【書評】 考える脚 ー北極冒険家が考える、リスクとカネと歩くことー

私自身、
箱根駅伝の全区間(100km)を一人で走ってみたり、
ママチャリで3日間かけて、福岡から京都まで600km走ってみたり、
一般的な人から眉をひそめられるような常軌を逸した行動をしてきた。
一見無謀に見えるチャレンジをしているところを想像して、
「自分もやってみたい」とワクワクする方だ。

しかし、著者の荻田さんのチャレンジには足がすくんでしまう。

彼は今年43歳の日本の冒険家。
彼が目指すのは、「北極点無補給単独徒歩」
今まで2回チャレンジして、残念ながらまだ達成できていない。

カナダの陸の端っこから歩き始めて、北極点まで無補給で一人で徒歩で目指す。
北極圏なので当たり前だが、気温はマイナス40度近くまで低下する。
マイナス20度はあったかいと感じるらしい。

「無補給」なので、食糧やキャンプ道具をソリに二台に乗せ、引っ張って進む。
歩きはじめる時のソリの総重量は100kgを超える。
見た目はこんな感じ。
(南極で撮影されたものらしい。写真はリンクより拝借しました。)

スクリーンショット 2020-07-01 20.48.37


北極海の上なので、全て氷の上を歩く。
巨大な氷同士がぶつかって隆起し、行く手をはばむ。
時には10メートルを超える高さになる。
ソリを置いていくわけにはいかないので、
100kgを超えるソリを担ぎ、その山をこえていく。

ここまで読んだだけでも、ゲッソリしてしまうが、
氷は海流によって動くので、
頑張ってゴールに近づこうとせっかく30km歩いても、
テントの中で寝ているうちに海流で南に流され、
前日のスタート地点よりもゴールが遠くなっていることもあるらしい(苦笑)

僕が長距離を走っていて、唯一信じられることは
「自分が一歩足を出せば、必ず一歩分ゴールに近づく」ということだ。

何度も100kmを超える距離を走ったことがあるとはいえ、
スタートラインではその圧倒的な距離に恐怖を感じる。
そんな時、「自分が一歩足を出せば、必ず一歩分ゴールに近づく」と
自分に言い聞かせてスタートラインを切る。

途中でリタイアしたくなっても、
全てを投げ出したくなっても、
マメが潰れても、
「なんでこんなことやっているんだろう」と我に返ったとしても、
「自分が一歩足を出せば、必ず一歩分ゴールに近づく」と信じて進んでいく。

しかし、彼の挑戦には、「自分が一歩足を出せば、必ず一歩分ゴールに近づく」
ということすら否定せざるを得ない事が日常茶飯事だ。

この本の中で、彼が南極大陸の端っこから南極点まで1126km完歩した時の様子が描かれているが、彼にとっては南極点まで歩くことは「簡単」だそうだ。
インタビューでも「初めから成功することを疑ってなかったので」と答えている。それはなぜかというと、南極は大陸の上に氷が乗っているので、
動かないから。
10km歩いて30km戻されるというような事がないから、
非常に安心できたのだろう。

素人からすると、「普通に1126km歩くものも大変なのに、標高200メートルから2800メートルまで登り坂を上る」って、、、想像もつかない。

何度も絶望の淵に落とされながらも、決して歩みを止めない生き方を見習いたい。

元気がなくなった時に読みたい本No.1です。


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