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たとえば永遠に失われた花が
たとえば。
この国では永遠に失われた花が、遠い異国で、誰かの手で、芽吹くこともあるだろう。
地球で永遠に失われたものが、他の星にて生まれ落ちることもあるだろう。
わたしたちが永遠に失ってしまったものが、いつかどこかで、産声をあげることもあるだろう。
絶望はしたくない、と思って、そうしようと決めて。それから信じることにした(信じられなくなるときもあるけれど、また信じることができればそれでいい)。
物語を。生けとし生きるもののやさしさと、ちからを。わたしを。あなたを。あなたたちを。
失われたものはもう戻らない、のではない。ただ、わたしたちが知覚できないところに行っただけで、たとえ誰かが「そこ」を幻だと言い捨てても、もうひとりの誰かが信じるなら、「そこ」にはあるのだ。失われたものは。
わたしたちが失ってしまったと感じたとき、はじめて生まれ落ちるのだ。