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「ビジョンデザインの実践とアプローチ」Xデザイン学校公開講座の省察的記録

「ビジョンデザインの実践とアプローチ」と題したプログラムが、先日(2020年6月26日)にXデザイン学校の公開講座で行われました。

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(講座の内容と集まってきた質問 miro by 東海大学 富田研究室)

いまこそ、ビジョンデザインが必要に

社会状況を考慮して、新たにビジョンを作ることに、注目が集まってきています

トヨタでは「コネクティド・シティ」というビジョンを掲げて、その実現に向けて未来の体験を実験するために東富⼠に「Woven City」を作る計画を発表しています。⽇⽴製作所ではビジョンデザインを「新しい社会システムのあり⽅を考えるための問題提起」として発表しています。
そして、コロナショックを経て、これから大きな転換期を迎えつつある経済活動で、日本は「このままじゃやばい!」という状況に直面してきていると感じます。0から1を生み出す方法としてのビジョンデザインが必要とされているのです。

Xデザイン学校でオンラインの公開講座が開かれた

そのような中、山崎先生の呼びかけで5名の話題提供者が集められ、Xデザイン学校の公開講座が行われることに。

■ ⽇時:6 ⽉ 26 ⽇(⾦)18:30-21:00
■ プログラム 
18:30-18:35 はじめに
18:35-19:00 丸⼭幸伸(⽇⽴製作所)
19:00-19:25 上⽥義弘(y2.DesignConsulting/ 元富⼠通デザイン)
19:25-19:50 富⽥誠(東海⼤学)
19:55-20:20 ⼭﨑和彦(武蔵野美術⼤学/ X デザイン研究所)
20:20-20:45 三澤直加(グラグリッド)
20:45-21:00 ディスカッション
■ 主催:X デザイン学校、X デザイン研究所
■ 共催:⽇本デザイン学会 PD 部会

⼤企業においてのビジョン作り、大学におけるビジョンデザインの研究、デザイン事務所でのビジョンデザインのサポート、という多様な立場からビジョンデザインの実践とアプローチについて議論される場になりました。

5名の話題提供を考える

実践者たちの濃厚な話題提供は、さまざまな事例、概念モデルなどが紹介されていきました。グラフィックレコーディングの抜粋版も添えてご紹介します。

丸⼭幸伸さん(⽇⽴製作所)の話題提供より

長年ビジョンデザインに取り組み、国際的に活動を続けている丸山さんのお話からは、社会的イノベーション事業においてのデザイナーの挑戦が見えてきました。ビジョンデザインは「構想形成」であること。それは策定される類のものではなく、実証し導入されていくべきものであること、などが語られました。

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上⽥義弘さん(y2.DesignConsulting/ 元富⼠通デザイン)の話題提供より

これまで富士通デザインで、プロダクトを中心にビジネスのロードマップを通してビジョンをデザインしてきた上田さんからは、人と社会が寄り添うデザイン のあり方が語られました。デザイナーが組織のビジョンに対してどのように活動をピボットしていくべきか、示唆があったように思います。

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富⽥誠さん(東海⼤学)の話題提供より

研究としては、まだまだ未開拓領域であるビジョンデザイン。古代からビジョンを描いてきた人類の流れを振り返り、これからどのようなアプローチが必要なのか?問いかけられていました。特に、ビジョンをつくる上での必要なコミュニケーション方法、共創の場の作り方の必要性についてご紹介いただきました。

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⼭﨑和彦さん(武蔵野美術⼤学/ X デザイン研究所)話題提供より

コミュニティの中でのビジョンづくりのプロジェクトの事例紹介とともに、課題解決型デザインとビジョン提案型デザインの飛躍的なフレームワークが紹介されました。

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三澤直加(グラグリッド)話題提供より

クライアント企業さんと共に歩んだビジョンデザインプロジェクトを3つの視点から紹介しました。自分たちの意味を見つける/未来のシーンを描く/一人一人の行動変容を刺激する、それぞれの活動と意味について。また、企業がビジョンデザインで困っていることやそのために必要なことについて、参加者に問う内容でした。(編集されたスライドはこちら。)

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カオスな状態である「ビジョンデザイン」

今回、事例として紹介されたものは実に多様。カオスな状態に。「ビジョンデザインとは一体なのか?」を考えさせられるものでした。しかし、大切なのは、その目的を明確に捉えるということ。ビジョンデザインを混乱させないために「誰のためにつくるビジョンなのか?」ビジョンをデザインする人がきちんと捉え、意識的に制御すべきではないか?という丸山さんからの問いかけに、ディスカッションが深まっていきました。

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例えば、「経営視点」のビジョンと「事業戦略視点」のビジョンの間にある溝(のように、見えました)は、とても深く、混同してしまったら実に危険です。会社の方針をビジョンとして描く「経営視点」に対して、それらの方針や社会的状況を加味した競業戦略/機会領域探索のようなビジョンは全く別物。山崎先生の資料になぞらえて、乱暴に言ってしまえば「アート思考」と「デザイン思考」の溝でもあり、必要なアプローチが異なってくるからです。

その溝を埋めていくことが、もしかしたら、ビジョンをつくることそのものよりも、本質的に求められていることなのかもしれない、と感じています。そして、それがサービスデザインが果たすべき命題なのかもと。

(三澤)

講演資料


■参考note

■参考:グラグリッドのビジョン創出支援








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