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魔女集会とバチェロレッテ

10月11日(日)

朝起きて溜まった日記を書く。明日〆切の文章添削教室の課題に全力投球する前に書き終えたかった。
キムチ入りのオートミールなどを食べて、無事日記を書き上げてアップする。

昼から出かける支度。やっと雨が上がったのでライダースが下ろせた! 合わせたのは昨年買った薔薇模様の黒いゴスロリ風ワンピース。目元をパープルで塗り、黒いマスクをつけてヒールで出かける。
道すがら子どもに振り返られる。パニエは仕込まなかったのになあ(そういう問題じゃない)。
なにを隠そう、今日の予定はしゃんぶるぶらんしゅの相方メイコとの“魔女集会”こと、アンダーズ東京のハロウィーンアフタヌーンティーである。
ゴスロリワンピ×ライダースの私も私だが、虎ノ門ヒルズ駅で待ち合わせたメイコはといえば、襟元に猫がかたどられた白ブラウスに、後ろの裾が長くマントのようにはためく黒の厚手のロングワンピ(裏地は真紅)だった。箒に乗ったらすぐに飛んでいけそうだ。魔女みのある2人はヒルズ内で迷いながらも、いざアンダーズ東京のタヴァン・ラウンジへと向かう。
高層階のシックなラウンジにたどり着くと、メニューの随所にあらわれるハロウィーンらしさに盛り上がる。運ばれてきた紅茶のティーカップが純和風な緑茶色の陶芸品で驚いた。そして、セイボリーと三段重ねのスイーツたち。

きゃわわわわー!

魔女を自称しているけれど、グロい系のハロウィーンモチーフには特に興味のない私たちがここのアフタヌーンティーを予約した決め手は、↑の猫をかたどったクッキーだったのだけど、猫はもちろん他のコウモリやお化けバーガーもかわいくてテンションが上がった。棺桶型のミートパイは意外ともろくて生々しい。そして蓋をずらすと棺桶みが増す。目玉タルトは、真上から見ると目が合ってえぐかった。

カヌレなどの黒いお菓子は全て竹墨を使っているらしい。健康的だ。竹墨もまさかコウモリやゴーストに練り込まれてると思わないだろうな。

ハロウィンぽさにこだわらないスコーン二種。一種がどう見てもマフィン、しかしどちらも美味しくて、クロテッドクリームもキャラメルソースも美味しかった。無限に食べたい。
暑くてアイスティーに切り替える。私の単著新刊についての話し合いなどをまじめにしたりもした。
一通り食べ終えた後にホットコーヒーを頼んだ。美味しくて目にも楽しい、素敵なアフタヌーンティーだった。

あたたかいのでライダースを脇に抱えて銀座まで歩く。天候が怪しくなってきた。
ウィンドーショッピングをしていると小雨が。メイコが「混んだ銀座でいつ行っても絶対に座れる」と全幅の信頼を寄せる、宗教みが強いビル内にあるほんのり宗教みが醸されたカフェに向かう。夕方のカフェタイムなのに実際座れたし、ノンカフェインのハーブティーが飲めてよかった。
明日〆切の原稿の相談をして、3割ほどしか書けていない草稿2パターンを見てもらった。しゃべっているうちに進むべき方向性が見えてきて、「8割方書けた!」と思う(毎回恒例)。
小食で酒をそれほど飲めずわさびが苦手で貝類にアレルギーがあるメイコが、回らないお鮨屋に行きたいというので、新刊が無事入稿できたら、大食い酒飲みで好き嫌いもアレルギーもない人間として張り切って同行しようと思う。

リアルでも文フリでもおつきあいのある方から、今日アップした日記のある一節がよかったとDMをいただいた。自分の何気ない日常の中で生まれた何気ない言葉が、誰かの心に届いて、誰かの日常の中で意味を持つ。ここ数日日記を褒められることが多くて、改めて自分が日記を書く意味を問い直す契機になった。
というわけで、メイコとの会議の結果、明日提出の課題のテーマは「日記」になったのでした(単純)。帰ってハンドクラップをして課題の草稿を書き、眠る。


10月12日(月)

増えたまま戻らなかった体重がやっとするんと落ちて、先月の平均数値くらいに戻った。たくさん水分をとって美味しく楽しく食べるのは大事。お腹まわりがきゅっとして軽い。やっぱりこの感覚が好きだ。

昨日の夜書いて一晩寝かせた草稿を取り出す。午前中に一からプロットを考えて書き直す。家事などをしてから出かける。
この前初めて訪れた神保町の秘密の隠れ家的喫茶店、カフェ・デ・プリマベーラへ。昼時だからか、ほぼ貸切だった前回と打って変わって、店内は満席に近くて賑やか。4種類のブレンドと3種類のスープを順番に頼んでお気に入りを見つけたいと思っていたので、前回と別のブレンドと、クリームシチューを頼む。前回のお花畑のように色とりどりの野菜スープも魅力的だったけれど、クリームシチューもホワイトソースに浮かぶブロッコリーが丁寧に散らされていて美しかった。食後のコーヒーをいただく頃には声の大きかったお客さんがいなくなって、店主さんが、「騒がしくてごめんね、ゆっくりしていってね」と声をかけてくれた。お言葉に甘え、コーヒーを飲みながら、先ほどパソコンでプロットを考えて組み立てた文章をノートに手で書き写していく。スマホとポメラとPCと手書き、そして縦書きか横書きか、液晶画面上か紙か、書くツールや表示の仕方によって言葉の選び方や見え方が変わって気づくことがある。今日中に提出しなければならないので、できるだけのことを試して、より良くなるよう修正を加えていく。気づけば、にぎやかだった店内に残っていたのは私一人だった。

きりのいいところまで作業を進め、店主と奥さんにお礼を言ってお店を出る。また来るつもりなのでそう伝える。

体の冷えと不眠がちなのと肌のごわごわが気になり、かといって遠くのサウナに行く余裕はないので、歩いてスパラクーアへ向かった。中高温のサウナには時々換気が入る。ミストサウナのセルフロウリュで温度と湿度を上げて温まった。木とアロマの香りがいいのと薄暗くてテレビやBGMがないところが好きだ。外の浴場の喧噪が遠くで反響してぼわんぼわんと聞こえるのもいい。
サウナと水風呂、そして温泉で充分に温まってから女性専用の休憩スペースへ。三十分ほどリクライニングチェアでぐっすり眠り、起き出してポメラで課題原稿の修正作業の続き。指定字数をオーバーしてしまっているので削らなければならないけれど、削りすぎても文章の質感が損なわれて味気なくなってしまうのでとても悩む。wordで提出なので、最終的にはパソコンで体裁を整えようと思い、温泉に浸かり直して帰宅。日付が変わる直前まであれこれ修正をして、なんとか〆切を守って無事提出できた。

スパに行ったのでささっとシャワーだけ浴びて寝ようと思うも、パソコンで集中して作業したせいか、体が冷えて目の疲れと凝りも蓄積しておりうまく眠れず。入眠しても一時間ほどではっと起きてしまう。結局起き出してオートミール茶漬けを食べたりして三時過ぎまでうだうだしていた。

10月13日(火)

睡眠不足のせいで目が真っ赤に充血して、べたべたした液体が流れるのでアイメイクを断念した。ダウナーな気持ちになり、仕事を早々に片づけてほぼ定時退社。その頃には目の調子も通常に戻っていた。
帰りにスーパーに寄って食材を調達する。買ってきたまぐろのたたきを、刻んだネギと一緒に酢醤油に漬けた。筋トレを済ませ、まぐろの漬け、キムチとレタスを和えたサラダ、めかぶ、ヨーグルトとハーブティーを用意して、万全の状態でバチェロレッテ・ジャパンを見始める。詩の教室と文章添削教室の課題〆切が立て込んでいたので、両方無事に提出できたら見ようと思って楽しみにしていたのだ。これまであいのりやテラスハウスなどの恋愛リアリティーショー的なものに縁がなく、バチェラージャパンも「なんかバチェラーがちゃらそう」という理由で見たことがなかったのだが、今回はバチェロレッテが健康的な美しさと聡明さを兼ね備えた女性だというのでインタビュー記事を読んでみたら、一気に興味が湧いて見てみることにした。

一話と二話を見たのだけれど、バチェロレッテを射止めるために集った17人のどの男性よりもバチェロレッテの福田萌子さんが魅力的だった。「大事な仕事を二ヶ月も休んで集ってくれて」という参加者への気配りにあふれた挨拶や、一対一で話すときに真剣に相手の目を見て聞いて本心を引きだそうとするところ、最初のローズセレモニーで5人を落とさなければならないときに流した涙。もちろん番組的な演出や編集があるにしても、どこをとっても人間性の美しさが表れているように感じられて一気に大好きになってしまった。推しは萌子。対する男性陣は萌子を知ろうというよりは、自分をどうアピールするかに必死な人が多いように感じられて(これもまた演出もあるだろうしある程度インパクトを残せないと落とされてしまうから当然なんだろうけど)、あまり興味が持てなかった。恋愛ショーというより会社のOJT合宿、みたいなツイートを見たけれど、本当に。テクニックとかタイミングとかそういう恋愛的な要素より、対話を通した人間的な成長というか、自分の人生観をしっかり言葉で伝えて相手のそれを理解しようとできるかどうかとか、そういうことがテーマになっている気がする。全てバチェロレッテの人間性の賜物というかんじ。完全に夢中です。

10月14日(水)

仕事中ずっとバチェロレッテのことを考えていた。恋愛の行方というよりは、萌子さんの立ち居振る舞いの美しさや人と会話するときの言葉選びや発声について。仕事で投げやりになりがちな打ち合わせのときにも、意識して丁寧に話すように心がけたりしてみる。普段あまり流行ものを追わずに生きているけれど、私はかなりコンテンツの影響を受けやすい性格だと思う。だから自分の文章を書いているときに本読めないんだよな。「この表現(思想)は○○のコピーだな」と、誰にわからなくても自分が感じてしまう。

昨日結膜炎ぽい症状が出てからとにかく顔周りの毛が邪魔なのが気になって、前回切ってから一ヶ月も経たないけれど、退勤して美容院へ向かうことに。美容師Mさんは今日も明るく迎えてくれた。仕事疲れで髪を切られながら寝る。

帰ってレタスとキムチでオートミール炒飯を作り、バチェロレッテ三話視聴。見ていて、この人はちょっと薄っぺらいなとか本心を隠しているなとか自分のことしか考えていないな、と感じた男が軒並み萌子さんからローズをもらえずに去っていくので安心して見られる。一対一で真摯に対話しようとして質問を次々ぶつける萌子さんを「気が強い」とか「完璧そうに見えるけど俺が弱さを引き出したい」とか的外れなこと言っていたちゃらめの男性、今すぐ立ち去れ! と思っていたら萌子さんがちゃんと立ち去らせていた。

あと私自身、男性陣の中で誰がかっこいいとかときめくとかそういう目線でコンテンツを見ることに一切興味ないんだなと改めて実感した。昔は「8時だJ!」とか見て生田斗真くんにきゃっきゃ言ったりしていたはずなのにな(どれだけ昔だ)。四話は明日の楽しみにとっておいて寝る。

10月15日(木)

久々にすっきり目覚めたので、朝オールドビーンズのコーヒーを淹れた。

諸般の事情で仕事中ノーパンで過ごすことになった。事情について語ることは差し控えるが、なぜか今日に限ってペラッペラの素材の巻きスカートに靴下という出で立ちであり、風が吹いたり階段でスカートがめくれたらその瞬間に犯罪者じゃん、という恐怖感で気が気でなかった。

仕事中は嘆願書という名のクレームが来てその対応に追われるなどする。つい、いろいろなものをぼろかすに言いたくなってしまって、その都度「萌子さんはそんなこと言わない」と自分に言い聞かせる。

あとは通常運転。

帰宅してバチェロレッテ四話を視聴した。ロケ地の台湾の町並みがすてきでうっとり。学生時代に一度行ったきりなのでまた行きたい。そしてローズセレモニーの萌子さんのパープル系ドレスがすてきでさらにうっとり。ローズをもらえなかった人たちはもう落ちるべくして落ちたという感じ。みんな大好きな画家の良さがここまで来てようやく私にもわかってきた。

10月16日(金)

仕事中は引き続き、萌子さんならこんなとき何て言うかな、と考えながら、自分の考えの伝え方や言葉の選び方を模索して過ごす。それでもうまくいかないものはうまくいかないし、こうやってすぐ影響を受けて、影響を受けたことさえすぐ忘れるのかもしれないけれど、それでも自分を変えたいと思って行動を起こしてみるのは悪いことじゃないな、と思う。来年、自分の苦手な仕事をやっている部署に行くことがほぼほぼ確定しそうなので、それもあって自分を変えたい気がしているのかもしれない。自分が苦手にしていることをちゃんと勉強し直したいし、機会があればカウンセリングを受けて、どうしたらうまくいくのか専門家の意見を聞いて考えたりしたいな、と漠然と思っている。

コーヒーが無限に出てくる部屋で仕事を進めてから退勤。
寒い寒いと言いながらT氏と落ち合って、最近開拓した最寄り駅近くの小料理屋へ。まず、いくらおろしと揚げ銀杏を頼んだらテーブルの上が暖色になって良い。

私があまりに薦めるのでT氏もバチェロレッテを見てくれていた。職場の対人関係でお互いいろいろあったタイミングなので、それとバチェロレッテを結びつけてあれこれ話す。他人が真剣にぶつかってきたときに「怖い」とか「誤解された」と感じる人は、結局相手のせいにして自分を省みることをしない、などと言い合いながら赤ワインのボトルを空ける。肉を食べてウイスキーを一杯だけ飲む。

店を出ると小雨がぱらついていた。今日は涼しくて雨が降らない予報だったからライダースジャケットを着てきたのに! 私がライダース着て出た日の降水確率が今のところ100%なんだけど?!
傘もないので、寒いのにライダースを脱いで脇に抱えて早歩きで帰った。今日は飲み過ぎなかったし食べ過ぎなかったのでよかった。(帰ってからオイコスとくるみは食べたけど)

10月17日(土)

午前中に仕事をがしがし進める。相手の気持ちを尊重しつつ、自分の考えを穏やかに丁寧に話すよう心がけた一週間だったけれど、その言い方でまったく伝わらない相手に対して結局爆発してしまった。現実の人間関係も、この人とはもう無理だと思ったら萌子さんみたいにチベットスナギヅネの顔になってローズ渡さないでさよなら〜ってできたらいいのにな(歪んだバチェロレッテ願望)。

仕事を一通り終えて15時頃退勤。明後日は出勤日だけれど有給休暇をとったので開放感がある(元々月曜休みなので休みが増えるわけではない)。

帰って、日記本の編集作業を進め、ノルマを達成してからバチェロレッテの五話と六話を見た。五話の白のパンツスーツの萌子さんが宝塚の男役みたいにかっこよくて美しすぎた。最後、落ちた某氏が去っていく萌子さんの姿をびしっと頭下げて見送っていたのは(たとえ演出にしても)キャラに合っていてナイスだった。六話が終わった段階で残った三人はわりと予想通りだったかな。しかし萌子さんに対しては誠実でも、他の男性参加者に対しての態度がアレな人は、萌子さんには似合わないなあ、最後に選ばれてほしくないなあと思ってしまう。

カニかまと味噌でオートミール炒飯を作って食べた。軽く筋トレをして寝た。

#日記 #エッセイ #バチェロレッテジャパン #福田萌子 #推し

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