見出し画像

ラブアンドピース

あるとき、平和、という感覚とチューニングを合わせたようになってから、野原に、空に、真昼に、深くそれを感じるようになった。こどものころの記憶が自然とよみがえってきて、それはやわらかく、光に満ちていて、“見守られている、大切にされている”という感覚と共にもたらされる。


母が作ってくれた苺ジャムのサンドイッチ、土曜日のお昼のオムライスが特別だった。
すべてから守られて、歩く父の背で眠っていた。
ともだちと駆け上がった古い石の階段、クローバーの花の香り、親しい海の気配。
ひとりで歩いていた道の、真昼の日射しに満ちていたもの。


平和と、植物と、愛と。


(春の終わりに)