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湖畔

 わたしの犬が死んだ日に
湖畔にうちすてられた
小舟のひとつに住むことにした
 
湖の上を行き交う無数の舟たち
青く香る
深い霧の向こうで
手を振っているひとがいる
 
  ( あなたは誰だったか
  ( わたしの母か
  ( それとも父だったのか
  ( 年老いた親族
  ( それともきょうだい
  ( 生まれてこない子どもだったか
 
湖畔の砂地から遠ざかると森がある
そこに咲く白い花を摘んで
波打ち際へと戻る
舟のひとつに乗せて押し出す
 
そこには見知らぬひとの面影が横たわり
花を抱いて
やがて
霧の向こうの一隻となる