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意味のイノベーションのための思考法? 分類しない!制御しない!意味を探索するワークショップ

“デザイン”の領域が広がりつづける中、新たな存在を生み出すデザイン、文化を醸成するデザインなど、“デザイン”は「問題解決」を超えた役割を担うようになってきました。
今回は、そんな「意味形成のデザイン」のための思考法の一つとして、グラグリッドが提供した斬新で破壊的なワークショップの様子をレポートします。

意味形成のためには、どういいう態度が必要なのでしょうか?

舞台はワークショップの祭典
Service Design Camp 2024

2024年1月21日(日)。東京都千代田区で開催された「Service Design Camp 2024」は、サービスデザインの実践者をはじめ、学びたい人やってみたい人がさまざまな分野から集うイベントです。ワークショップに参加することで、サービスデザインのアプローチについての知見を深め、つながり合うことができます。(#SDCamp24

今年は8つのワークショップがありましたが、その中で、「ゲスト・ワークショップ」の一つとして実施されたのが「意味を探索するビジュアライズ実験 〜抽象画で意味を描こう!〜」。グラグリッドが提供した、ワークショップです。
この記事では、この場で何がおこったのか?どんなものが生まれたのか?レポートしたいと思います。

「隠れた意味」に向き合った120分

ワークを楽しむ参加者のみなさん

このワークショップの目的は、「隠れた意味を探索する」というものでした。誰もが知っている“意味”や、辞書で定義されている“意味”ではなく、サービスデザイナーがリサーチで見つけ出しているように、「その場・そのとき・その人にとっての意味」を見つけ出すというアプローチです。

さらにここでは、無意識のうちに「あたりまえ」だと思っているような固定観念を打ち破り、自分でも気づかなかったものを発見することを目指しました。

固定観念を超え
ユニークな「意味を探索」
を体験してみよう!

ワークショップのねらい

グラグリッドが、おしごととして提供するワークショプは、2〜3日間かけるものですが、その内容から、ギュギュっとエッセンスをつめこみ、2時間でやってみました。

2つのワークで「存在意義」を見出した!

ワークショップは、大きく2つのワークを行いました。
付箋をつかって意味を発掘する「意味カイギ」と抽象画を描くことでその真意を探る「意味カイガ」です。

意味カイギ と 意味カイガ!2つプログラムを実施

活動内容については、このあとじっくり解説するとして。
何の意味を探索したのか?というと・・・

今回のテーマは、ズバリ!「サービスデザイナー」です。
サービスデザイナーの隠れた意味、すなわち、サービスデザイナーの隠れた存在意義を探し出しました。

サービスデザイナーって、いったいどんな存在意義をもってるの?
サービスデザイナーの社会的役割は何なのか?
このサービスデザインキャンプだからこそできる、ド直球のテーマです。

いつもと違う脳みそを使ったら
突破口が見えてきた

参加された方たちは、どのような感想を持ったのでしょうか?

言語化できてなかった思いをカタチにすることができた。

最初は分析脳が働いて、難しいと思ったが、ひとつ関係性がみえると、どんどん広がる開放感を感じておもしろかった!もやもやが言語化できた

このやり方なら、誰かの考えた意味に偏ってしまったり、プロセスが平準化されてしまう、ということから抜け出せそうだ

普段の効率重視の思考とは逆にある、思考や感情やカラダの使い方を改めて考えさせられた

参加者の感想より

普段とは違うやり方を体験したことで、感情やカラダの使い方についてのヒントを得たり、平準化しないやり方のヒントを見つけたり、もやもやと向き合うやり方に気づいた方がいたようですね。

では、さっそく見てみましょう!

【WORK1:意味会議】
意味を探索するポストイットワーク

第一部は、意味を発掘するポストイットワーク。その名も「意味会議」!!

【意味会議】
あらゆるモノやコトの意味をリフレーミングし
新たな意味(存在意義)を定義する会議

 グラグリッドのオリジナルメソッドです

3つのステップで進めます。

3ステップで自分だけの意味を探し言語化する

ざっくりいうと、「要素分解して」「関係性や背景を見出しつづけ」「感性に響いたものを叙述化する」という感じでしょうか。

STEP1:360度探索

まず最初にやることは、テーマに対してさまざまな文脈でさまざまな要素を分解していくことです。思いつく限り大量で多様な付箋紙をつくります。

テーマ「サービスデザイナー」の要素分解
それぞれの付箋からヒントを得てどんどん数を増やす
あと1分!まだまだでるぞ!

STEP2:意味の発掘

次にやることは、付箋紙どおしの関係性に注目しながら、その背景に意味を見つけ出していくワークです。

似ているものは、関係性を見つけやすいが…

ここで大事なのは、分類しないこと!

KJ法や親和図法になれている参加者は、小パニックに。わかりやすく分類しようとしては、隠れたものはみつかりません。人間は、認知バイアスに影響されやすい、ということを意識しつつ、あえて「分類禁止」というルールを提示します。
一見、関係のなさそうなもの結ぶことで、その背景にある意味を掘り起こすことができるからです。

「これは、どういうこと?」ざっくり書いた付箋は書き直し
関係と関係が関係し・・・と、カオスな状態❤に

 STEP3:新たな意味の定義

ここまでグループワークをしてきましたが、ステップ3では、一人ひとりが、ここで見つけ出した「意味」を文章化します。

すごい集中力!
自分が見出した「感覚」に言葉をあてはめていく

個人的な文脈の上に拾い上げられた「存在意義」は、ユニークでいて強い意味をもつものになっています。

ここまでが第一部。隠れた存在意義を、それぞれが見出しました!
(あっさりやっているようですが、ファシリテーションには高度な技術が必要だったりします。)

【WORK2:意味絵画】
意味の真意を探る抽象画ワーク

そして、第二部は、意味の真意を探る抽象画ワーク。
その名も「意味絵画」!

【意味絵画】
そのモノの状態や役割を抽象画で表し
それらがの存在意義となった理由に気付く対話型アートワーク

 グラグリッドのオリジナルメソッドです

3つのステップで進めます。

ビジネスマンのための3ステップ

抽象画を描くことで、そこに描いた色、カタチから、自分の深層心理にきづくことができるという内容です。

本当は、「えいやっ」と抽象画を描くことを楽しみたいところなのですが、これまでさまざまなビジネスマンとワークショップを行ってきて「やり方がわからない」「どう描けばいいの?」「アートとかちょっと難しい」という、声がとても多かったので、まずは、「何を描きたいか自分の気持ちと向き合い整理する」ステップをいれています。

そして、最も重要なのは、絵を描くステップではなく、最後の対話の部分です。絵を描いて、対話することで、思わぬものが見つかります。

STEP1:気持ちの整理

ワークシートを使って自分の気持ちや感覚を確かめていきます
ぴったりくる色、画材を探す参加者「クレヨン楽しい〜!」

STEP2:抽象画を描く

夢中になって自分の中にあるものを描く参加者たち
何度も色を重ねたり擦ったり。「私が表現したいものは、こんな感じじゃないなあ。」
グルグルぐるぐる…「何度も失敗してやり直していく感じなんです。」

STEP3:対話で見つける

互いの意図を対話により掘り起こし合う
「この周りに出ているものは何ですか?」「刺激です。周りを活性化させてます。」
「ハートの周りが白いのは?」「何にも染まらずにピュアに物事を見ている様子です。」


このワークショップで見出したもの

「隠れた意味を発見する」ことを目的としたこのワークショップ。たった2時間で、参加者全員が、それぞれに自分だけの意味を見出すことができました。

ところで、「サービスデザイナーの隠れた意味」ってどんなものだったのでしょうか?その一部を覗いてみましょう。

抽象に像を与える見えない設計者
世界をより良くしたい!というエゴの力で世界を変えていくモンスター
対象とするアクターを見定め、彼らのヒエラルキーを壊して重ねあ合わせてあげる役割
気のいいトレーナー
人・モノ・場所の関係に着目し、それをより良くするために働きかける人

なんと、ユニークで面白いのでしょうか!!
それぞれが、それぞれの経験と向き合い、そこから見出した独自のサービスデザイナー像が描き出されました。

即席展示会!見る人をアッと言わせた

意味を探索するために必要なのは
価値観と言語を手放す勇気

このワークショップでは、一見、付箋紙をつかった一般的な分析ワークにも見えますし、抽象画を描いて遊んでいるようにも見えます。しかし、分類は禁止。抽象画こそ血眼になって微細な表現にこだわるワークです。参加者にとって、想像と違う内容だったかもしれません。

でもだからこそ、経験した人には大きな変化が訪れます。このワークは、アウトプットに価値があるのではなく、その過程で起こる、人の思考プロセスの変化にこそ、価値があるのです。

最初はすぐに「分析」したくなるでしょう。
正しい答えを求めて、かっこいいものを描こうと見栄をはったりします。
でも、自分の価値観を手放し、自分の知っている言語を手放したとき、それまでとは、異なる思考法が動き出します

混沌と向き合うことで、
感覚を研ぎ澄ますことで。
未知のものを探索する、身体の機能が動き出すはずです。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
自分たちでもやってみたい!と思われた方は、ぜひお声がけください。

(三澤・小森)


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