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流れゆく世界を逆向きに【日記:2023/08/25】

今日は久しぶりに朝帰りをした。
早朝6時半少し過ぎ、人影もまばらな街を出て、ラッシュ前の静けさに包まれた電車に乗る。

徹夜明けのぼやけた脳みそ、すっかり昇った日の出の眩しさ、いささかのメランコリー、そういったものを置き去りにして鋼鉄の巨体が動き出す。
中央線快速 高尾行き。車体は毎秒毎に都心から遠ざかり、窓から見える景色には次第に青空と緑の専有面積が大きくなっていく。
そして加速と減速、それを繰り返しながら、最寄り駅である阿佐ヶ谷を目指す。

いつも通りの何の変哲もないルーティン。違いがあるとすれば、少々朝が早いという程度。
でも、何故だが今日は、街が眩しく見えて写真を一枚撮ってしまった。

夜、改めて見ても、全然面白味のない写真だと思う。
でも同時に、割と好きな景色だな、とも思う。
世界の流れを、街と電車の本質を感じられる気がするから。

私は川を眺めるのも好きなのだが、それと同じ感触がする。
周期的で秩序だった方向性を持ちながら、部分においては進行し段階があるその様は、ある種のASMRのようで心地よい。
特に、時間流が融け落ちてハリのない日々を過ごしている、私のような無職人間カスにとって、それらは落ち着きと共に時間の流れを思い出させてくれる。それが良い。

10分少々して、電車は目的地に到着した。
私は降りる、電車は遠ざかる。

自分にとって、今日という日が意味ある一日なのか、私には分からない。
もしかしたら、ただただ時間つぶしに苦心しただけの愚かな1ページにすぎないのかもしれない。少なくとも、客観的にはそう見えるだろう。

意味がないというのは辛いことだ。
だから私は、電車に乗って川のある街によく行く。
仮初だったとしても、世界の速度を借りて、私も速く遠くに行ってみたいと、そう思ってしまうから。





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