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育成就労制度導入。出入国管理法改正案が衆議院で可決

2024年5月21日、出入国管理法などの改正案が衆議院本会議で可決され、参議院に送付されました。
この改正案は、日本の労働市場における人手不足を解消するために、技能実習制度を廃止し、新たに育成就労制度を導入することを目的としています。自民・公明両党や日本維新の会などの賛成多数で可決され、今後参議院での審議を経て成立する見込みです。

出入国管理法改正案の目的

出入国管理法改正案の主な目的は、介護や建設、農業などの労働力不足が深刻な分野で外国人材を確保し、これらの分野での持続可能な発展を支援することです。
具体的には、従来の技能実習制度を廃止し、代わりに育成就労制度を導入することで、外国人労働者が日本で専門的な技能を習得し、「特定技能」水準に達することを目指しています。
外国人労働者が一定の要件を満たせば、他の企業への転籍も可能となります。

また、改正案には、外国人労働者が故意に納税などを怠った場合、永住許可を取り消すことができる規定も含まれています。
ただし、生活状況などに十分配慮することが付則に盛り込まれ、厳格な適用が求められています。
今回の法改正は外国人労働者の権利保護と日本社会への円滑な適応を図ることも目指しています。

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改正案の内容

技能実習制度から育成就労制度への移行

今回の改正案では、現在の技能実習制度を廃止し、新たに育成就労制度が導入することを目指しています。
技能実習制度は、これまで多くの問題が指摘されてきました。
特に、労働条件の悪化や実習生の人権侵害といった問題が顕著でした。
育成就労制度は、こうした問題を解消し、より効果的に外国人労働者を育成し、活用することを目指しています。
外国人労働者が特定の技能を習得し、日本の労働市場に貢献できるような仕組みを提供します。

「特定技能」水準の育成と転籍の要件

育成就労制度の下では、外国人労働者が3年間の研修を通じて「特定技能」の水準に達することが求められます。「特定技能」とは、介護、建設、農業などの分野で専門的な技能を持つ労働者を指します。
この制度では、一定の要件を満たした場合、外国人労働者は現在の雇用主から別の企業に転籍することが認められます。
労働者は自身のキャリアをより自由に発展させることができ、企業側も必要な技能を持つ労働者を適切に確保することが可能になります。

永住許可取り消しの条件と修正点

改正案には、外国人労働者が故意に納税などの義務を怠った場合、永住許可を取り消すことができる条項が含まれています。
この条項によって、日本の法と秩序を守るための措置が強化されます。
しかし、永住許可の取り消しに関しては、外国人労働者の生活状況や経済的背景に十分配慮することが重要です。
この点については、2024年5月17日の衆議院法務委員会で、自民・公明両党と立憲民主党、日本維新の会の協議により、永住許可取り消しの際には生活状況などに十分配慮することを付則に盛り込む修正が行われました。
外国人労働者の権利が不当に侵害されないようにするための保護措置が追加されたということです。

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衆議院本会議での討論

立憲民主党の反対意見

衆議院本会議での討論では、立憲民主党の鎌田さゆり氏が改正案に対して強い批判を述べました。
鎌田氏は、改正案にはいくつかの修正が加えられたものの、依然として多くの問題が残っていると指摘しました。
具体的には、外国人労働者と日本社会が「共に暮らし、働いていく」という明確な意思が感じられない点や、修正された部分を除く政府案の根本的な問題が解決されていない点を強調しました。

修正協議の成果と残る問題点

修正協議の結果、永住許可の取り消しに関する条項には、生活状況などに十分配慮することが付則に盛り込まれるなど、一定の成果がありました。
しかし、鎌田氏が指摘するように、修正部分を除いた政府案には依然として多くの問題が残っており、特に外国人労働者の権利保護や労働条件の改善については不十分であるとの批判が続いています。

自民党の賛成意見

一方、自民党の牧原秀樹氏は、改正案の重要性を強調しました。
牧原氏は、国際的な人材獲得競争が激化する中で、日本が魅力的な働き先として選ばれる国でなければならないと述べました。
また、法案は中長期的な視点で日本の発展に資するものであり、外国人材の受け入れは日本社会の持続可能な発展に寄与するとの考えを示しました。
自民党は、こうした理由から改正案に賛成の立場を取っています。

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改正案の採決と参議院への送付

賛成派と反対派の内訳

衆議院本会議での採決では、自民・公明両党、日本維新の会、国民民主党、教育無償化を実現する会などが改正案に賛成しました。
一方、立憲民主党や共産党、れいわ新選組などが反対票を投じました。
結果として、賛成多数で改正案は可決され、参議院へと送付されることとなりました。

採決結果と参議院での今後の見通し

改正案は賛成多数で可決され、参議院での審議が待たれます。
参議院でも同様の議論が繰り広げられることが予想され、最終的な採決結果に注目が集まります。
参議院での審議がスムーズに進むかどうかは、今後の法案成立の鍵となるでしょう。

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まとめ

改正案の意義と今後の課題

出入国管理法改正案は、日本の労働市場における人手不足を解消し、外国人労働者を効果的に活用するための重要な一歩です。
しかし、立憲民主党が指摘するように、外国人労働者の権利保護や労働条件の改善など、解決すべき課題も多く残っています。
これらの課題に対しては、今後も継続的な改善と対応が求められます。

日本の労働市場と外国人材の役割

日本の労働市場において、外国人材は今後ますます重要な役割を果たすことが期待されています。
介護や建設、農業などの分野での人手不足を解消するためには、外国人労働者の力が不可欠です。
今回の法改正は、そのための一歩として評価されるべきですが、同時に外国人労働者が安心して働ける環境を整えることが求められます。
日本が国際的な人材獲得競争で魅力的な国となるためには、こうした取り組みを着実に進めていくことが重要です。

参考文献:NHK(2024)「出入国管理法などの改正案 衆議院本会議で可決 参議院へ」, <https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240521/k10014456301000.html> 2024年5月22日アクセス.


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監修:センターポイント協同組合



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