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泣き虫だった頃の記憶【日記:2023/09/19】

 今日、この動画を見た。Vtuber事務所「にじさんじ」所属の「月ノ美兎」さん主催の企画で、普段泣かないライバーたちがあの手この手で涙を流そうとするという物だ。
 出演者たちが中々泣けず、すぐに玉ねぎなどの物理的手段に頼っていく様は非常に面白かったのだが、私はこの動画を見ていて一つ、幼い頃の特技を思い出してしまった。

 小中学生の頃の私は非常に「嘘泣き」が上手かったのだ。いつでもどこでも泣けたし、実際に涙を出すのも容易だった。少しばかり、悲しい記憶を回顧して目を開きっぱなしに乾燥させれば、あら簡単。私が美少女だったら、ちょろいガキの一人や二人は余裕で落とせていただろう。

 せっかく思い出せたので、久しぶりにやってみた。しかし、やはりというべきか、何分頑張っても涙目にすらなれやしない。昔だったら20秒もあれば簡単にできていたというのに……
 多分、めっきり泣かなくなったのが原因だろう。中学までは事あるごとに涙だらだらの泣き虫野郎だったのが、高校以降は顔面筋肉剛体野郎になったから。使わない筋肉は衰えるように、涙腺もそれに伴う情緒も硬質化していったんだと思う。

 それは社会で戦う上では都合がよかった。先生のいない世界では、涙は弱点を晒すだけ。サバンナでは弱きものが淘汰されるのが定めだから。少なくとも、職場で泣いている人間がいたら、心が弱いという評価が暗に下されるのは必定だ。
 しかし、涙は感受性でもある。それを失ってまで、強くなることが良いことなのか分からない。そんなことを思う自分もいる。

 難しいことを考えていたら、眠くなってきた。小さく欠伸をすると、目じりに薄く涙が浮いた。
 ……今の私にはこれが限界だ。この情緒もへったくれもない生理食塩水が。少し悲しい気分になったので、明日起きたらすぐに「AIR」を見ようと思う。10話までは見終わったのでラスト2話で泣いてやるぜ。

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