それぞれの物差し
私は物事の尺度というものに、興味を持つことがある。人がどうやって世界を測り、何を基準にして判断するのか。その捉え方は、まさに人それぞれだと感じている。人の感じ方や考え方は、その人が育った環境や、人生の中で受けた影響によって形作られているからだろう。だからこそ、他人の尺度を知ることは、とても面白いと思うのだ。
たとえば、誰かにとっては「普通」や「当たり前」とされることが、私にとっては新鮮だったり驚きだったりすることがある。そしてその逆もまた然りだ。私たちの中には、それぞれ異なる物差しがあり、それが世界の捉え方を形作っている。だから、他人の物差しを知ることは、まるで別の角度から同じ風景を見るような、新しい発見をもたらしてくれる。
自分の尺度こそが「正しい」と感じる人ももちろん居ると思う。
「私の尺度ではこうだから、これが普通だ」と主張し、それを疑わない。そのような考え方が強くなると、違う尺度を持つ他人に対して、違和感や不快感を抱くことがあるのかもしれない。「みんな違うからこそ面白い」という視点が忘れ去られてしまうこともある。
けれども、私は違う尺度があるからこそ、人生は豊かになると思っている。誰もが同じ物差しで物事を測る世界では、すべてが単調で、あまりに平坦だ。お互いの違いを認め合い、他人の尺度に触れることで、自分の考えが広がったり、新しい視点が生まれたりする。そうして、物事の捉え方や世界の見方がどんどん深まっていくのだろう。
人間関係においても、この違いを楽しむ余裕が大切だと思う。他人と自分の違いに驚き、その違いを面白がる。時には共感できなくても、それでも「なるほど、そんな考え方もあるのか」と受け入れる姿勢を持つことが、相互理解の鍵になる。自分の物差しだけでなく、他人の物差しにも目を向けることで、私たちの世界はより広がり、深みを増していくはずだ。
だからこそ、私はこれからも違う尺度に出会い続けたいし、自分の中の物差しも、いつでも柔軟でありたいと思う。違いを楽しみ、理解し合える世界の方が、きっとずっと豊かで美しいから。
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