未来を切り開く礎をつくる。 金沢美大サービスデザインプログラムレポート
こんにちは。サービスデザインの現場で学びだした小野です。
金沢美術工芸大学で行われているサービスデザインのプログラム。この授業の最終プレゼンテーションが行われた6月22(金)に、お邪魔する機会を得ました。サービスデザインの初学者の私が、大切だと感じたことをレポートしていきます。
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デザインの全専攻必須のプログラム
このプログラムは、4〜6月の間で各月1週間ずつ、集中して実践的な演習を行い、サービスデザインのプロトタイピングまでを行うもの。弊社代表の三澤がプログラムの講師を務めてきました。
金沢美大には、3つのデザイン科の専攻(視覚デザイン、製品デザイン、環境デザイン)がありますが、その2年生全員が必須の授業です。そして、その3専攻がミックスされたチームで、協力しあいながら1つのサービスを考え続けてきました。
テーマは、「和菓子の新しい買い方・食べ方・関わり方」です。金沢には、豊かな和菓子文化が根付いていますが、実際に3社の和菓子屋さんにご協力いただだきながら、新しい和菓子のサービスを提案していきました。
和菓子を単体で考えるのではなく、カスタマージャーニーや、ステークホルダーとの関係性を検討しながら、さまざまなライフスタイルを提案するような提案になっています。
動画を使ったプレゼンテーション
緊張した面持ちでスタートしたプレゼンテーション。1チーム7分30秒の中で、考えてきたサービスの全体像をプレゼンします。
プレゼンテーションの内容
・サービスのコンセプト動画(2分30秒)
・コンセプトの紹介(ターゲット/体験価値/サービスの特徴)
・カスタマージャーニーマップ
・ステークホルダーマップ
冒頭でコンセプト動画を流すためどこまで簡潔に、大切にしていることを伝えられるかが鍵になってきます。
プレゼンテーションが終わると、三澤から丁寧に各チームに向けてサービスの良い点と、ビジネスに対するアドバイスをしていきます。
全体のアドバイスを通して、4つのポイントがみえてきました。
●ビジネスとして持続するための仕組みを考えられているか
どんなに切り口やコンセプトがよくても、ビジネスとして持続していくための仕組み(お金の流れや、サービスを支える人たちの役割)がしっかり考えたれていないと成り立ちません。
CJMやステークホルダーマップで流れや役割を表現し、伝えられているか。
●価値ある体験を生み出せているか
お金を払い、時間をつくってまで得たいと感じるサービスになっているか?
サービスを利用することで、日常の一コマを豊かにする体験を生み出せているか。
●広く社会を捉えながらデザインされているか
これから起こるであろう未来の課題や、社会課題を解決する視点が含まれているか。デザイナー自身が社会を理解し、広い視点で社会を捉えられているか。
●和菓子でなくては成立しないサービスを考え、提案できているか
和菓子だからこそ生みだすことができる新しい文化や、まだない繋がりや関わりをつくる提案ができているか。
進めるうちに目に見えるものや手法に振り回され、コンセプトを意識できなくなってしまうということは多々あると思います。この4つのポイントは、社会に対して価値を提供するというサービスデザイナーの大事な指標になるものだと感じました。
先輩たちからのメッセージ
全体の講評では、製品デザインの河崎先生、環境デザインの北村先生から学生たちに向けてのメッセージが贈られました。(視覚デザインの寺井先生は今回のみご欠席でした)
その中でも私が特に印象的に感じたのは
「それぞれの専攻に戻った時、学んだことや経験をどう活かすかが大事。
要所要所で、この経験が活きる時がくるので活用してほしい。」
という言葉です。
先生たちが伝えたいメッセージは、普段の授業の中でも活かされている!と、感じる出来事がありました。それは、昨年サービスデザインの授業を受けた現3年生たちから、話を伺う機会があったからです。
▼昨年の受講生(現3年生)のコメント
取り組んでいた時は混乱して、理解できていなかった。でも、落ち着いたら理解できた。サービスデザインの考え方は、これからもっと必要になると思い、本を買ってみんなで勉強したりしている。
(製品デザイン学生)
去年はみんなでやっていたから、うまく進めることができた。でも、一人で実践しようとしても全然うまくいかない。このサービスデザインは、これから何をやるにしても大事な考え方になるはず。だからこそ、もう一度サービスデザインの現場で勉強したい。
(環境デザイン学生)
インターンなどで企業に行くと、どこに行っても評判がいい!サービスデザインをやってないと、もうついていけないという感覚もある。
(製品デザイン学生)
サービスデザインの考え方を、絶対に自分の力にするぞ!という気持ちが伝わってきました。プログラムがスタートしてから1年経ち、考え方が根付いているんだと実感した瞬間でした。
(去年の様子はこちらのブログにて)
授業を見学させてもらい、感じたこと
授業の合間にも先生方から、話を伺う時間がありました。
美術大学の授業の中にサービスデザインを取り入れることで、学生たちがもつ可能性の選択肢を広げ、活躍できる未来をつくりたい。
そして、デザインの視点から広く社会を捉えられる人になってほしい。
未来をつくる先生方の姿勢に、胸が熱くなりました。
私は、学生でサービスデザインを学び、理解することは、社会に出た時に大きな自信と力になると強く感じています。まだまだ、社会の中には、サービスデザイナーという職種を受け入れてくれる企業は少ないと思いますが、だからこそ、一人ひとりが社会を捉えてデザインしていける力が必要になっているのだと思います。
デザイナーとしてどんな道を歩み、切り開いていくのか楽しみですね。
刺激と学び溢れる、とても素敵な1日でした!
金沢美術工芸大学の先生方、学生さん、本当にありがとうございました!
(小野)
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