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『霜夜ゆく』少女か、任務か。冷たい二者択一に抗うローグライトアドベンチャーゲーム

あなたはこの冷たい宇宙で独り目覚めた。あなたの任務は、一人用の宇宙艇で未開拓惑星に血清を届けること。

そんなあなたの船に乗り込んできたのは、猫耳の少女。奴隷にされる所を逃げてきたという。だが、一人用の船のため、このままでは重量オーバー。あなたは任務遂行を阻むものを排除できる銃を持っている。

船に備え付けられたAIは言う───「彼女を撃ってください」と。

『霜夜ゆく』はそんな非常に不穏な状況から始まるローグライトアドベンチャーゲームだ。

捨てる、作る、生きのびる

このゲームの目的は時間内に質量を規定値まで低減させること。ゲーム内の言語だと「単位時間120UT以内に単位質量60WG低減させる」だ。船内で捨てられそうなものを探して捨てていく。それが基本方針となる。

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ただ、捨てるだけでも時間(UT)を消費するので、なるべく手に入る箱に要らないモノを入れてから捨てる方が効率が良い。

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無事惑星に到着した後もゲームは続く。地上パートでは、血清の届け先まで歩く必要がある。船内で血清の他に残しておいた物品をいくつか装備してサバイバルをしなければならない。

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最初期はモノを減らすことに四苦八苦するが、地上まで到達できるようになると、サバイバルも考えてアイテムを生成しなくてはならない。つまり、ゴールまでの道筋の立て方がガラリと変わる。これが非常に難しく、面白い。

…まぁ自分は難しくて攻略を検索したり設定資料集(Boothで500円)をチラ見しましたが。あまり時間をかけ過ぎるわけにもいかないし、ノーヒントでクリアできる気もせず…悩ましいところ。

野良猫は宇宙を目指した

シナリオとゲームシステムのマッチ具合が非常に良い。散りばめられたテキスト自体良い。言い回しがSFチックな簡潔とした冷たさでありながら、ほんの少し勇気づけてくれるような優しい温かみを感じる文章で、非常に好きだ。

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「野良猫は宇宙を目指した」は少女を撃たない選択をしたときに流れるBGM。軽快なギターの音が、冷たい旅路へ向かう彼らを勇気づけてくれる。

【おわりに】

このゲーム、元ネタが「冷たい方程式」というSF小説(名前は聞いたことある)なのだが、電子書籍が無いらしい。中古で買ったら届くのは水曜…。元ネタも面白そうなだけに待ち遠しい

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5月23日追記

元ネタの小説『冷たい方程式』を読み終えました。宇宙という冷酷にならざるを得ない場所の、不幸な事故の結末。なんとも悲しい話なのに、文章に人間らしい温かみを感じる不思議。こっからさらにゲームにするってのがすごいと改めて感じる。

INDIE Live Expo 2022 DAY1のインディーゲーム紹介に『霜夜ゆく』が出てて嬉しいの巻。

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Twitterで検索すると「面白い」「気になる」と出てくるので、これを機にさらに広がれば嬉しい…。

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