見出し画像

中間の酔いが欲しい【日記:2023/5/29】

一般的に、酒に弱いというのは弱点のように扱わる傾向がある。
ただ、ごく個人的な意見を言わせてもらえば、酒はちょっと弱い方が得だと思う。
その理由は単純、一部付き合いの時を除いて、酒は酔うために飲むのもであって、そうであるならば簡単に酔える方が良いに決まっているからだ。
どちらかといえば私はアルコールに強い方なのだが、それ故に困っている。
多少飲んでもあんまり酔わないから、酔って楽しいということが中々ないし、だからといってもキャパシティは無限じゃない。あまりにも飲み過ぎるときっちり体調は悪くなるから、丁度いい時がほとんどない。

昨日、久々にコンビニで缶チューハイを買って飲んだが、ほとんど酔わなかった。アルコール度数5%程度で350ml缶なので、元々大した量ではないのだが……個人的にはこれぐらいでほろ酔いできると楽だと思っている。
基本的に人間、深酒してもあまり得がない。精々面白エピソードになれば御の字ぐらいだ。
私が飲み過ぎて吐くぐらいまで行ったのは、今までの人生で二度だけだがもちろんどちらも最悪だった。

一度目は家で耐久実験をしていた時。自分が実際どれぐらい飲めるのか知っておこうと思い、ウイスキーをストレートでがぶ飲みしていたらいつの間にか臨界点を超えていた。丁度アニメ「アイドルマスター」の8話を見ていて、菊池真さんが商店街で黒服をぶっ飛ばすシーンだったのを覚えている。
二度目は前の会社であった身内向けパーティーの時。若手だけが集められる場かつ自分はその場では比較的年長の立ち位置にいたため、後輩に絡むために酒をガバガバ飲んでいたら3件目から帰る途中で沈没した。しかもよりにもよってそんな日に会社に自宅の鍵を忘れて家に入れなくなるし……主張)知らない人と飲む時、どう接したらいいか分からず、とりあえず酒を沢山飲んでしまうのが私の悪い癖だ。

とまあ、アルコールに関しても強いことが必ずしもいい事とは限らない。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスも中庸という概念を唱えていたように、安全に、ほどほどで手軽に酔えるというのが一番いい。
酒の強さを競うのは、西部劇とファンタジー小説の中だけで良い。無用な強さを信奉したとして、減っていくのは貯金残高だけなのだから。
昨今の世の中は強さそのものへの信奉が少々行き過ぎているように感じる。本来的には酒の強さと同じように、強さにはそれに伴うデメリットが必ず付いてくるはずなのに。

強いことが必ずしも幸せな訳ではない。当たり前の事実ですが、それを思い出す機会がたまには必要なのかもしれない。
ハリーポッターだって、選ばれしものであったせいで親戚に迫害されたり、命を狙われたりしたわけですから。

人生は厳しい。格差はあるし、夢や目標が叶うとは限らないし、どうあってもいずれ死ぬ。常にまともでいたら疲れてしまう、そんな世界です。
常に酔っぱらっているアル中になるのはどうかと思いますが、時には現実を忘れ、霧の中で一時の幸せに浸るのも必要な事でしょう。
そう思って、私は今日もまたこの幻惑の液体に手を伸ばす。
今から遺伝子を変えることはできないだろうけど、せめて心根だけでも酔いやすい人間でありたいと、そう思いながら。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?