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アニメーション制作から見るデザイン

こんにちは。
私、モノ作りのドキュメンタリーを見るのが好きなのですが、アニメーション映画の現場を見て、それらを例にするとデザイン思考プロセス等の「デザイン」について理解がし易いのではないかと思い、今回まとめることにしました。

目次:
1、デザイン思考プロセス
2、アニメーション制作から見るデザイン
3、終わりに

1、デザイン思考プロセス
プロセスを述べた代表的なものとしてスタンフォードの5ステップが挙げられますが、更に多くの書籍を元に、私なりに経営へ実践できる形(言葉遣い)に落とし込んでみました。

(1)ユーザーの潜在的欲求の探索
コモディティ化した現代社会においては、商品サービス自体による差別化は難しくなるので、付加価値が必要になります。デザイン思考においては「体験」や「感情」に注目し、ユーザーを立体的に捉えることで差別化を図ります。

(2)価値の言語化
ユーザーの潜在的欲求を見出した後、該企業の今までの経験からユーザーに対して何を提供できるのか、動的にユーザーを捉え、コンセプト作りを行います。

(3)価値の視覚化
コンセプトを決めた後は、言葉だけでは補いきれないイメージをより正確に共有するため、試作品を作ります。

(4)フィードバック
見本市や試供品において、商品サービスとユーザーを出会わせて、「体験」や「感情」を見ます。

(5)物語としての一貫性
上記要素が一貫性のあるものとして伝わっているか、「物語」として語られているかを社内・社外において確認します。

2、アニメーション制作から見るデザイン
ここでは前記ドキュメンタリーにて宮崎監督や鈴木プロデューサーの発言を元に、アニメーション制作におけるデザインについて探っていきたいと思います。

(1)「一般常識を疑え」(鈴木敏夫)
「デザイン」とは感情の再体験と定義付けられます。そして、マーケティングでは「事実」は示せますが「欲求」まではわかりません。したがって、ユーザーの潜在的欲求を見出すためには業界の「一般常識を疑う」ことが軸になると思います。

(2)「こういう時代に渇望するものがあるはずなんです」(宮崎駿)
宮崎監督は一貫して「子どもたちのために作る」という信念の元に映画を制作しましたが、『千と千尋の神隠し』以降身近に伝えたい「子ども」がいなくなってしまったようです。そして、引退宣言→撤回を繰り返しています。
企業においても、誰に商品サービスを届けたら良いのか、これは適切なのか、という時期があると思います。「価値の言語化」はそのような企業に対して、ユーザーと該企業との関係を見直させ、何を提供できるのかをもう一度確認させることになります。

(3)「自分の書きたいように線を書くな」(宮崎駿)
アニメーション制作では、映画の方向性を決める絵コンテというのがあり、スタッフはそれに基づき原画や動画を描いていきます。
絵コンテを通じた監督の頭の中にある作品への思い(コンセプト)から外れることは、作品自体への完成度に関わるので、「価値の視覚化」がアニメーション制作でも動画等の作画チェックに表れていると言えます。

(4)「周りに意見を聞く」(鈴木敏夫)
『思い出のマ-ニ-』という作品のキャッチコピーを考える際、女性スタッフに、もしこういう友達がいたらどう?ということについて話してもらい、それを聞きながら鈴木プロデューサーが筆でメモするという手法を取っていました。コンセプトを共有していても、それが外に出たとき、そのコンセプトどおりに受け取ってもらえているだろうか、ということを意識するため、フィードバックを得る大切さがわかるエピソードだと思います。

(5)「大変なことは、いつも面倒くさい」(宮崎駿)
監督という役割である以上、画だけではなく背景美術や音響、声優、配給ポスターなど様々な場面で自分の思い(コンセプト)が描ききれているか=ストーリー(映画)になっているか確認しなければなりません。そこに、デザイン思考の一気通貫が垣間見られます。

3、おわりに
如何だったでしょうか。一見するとデザインとは無縁だと思われるアニメーション制作の切り口を変えて見てみると、「コンセプト」や「共感」と言ったデザイン思考の構成要素や存在価値を理解し易くなったかなと思います。

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