内さんの、船木さんの努力を讃えて思いやる愛に溢れたMCも素敵だった。

この日記を書き始めてから一週間が経った。ライブから帰宅した直後から思いを書きとめはじめて、でも書いているうちに泣いたり飲み過ぎたり映像を見返したり泣いたりしてしまって、なかなか進まないまま一週間が経ってしまった。
こうして書いていて(まだまだ書けていないこともたくさんあるけど)改めて気づいたのは、このライブを通して、船木さんだけでなくほかのメンバー全員のことを今まで以上に好きになったなということだ。みんなパフォーマンスが魅力的だったのはもちろんのこと、船木さんへの思いをそれぞれの方法で形にしていて、船木さんがどれだけ愛されていたか伝わってきてうれしかった。船木さんが卒業してしまっても、このメンバーが作っていく新生アンジュルムはきっとすばらしいグループになるのだろうと思った。

ラストナンバーはもちろん「友よ」。感染症対策で、ぎゅっと近づいて円陣を組む演出が変更されていて、メンバー同士が間隔を保ったまま歌っているのがすこし寂しかった。でもそれは、どんな状況に置かれても、たとえ距離は離れていても心はひとつ、というメッセージにも感じられて、だからもう、やっぱり最後までめちゃくちゃに泣いてしまった。

最後、会場中に手を振りながらメンバーがステージを後にしていって、その最後尾で、ステージを去る直前に、こちらをくるりと振り返った船木さんは。

満面の笑顔でキューティーむすぶたんポーズを決めたのだった。

ライブ中ほぼずっと泣いていたのに、その愛らしい笑顔につられて私まで思わず笑顔になってしまった。
瞬間、私の心をくもらせていたものが全部晴れた。理屈じゃなく、魔法がかかったみたいに急に、私は大丈夫だ、と思えた。今この瞬間だけ笑って心が明るくなったとかそんなんじゃない。突如現れたキューティーむすぶたんが、私の、そしてアイドルとしての船木結に魅せられた全ての人たちのこの先の人生を、客電がついても褪せることのない強い光で照らしてくれた。後悔やさびしさやつらい思い出、きっと心のどこかにしまってあるのだろうそういうものの存在を少しも感じさせず、最後の瞬間に彼女が思うアイドル像を全力でやりきってくれたから、そしてそれを目に焼き付けられたから、私はこの先もずっと大丈夫。

私の推しは最後の瞬間まで最強最高のアイドルだった。出会えて、好きになって、応援できて、卒業を見届けることができて本当によかった、と心から思った。

鳴り止まない拍手に、船木さんが一人でもう一度ステージに現れてくれた。さっきまで最強最高のアイドルだった船木さん。深々とお辞儀をする、今日アイドルを卒業した船木さんにずっとずっと拍手を送った。感謝と祝福と。心の中で名前を呼んで祈った。
ずっとずっと幸せでいてください。これまで、ファンに惜しみなく与えてくれていた優しさや才能や時間を、これからはどうか自分のためにめいっぱい使ってください。いつだって私たちを幸せにしてくれたその笑顔が、会えなくなった後もずっとずっと続いていきますように。

同じく会場にいたロッキーが、「感情を受け止めきれなかったら10分でも20分でも話を聞くよ「と言ってくれていたのだけれど(優しさ!ロッキーありがとう!)、キューティーむすぶたんパワーで大丈夫になったので、家にまっすぐ帰った。
大丈夫大丈夫と思いながら帰って、今日の感想を書いたりメンバーのブログを読んだりしながら酒を飲んで、気づいたら泣きながら眠っていた。

#ハロプロ #アンジュルム #船木結 #卒業 #日記 #エッセイ

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