見出し画像

無垢という宇宙

青森県立美術館で開催されている奈良美智「The Beginning Place ここから」に行ってきました。

開催されてからそれほど日にちが経っていなかったためか人が多く、普段多人数と接することがないわたしは頭がくらくらしてしまいました。でも、それだけ人気だということ。見に行けてよかったと思います。


わたしが心惹かれたのは、メインビジュアルにもなっている《Midnight Tears》などの近年の作品でした。とても大きな作品で、美術館の大きな壁・空間に飾られていても大きいと感じます。

まず目を惹かれたのが、絵の中の女の子の「瞳」でした。ああこれは竜の瞳だ、と感じたのです。瞳孔が切れ長なのもあるのでしょうが、野生動物の瞳を間近で覗き込んだような心地になり、その瞳がたたえる”無垢”に言葉を失いました。


これは竜の瞳だ、獣の瞳だ、鳥の瞳だ、彼らが何を思おうとも、何をしようとも、どんなことになろうとも、その身に何が起ころうとも、いやおうなしに静謐につながり、宇宙を映し出す、”無垢”の瞳だ。そのように思いました。

わたしが愛しているものでした。


瞳以外の部分も色彩が複雑に重ねられ、わたしにはますます宇宙を感じさせるものになっていました。

絵の前にはベンチがあり、そこでしばらく絵を眺めて過ごしました。素敵な時間でした。