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お得の行きつく先【日記:2023/09/21】

 昨日、立川に行ったら小綺麗なコインランドリーがあったので、つい写真に撮ってしまった。昼光色の電灯で照らされた店内は隠れ家カフェ的なお洒落さを放っており、間違っても機械が服を洗う場所だとは思えない。
 看板を見るとサービスも中々凝っているようで、Wifiは飛んでいるしコンセントもある、バーコード決済に対応していて、領収書も出ると至れり尽くせりだ。少なくとも街中華よりはきめ細やかな感じがする。薄めで見れば実質スターバックスかもしれない。

 ただ褒めてみたものの、正直に言えば、コインランドリーでここまでの設備を有する必要があるかは疑問だ。多くの場合、利用者は近所の人間だろうし、用途としても個人的なものがほとんどだろう。また、場所柄的に考えて、滞在時間が利用額に直結もしないだろうし、手厚いサービスのコストを回収できるとも思えない。そりゃあ多少は効果があるかもしれないが、遠くに住んでいる人間がわざわざ洗濯物を担いでやってくる程の利便性ではないだろう。
 もちろん、私は素人だし、この手の雰囲気のランドリーは街でもちょくちょく見かけるから、思った以上の効果がある可能性は否定できない。不便よりかは便利な物を求めるのが人の常ですからね。

 ただ、顧客に選ばれるためにそこまでしなくちゃいけないのか、と思うと少し悲しくなる。いつか来る、最高の完成形に向かって急かされているような気がして。”お得”という合理性が、私はちょっとだけ苦手だ。
 なんとなく、その果てで止まった世界をイメージしてしまうから。完全であるからこその停滞、全てが過去の再生産になり意味が失われる。それが怖い。

 無論、全部妄想ですし、私だって競争社会の恩恵を受ける人間の一人だ。
昨日だってこんな100円自販機を見つけて喜んでいた。(ソルティライチが120円なのがポイント高い)

 ……中々難しいものです、人間心理。主張しない”100円”のフォントを見ながら、そんなことを思ったりする立川での一日でした。

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