見出し画像

育成就労改正案が国会審議入り!

国会での改正案審議入り

2024年4月16日、日本の国会は、技能実習制度を廃止し、その代わりに「育成就労制度」を設けることを目的とした出入国管理法などの改正案に対する審議を開始しました。
育成就労制度は、専門の技能を持つと認められた外国人に「特定技能」の水準まで育成することを目標としています。
介護、建設、農業などの人材不足が顕著な分野を対象とし、これらの分野で特定技能と同等の職種に限定して外国人労働者を受け入れる計画です。

改正案については、衆議院本会議で小泉進次郎法務大臣から趣旨説明が行われた後、質疑応答が進行しました。
立憲民主党の鈴木庸介氏をはじめとする野党議員からは、技能実習制度の問題点が育成就労制度によってどの程度解決されるのかについて疑問が投げかけられました。
これに対して、岸田文雄総理大臣は、新制度が外国人労働者にとってより魅力的で理解しやすく、人権が守られる環境を提供することを目指すと応答しました。
これらの対話は、新しい制度への国民的な関心と期待を反映しており、今後の議論の行方に注目が集まっています。

育成就労制度の初心者向け解説はこちら!
育成就労.comでは、育成就労制度を初心者向けに解説した記事を数多く掲載しています。より分かりやすく育成就労制度を理解したい方はこちらを御覧ください。



技能実習制度から育成就労制度への移行の背景

技能実習制度から育成就労制度への移行は、日本の労働市場の変化と外国人労働者の受け入れ環境の改善が強く求められていることが背景にあります。
技能実習制度は1993年に開始され、主に開発途上国からの労働者に対して日本の技術や知識を学ぶ機会を提供することを目的としていましたが、時間の経過と共に多くの問題点が明らかになりました。

技能実習制度は、労働力不足の解消という側面で利用されることが多く、実際には研修という名の下で低賃金での労働が強いられるケースが少なくありませんでした。
また、人権侵害の問題や劣悪な労働環境、技能実習生の逃亡といった問題も後を絶ちませんでした。これらの問題は、日本国内外から批判を浴びる原因となり、制度の根本的な見直しが求められていました。

新しく提案された「育成就労制度」は、これらの問題に対処するため、より制度化された環境のもとで外国人労働者の技能向上とキャリア形成を支援することを目指しています。
この制度は、特定の技能があると認められた外国人に対して、日本での長期的なキャリアパスを提供し、技能実習制度のもつ一時的かつ限定的な性質を超えた、持続可能な人材育成のフレームワークを構築することを意図しています。
このように、育成就労制度は技能実習制度の問題点を解消し、外国人労働者と日本社会双方にとって公平で利益をもたらす体系を確立することを目的としています。


政治的議論

衆議院本会議での議論の概要

衆議院本会議での「育成就労制度」の改正案に関する議論は、新制度の意義と潜在的な問題点についての意見が交わされました。改正案の趣旨説明後、質疑応答が行われ、与党と野党から多様な視点が提示されました。

立憲民主党の鈴木庸介氏は、技能実習制度の持つ根本的な問題が育成就労制度によってどの程度解決されるのかに疑問を呈しました。彼は、名称の変更が行われたとしても、制度の本質的な問題点が残ると指摘し、転職を認めるなどの改善が施されたように見えても、実際のハードルが非常に高いため、政府にはより大胆な改革が求められると強調しました。

これに対して、岸田文雄総理大臣は、制度の改正が外国人労働者にとってより良い環境を提供し、彼らが希望する職場に移ることが適切に行われるよう支援を強化する点を強調しました。また、岸田総理は、日本が国際的に魅力ある働き先として選ばれる国になるよう、人権侵害の防止を含む分かりやすく公平な制度への改善を進めると述べ、新制度に対する理解を求めました。

この議論は、新しい育成就労制度がただ技能実習制度の問題を改名するだけでなく、実質的な改善を伴う必要があることを示すものであり、政府と議会がどのようにこれらの課題に対応するかが今後の焦点となります。

育成就労制度の初心者向け解説はこちら!
育成就労.comでは、育成就労制度を初心者向けに解説した記事を数多く掲載しています。より分かりやすく育成就労制度を理解したい方はこちらを御覧ください。



岸田総理大臣の回答

岸田文雄総理大臣は、衆議院本会議での質疑応答中に、新設される「育成就労制度」についての政府の方針を明確に説明しました。
総理大臣は、この新制度が外国人労働者にとってより良い労働環境を提供し、彼らのキャリアアップと日本での安定した生活を支援することを目的としていることを強調しました。

特に、転籍の適正化に焦点を当て、転籍が外国人労働者にとってより柔軟かつ実現可能な選択肢となるよう努めることが述べられました。
この点において、総理は新設される監理支援機関が中心となり、外国人労働者が異なる企業へ移る際の支援を積極的に行う体制を整えることを保証しました。

さらに、岸田総理は、日本が国際的に競争力のある魅力的な労働市場となることを目指し、制度を通じて外国人の人権を尊重し、人権侵害を防止する措置を講じることも強調しました。
これにより、日本で働く外国人労働者が尊重され、公平な扱いを受けることが保証されるよう努めると述べました。

この答弁は、政府が育成就労制度を通じて外国人労働者に対するサポートを強化し、日本の労働市場を国際的にも魅力的なものにするための取り組みを強化する意向を示しています。政府のこの方針は、新制度が単なる技能実習制度の名前変更に留まらず、実質的な改善を目指していることを国民に納得させるための重要なステップです。


まとめ

育成就労制度に関する改正案が国会で審議入りしたことは、日本の外国人労働政策の大きな転換点を示しています。
この育成就労制度は、技能実習制度の多くの問題点を解決し、外国人労働者の人権保護とキャリアアップを促進することを目的としています。
改正案では、特定技能の水準にまで外国人を育成し、介護や建設、農業などの人材確保が必要な分野での労働力を支えることを計画しています。

岸田総理の答弁は、これらの改革がどのように外国人労働者にとって利益をもたらし、日本が国際的に競争力のある「魅力ある働き先」としてどのように位置付けられるかを明確にしました。政府はこれを通じて、外国人労働者が公平かつ人権を尊重された環境で働けるよう取り組んでいることを強調し、社会全体の理解と支援を求めています。

この改正案の審議は、今後の日本の社会経済の持続可能性にとって決定的な影響を与えるため、引き続き注目する必要があります。

育成就労制度の初心者向け解説はこちら!
育成就労.comでは、育成就労制度を初心者向けに解説した記事を数多く掲載しています。より分かりやすく育成就労制度を理解したい方はこちらを御覧ください。



参考文献:NHK(2024)「『育成就労制度』 出入国管理法などの改正案 国会で審議入り」, <https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240416/k10014423641000.html> 2024年4月19日アクセス.

監修:センターポイント協同組合



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?