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BOOKOFFと人生【日記:2023/5/21】

先日、久しぶりにBOOKOFFに行った。
地元に住んでいた頃は度々顔を出していたが、上京してから客として買い物をしに行ったのは初めてかもしれない。
入ってすぐ思ったのだが、相変わらず変な店だ。
本をただ背表紙を向けて収納しているだけなので探しにくいし、価格帯によって似たジャンルがばらけていたりもするし、同じ本がたくさんある割に途中の巻が歯抜けになっていたりと、書店としては正直かなり使いにくい。
今や書店のスタンダードと言える検索機もないので、足と目で探さないといけないのも急いでいるときはイライラする。

ただ、逆に時間があるときはとても楽しい。探している本が掘り出しもの価格で見つかるとお得感があるし、普通の新刊書店じゃあり得ない棚づくりにビビらされこともある。(先日行った店では「嫌われる勇気」が46冊も棚に収まっていて面白かった。あまりにも贅沢すぎる。ドラクエモンスターズのエスタークでもこんなに枠は取らない)

さて、そんなBOOKOFFだが、近年は本よりも違った商材の取り扱いの方が多くなっているというのは皆さんご存じだろうか?
これは公式の決算資料から引用してきた図だが、直近の四半期での書籍の売上構成比が全体の25.1%しかなく、BOOKOFFで他にありがちな音楽・映像・ゲームなどのソフトメディアを含めても50%に満たないのだ。

ブックオフグループホールディングス 2023年5月期 第3四半期決算補足資料
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9278/tdnet/2261718/00.pdf

では、残りの50%以上を何が占めているのかというと、アパレルや貴金属、そしてTCG(トレーディングカードゲーム)がそのほとんどだ。
BOOKOFFと言えば本というイメージはもう一昔前で、今やなんでも買い取る総合リユースショップとなっている。
実際に大きなBOOKOFF(いわゆるBOOKOFF SUPER BAZZER)に行って見るとそんな現状が分かると思う。
書籍やソフトメディアの面積はもちろん小さくはないが、巨大な森林を思わせる服の壁や数百席規模のカードゲームスペースはそれらに負けず劣らず大きい。(以下は埼玉にある大型店の売り場紹介ページ。本以外の売り場が非常に大きいのが分かる。)

今や大中古販売時代。先に例に出したBOOKOFFはもちろんのこと、メルカリなどネット販売の隆盛により、中古販売できないものはほとんどないと言ってもいい。
ありとあらゆるものは市場によって価値がつけられる。本やカード、フィギュアなどのアイテムから、人材サービスなどにより人間の価値までもが。より身近な意味合いで言えば、SNSでのいいね数などもある意味同じ。
価値決定の民主化は円滑な中古取引を可能にしたが、同時に転売などによる価値のつり上げやいいねを求める過剰な自己顕示欲をもたらした。

個人的には、それらに対して良いとも悪いともあまり思わないのですが、何でもかんでも売りに出していく生活は疲れないのかなとは思う。
金融商品等は別ですけど、本とかの実用品まで売る前提で買うのは面白くない気がする。人のやり方に文句つけたくはないんですけどね。大事にしたものが不要になったので売るというのが本来の手順で、売るときの価値を上げるために状態維持しながら扱うというのは、何かが転倒してしまっているような気がしていてならない。

まあ考え方は人それぞれなんで、好きにしたらいいんでしょうけど。
私だって、日記をわざわざ人目に開陳して悦に浸っている自己顕示欲ちゃぷちゃぷ人間な訳ですし、人様に何か言う権利はない。
結局、皆誰かに高い価値を付けてもらいたいんだ。メルカリ用の写真の角度に気を使ったり、マッチングアプリ用の写真を加工するのも本質は同じ。
10円買い取りされる人生はまっぴらごめんだから。陳列方法だけでも気合を入れる。
そんな私達をBOOKOFFの無造作な棚がじっと見ている。そんな気がした。



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