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猫は九つの命を持っている?【日記:2023/5/24】

最近、人間の感情に興味を持っている。ロボみたいな言い回しだが。
ホラー、ギャグ、ミステリーなどの創作が何故成立するのか、何故人はそれを面白いと思うのか、その根源となっている恐怖心や好奇心、ユーモア感というのはどういう感情なのか、そういうことを知りたくてたまらない。
その中でも最近特に気になっているのはミステリーと、それを好むであろう感情”好奇心”について。

ミステリーというジャンルや好奇心という感情は、他のものに比べて少々捉えどころがない気がして難しい。
ホラーであれば身体がゾクッとするようなあの感じ、ギャグであれば思わず笑ってしまうあの感じと、身体的反応を伴うので直感的に理解しやすいのだが、ミステリーにはそれがない。
とまあ、そんな課題意識が私にはある。そんなわけで今回読もうと思ったのがこの本です。

とりあえずざっと読みましたが、中々面白かったです。
今まで読んだ”ミステリーとは?”みたいなジャンル本と違って、より根源的な面白さの本質、人がそれを好む理由が分かった気がして良い。
また好奇心の種類、そして好奇心を抱きやすい情報とそうでない情報の違い、好奇心と知識の関係など既知の話も多かったが、実感を持てる例が豊富で納得感が得られやすかったのも嬉しい。
特に子供の行き過ぎた好奇心を扱った章での火遊びについての話なんかね。

私も子供時代、よく親の目を盗んでマッチをつけたりティッシュを燃やしたり、網戸をちょっとだけ焦がしたりしてましたから……子供のいたずらとしてはあるあるだと分かって安心です。
まあただ、火遊びは危ないから一人で勝手にやるのはダメですけどね。もし今のお子さんでやりたい方がいたら、親御さんを説得して一緒にやりましょう。一回私も燃やす紙の量をミスって、手持ちの水で消えなくなって焦ったことがあります。
『好奇心は猫をも殺す』なんて有名なことわざがありますので、気を付けましょう。

さてせっかく猫の話をしたので、タイトルにも書いた”猫は九つの命を持っている?”という話をしましょう。
これはイギリスのことわざ(A cat has nine lives)で、"しぶとい"という意味の言葉です。
『好奇心は猫をも殺す』ということわざで、何故”猫”が槍玉にあげられているのかが気になって調べたらでてきました。
きっと昔のイギリス人は、どんな体勢で落ちても身を翻して着地する華麗な猫の姿を見て”しぶとい/9つの命を持ってる”という風に思ったんでしょうね。いい表現です。

でも、それを『好奇心は猫をも殺す』と例えてしまった人は失敗だと思う。
だって、そんな面白い表現をされたら気になってしまうから。好奇心を抱くなということわざなのに、その言葉自体に謎めいた魔力があったら本末転倒だ。本当に好奇心を抱かせたくなかったら、興味を抱く余地もないようなつまらない表現をすべきだった。
まあでもそれはできない相談だったのでしょう。最初にこの言葉を作ったのは劇作家、好奇心に駆動されて生きる人間だったようですから。

私たちは好奇心から逃れられないし、逃れる必要もないと私は思います。
好奇心は猫をも殺すかもしれないし、火遊びが家を全焼させるかもしれない。でもそれでいい。
苦難の道に投げ出される方が、退屈に押しつぶされて生きるよりはきっと良い生き方のはずだから。
"伝説の雀士”赤木しげるも言っています「狂気の沙汰ほど面白い…!」と。

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