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キタニタツヤさんの「監禁」を見て

1.突然

2024年8月25日、キタニタツヤさんが一本の新曲……ではなく、動画を公開しました。
タイトルは「監禁」、脚本はダ・ヴィンチ・恐山さん、監督は川滝悟司さんが務めております。

ダ・ヴィンチ・恐山さんは、小説家、漫画家として活動されている一方、YouTube上では『オモコロチャンネル』のメンバーとしても活動なされています。

ーーダ・ヴィンチ・恐山 氏

また、川滝悟司さんは、クジラ夜の街さんの楽曲である「踊ろう命ある限り」「裏終電・敵前逃亡同盟」のMVの構成を手掛けたことで有名な方です。

一部のファンの方はこのお二方の名前が出てきた時点で、期待が高まったという方がいたとか。

以下、リンクを掲載します。今回の記事を読んでいただく前に、未視聴の方は最初に視聴することをオススメします

2.内容

始動

ソファの上、黒いビニールに包まれた上でロープで縛られた誰かの姿で動画は始まります。
開始から不穏な空気を醸しながら、30秒ほどで場面が切り替わり、記者と思しき女性、マネージャーと思しき男性、キタニタツヤさんの三人が無機質な白い部屋に出てくる様子が映し出されます。

ーー今日はよろしくお願いいたします
『よろしくお願いします……』

内容はキタニさんの新曲に関しての巻頭インタビュー、彼のアーティストとしての人生をざっくばらんに語るといった内容。

ーー音楽を始めたきっかけは何でしょうか
『最初に小学校の時に✕✕✕のバンドが好きになって、そこでロックとか、あと音楽……バンドとか、そういうのがいいなとか、いつか自分もやってみたいと思ってーー』

その言葉と共に、とある男性の背中が映し出されます。その男性が歩く映像と共にキタニさんに対するインタビューは続きます。
彼はキタニさんに対する呟きをSNSに投稿した後、ギターを弾き始めます。その音は流れていませんでしたが、彼もまた音楽を志す一人であることが伺えました。
負けていられるかーーあるいはキタニタツヤという一人のアーティストへの大きな憧れかーーベッドのすぐそばにある壁にはキタニさんのアルバムジャケットの壁紙が貼られており、ギターを弾く男性はファンの一人であると伺えます。

ーーエゴサーチとかは割とされる方ですか?
『あ~……エゴサーチとかは、最近していないですね。全員に好かれるのって無理じゃないですか、だから最近はしていないですね』

キタニさんが眺めるスマホには、『後ろ向きな曲』『絶望を知っている人の歌』という言葉が映っていました。先ほどまで男性が呟いていた言葉でした。

ーー売れてない時はどのようなアルバイトをしていましたか?
『アルバイトは……塾の講師とか……学校の勉強できたんで(東大卒)
あと居酒屋でバイトしていましたね(後に〇uizKnockの社長になるしょーもない先輩を尻目に)』

インタビューのさなかに流れる映像の中で、再び街を歩く男性。
その後、ベッドに寝転がり『タイアップすごくない?』『「見つかった」感あるな』『キタニの時代が来た』という呟きを見てーー
キタニさんの曲を聴いてーー
またギターを弾いてーー
男性の音楽に対する熱意が伝わってきます。

タイアップの話に関しては、最近、アニメ『推しの子』において、元SexyZone・現timeleszメンバーの中島健人さんと『GEMN』というユニットを組み、オープニングテーマである『ファタール』をリリースしたことが記憶に新しく、男性が見た呟きも、恐らくキタニさんの従来のファンによるものだと思われます。

ーー最近タイアップなども増えてきていますが、その状況についてはご自身でどう思っていますか
『そうっすねぇ……たとえば、フェスとかに出た時に、観に来てくれる人がちょっとずつ増えてるなぁって感覚とかはあるんですけど……まあ、でも別に自分の力でここまで来たわけじゃないというか、いろんな大人たちの力を借りたりしているので……今は調子いいかもしんないっすけど、忘れられるのもあっちゅうまなんで……』

インタビューが流れる中で、何度も男性のカットインが入ります。
描写的にバイト終わりでしょうか、疲れた様子で歩く男性。家のポストにはソニーミュージックの文字が書かれた封筒が入っており、それを手に取ります。

[誠に残念ながら今回は落選となりました。]

封筒から取り出されたのは、心を折る言葉でした。キタニさんへのインタビューと共に流れた場面、その場で封筒を開けた男性の淡い希望は砕かれてしまう形になります。

『はい……ちょっと人集まるまで待ちます』

場面は変わり、自宅で生配信を行うキタニさん。

『はい、こんばんは~1000人集まったんでやります、キタニです♪
新曲どうでしたか?感想きてるかね~』

コメント欄に流れる「最高です♡」「神曲すぎ」という言葉たち

『オワコンですね』『キタニ終了宣言』

たった一人、しかしその一人のアンチのコメントに、キタニさんの眉間に皺が寄りました。アンチコメントに対する嫌悪感のまま、人差し指を近付けーー

男性はスイッチを押しました。送った歌は弾かれ、更にはずっと聞き続けているキタニさんの新曲も今まで聞いてきた曲とは違う雰囲気になってしまっていたのか、買ってきたものも椅子の上に投げていました。
怒りのままにアンチコメントを書き込んだ彼はテレビを付けますが、そこから聞こえてくるキタニタツヤという存在の眩さに固唾を呑みます。

ーー人気が出てきて、生活や音楽観などが変わったことなどはありますか?
『音楽観……ああ、いや生活はあんまり変わんない……まあちょっといい家に住めるようになったかな~って感じなんですけど、音楽観でいうと……僕元々、売れてるもの、ポップなものはダサいと思っていまして、子供の頃なんかは特に。最近はなんかみんなが好きなものが、割といいなって自然になってきたという感じはありますねーー』

世間の声と、自分の声、乖離ーー音楽のために思考を止めずにやってきた男性は一心にスマホに書き綴りました。
「なんか……新曲微妙な気がするの俺だけ?」
一度呟いた男性は、指を止めませんでした。自分の中に生じた違和感が肥大化していくのを止められないように、音楽という崇高な場に対する畏敬の念を忘れた男への叱責をするように。

その声に、象徴的なリップピアスが揺れる。

ーーデビューから今までで、自分の音楽は変わったと思いますか?
『ん~、ま、それは……聴く人次第みたいなところはあんのかなって気がしますけど……自分としてはそんなに常々変化していますけど、核の部分というか、根っこの部分は変わっていないのかな、とーー』

憧憬

『思っています』

平然と、耳触りのいい言葉を吐いたその姿に、かつての姿は無かった。今までの憧れを全て嘘にされた、否定された。
指標にしていた憧れは一瞬にして下卑た絵に成り下がった。腸が、胃が、熱くなっていく。こびり付いて剥がれない腹の底のように、壁に飾られた絵を引っぺがしていくが、それでも腹の底が剥がれない。反芻する言葉が熱に留まることなく注がれ続けているせいで、脳が煮えて本能だけがその場に響く。そんな言葉に壁はただただオウムのように同じ音を返すだけだった。
腹の底から湧き上がる音が大きくなっていく、煮え切らない脳で紡ぎだした言葉をひたすらスマホの画面に打ち込んでいっては世界に送り出し、また別の言葉を打ち込んでいっては送り出しーー繰り返す。大衆の音楽に成り下がり、人に媚びを売る駄犬と何ら変わらなくなったこの男を許せるものか。冷えて固まった脳の中心に燦然と輝くあの頃の姿をもう一度見せてくれ。あの頃の姿を植え付けておいてそんなザマはないだろ。

生配信を終え、スマホを眺めるキタニ。男の声が殴り綴られたモノがスマホが目を通じ、脳の奥に冷たく刺さっていく。
そのままスマホを床に叩き付け、座っていたソファに一度背を預ける。だが跳ね返るスマホの音が、乱れる呼吸を落ち着かせるための術を消し飛ばした。
『そんなことは俺が一番よく分かってんだよ』
文字という美しい型枠など忘れて、立ち上がって叫ぶ。髪を振って。数えるのも億劫になるほどの時間で心が乾いてしまったことなど、自分がよく分かっている。
ほんの数年、1ミリにも満たない深さの付き合いを続けてきただけの関係のくせに、今更そんな分かり切ったことを突き付けられても困るだけだ。
口元を押さえる。先に拒絶反応を示したのは胃だったらしく。急いで洗面所に駆け込んでいく。

「配信とか目撃情報とかをつなぎ合わせるとキタニのマンションこれ説濃厚。東京都✕✕✕✕✕✕」
丁度いいポストがあった。『BIPOLAR』だけが残された部屋の中で、ほど良く冷めた熱のまま体を動かす。バイトで使っている配達カバンに色々と物を詰めていく。ロープ、黒いビニール、軽い金属音はチャンスに躍る自分の心に似ていた。

よろめく足で、洗面所にたどり着く。異物は食道と口の境界線を刺激しーー
洗面器に顔を伏せて、嗚咽の原因を吐き出していく。酸っぱい臭いと共に現したソレは、幼稚だけれども確かに美しい型枠だった。
『て』『か』
ステンレスの上に出てきたソレを眺めている間に、男性が配達かばんを背負ってアパートの通路を歩いていることを、キタニは知る由もない。
咳き込む中で手にした水色の『ん』。子供にでも持たせているかのような丸い文字。なぜこれが自分の体から出てきたのかは分からない。苛立つままにそれを床に叩き付けるが、胸の奥でムカムカしている余計な言葉が消えることは無かった。
喉の奥が爛れたような感覚で苛まれる中、玄関の呼び鈴が鳴る。夜中という不自然極まりない時間に、どうにか平静を装いながら向かう。

いくらチャイムを鳴らしても一向に出てこない。またくだらない配信でもやっているのだろうか。教祖様は随分と忙しいことだ。心の中でボヤく。人差し指で刻むリズムが落ち始めたタイミングでーードアが開く。すかさず左足でドアを押さえて、ムカつく顔に向かって声を掛ける。

ーー曲作りにファンの評判は、反映します?

自分の迂闊さを悔いた。目の前にいる男は左足でドアを押さえ、凄まじい剣幕でこちらを責め立ててくる。

『ああ~それはもう昔は……少し……気にしていた部分もあったんですけど』

「い、家の中に入ろうとしてんじゃねぇよ」
震える声で言い放ち、手元にあったスプレーを男の目に吹きかける。男は目を押さえ、それまで剥き出しにしていた敵意以上の激痛に悶えながら走り去っていく。その姿は一瞬にしてドアの後ろに隠れ、自分の目で逃げる背中を見ることはなかった。

『一切気にしないようには、していますね』

脳裏に、感情で歪んだ男の顔と、殴り綴られた言葉が逡巡する。点と点が繋がるような感覚が瞳の動きを不安定にさせた。
そうして一瞬で冷静になる。とにかくソファに座り込み、呼吸を整える。

叫喚

目の痛みも落ち着き、家に戻ってくる。かばんをベッドの上に投げ捨てると、自分の身に起きたことに興奮する。
冷静に考えてみたら、自分はあのキタニタツヤに会ったのだ。本物が目の前にいたんだ。そう思うと興奮が止まらなかった。顔にこびり付くスプレーの痕を振り払い、こみ上げてくる興奮に頭が痒くなる。
朝にだって、昼にだって、夜にだって理不尽に苛まれた自分がーー
昨日にだって、今日にだって、明日にだって不条理に貫かれた自分がーー
興奮は冷めやらない。画面で見るよりもその存在感はーー
チャイムが鳴る。こんな時間に誰だろうか。
扉を開けると、そこにキタニタツヤがいた。まさか追いかけてきたのかーーその情報が脳に伝達するよりも先に、顔にスプレーを掛けられた。

かばんの中にあった黒ビニールとロープで拘束。履き潰した靴の底のようにギリギリ残った良心は顔の付近に開けてある。自分の家のとは違う小さなソファに乗せてみたが、特に何も感じない。思いの外自分は擦り減っていたようだった。
黒ビニールの椅子は実に最悪な座り心地だった、家にあった漫画を適当に開く。史上最強の敵が、同じランクだとされるボスに対して格の違いを見せつけた場面だけ読んで、後は適当に流して読んだ。
とりあえずテレビの横にあった飲みかけの牛乳を飲む。とりあえず丸めてあった紙を広げ、そこに綴られていた言葉を見る。

[誠に残念ながら今回は落選となりました。]

吐瀉物を処理した雑巾のような後味が広がる。紙を適当に投げ、今度はポテトチップスを一枚口に放り、開きっぱなしのパソコンを漁る、犬の骨以上に取るに足らないと判断した歌がどんなものかを聴いてやろうと何故か思ったからだ。
「demo_07.mp3」ーー開かれたファイルの中には八つの曲が入っていた。

ーー昔から応援してくれている、キタニファンのことはどう思われていますか?
『それはもう、割とシンプルに感謝してるーー』

曲を閉じる。馬乗りになり、椅子に言葉を投げる。

「何が分かんだよ『って言う感じに感謝していまして』

黒ビニールを開け、封じられている口元を晒す。
縛られる苦しみなんて知りもしないで好き勝手言ったんだ。自分が同じ立場になることなんて織り込み済みなんだろう?

「✕oi✕✕e✕、i✕✕e✕i✕o」

ガムテープを剥がす。

「✕an✕an✕a、o✕ae」

ーーじゃあ、キタニさんの快進撃は、まだまだ続きそうですね。

……………。

『そんなこと』
『まあなんか』
『一番の』
『僕の根っこの部分は』
『売れている』
『分かんないよ』
『全員で背負って』
『変わってないんじゃないかな』

佳肴

「すいませ~ん、そろそろお時間なので……」

ここで巻頭インタビューが終わり、マネージャーと思しき男性が慌ただしく部屋に駆け込んできます。

ーーあ、すみません!そうでしたね……これ、お土産のゼリーなんですけど、良かったら……

と、記者の女性は足元の脇に置いていた袋をキタニさんに渡します。
袋には模様が書いてありましたが……あいにく、どのようなブランドのものか分かりませんでした……(もしかしたら意味は特に無し?)

「あすみません、ありがとうございます」

ゼリーを受け取ったキタニさんに告げられたのは、初稿は一週間後になるという話でした。


自宅に戻る。ソファの上には縛られた細長い黒ビニール。テーブルの上には丸い子供が遊んでそうな丸い文字が集まっている。

「おっ、桃じゃーん」

インタビューでもらったゼリーに入っていた果物に興奮する。

ビニールの膨張する音、縮小する音。急かすようなそれに、ゼリー片手に近付く。
気の抜けた言葉を漏らしながら黒ビニールの上に乗り、口元を出す。
象徴的なリップピアスが覗く。欲しがっているようなのでプラスチックのスプーンに『ん』を一口よそう。


ーー一番好きな食べ物は何ですか?
『食べ物?う~ん……食べ物。う~ん……』











「えび?」












3.考察

全編通して感じたことは、キタニタツヤもまた一人の人間であると再認識したこと、そんなキタニさん自身の苦悩。そして、古参のファンに対する警鐘です。

男性について

最初に、動画に出てくる男性ですが……彼は恐らく過去のキタニさん、そして一部の過激な古参のファンだと考察しています。
最初の場面で見せたキタニさんへの強い憧れ、それが徐々にアンチに変化していく様子は世間一般になじむ為に丸くなっていく今の自分自身に対する嫌悪の表現なのではないかと考察しています。
『後ろ向きな曲』『絶望を知っている人の歌』というのは古参のファンからの言葉であり、同時にキタニさん自身の自己評価ではないかと。
しかし今のキタニタツヤは違うーーそれは一部の過激な古参のファン。そして作りたい歌を作っていた頃の自分からの意見であり……それ故に動画のような描写をしたのではないかと考察しています。
ではなぜキタニさんの過去と一部の過激な古参のファンが一緒の存在となっているのかと言うと、これは古参のファンが言う「昔の方がよかった」という言葉は、キタニさん自身が既に自分に対して投げかけている言葉だったことに起因するのではないかと考えています。それこそ、この声が出てくる何か月も、何年も前にーー。

三人のキタニタツヤ

次に、キタニさんですが……私は動画内にキタニさんは三人存在していると考察します。

まず、口のキタニタツヤ
インタビュー内で口元だけが映し出されるシーンがありますが、これは世間一般という舞台に立つためのキタニさんであり、文字通りのペルソナであると考察します。
社会において大きな価値を持つ数字ーーお金、視聴者の数、ライブ会場までの距離。駆け出しの頃と比べて巨大で、煩雑になり過ぎてしまった以上、些細なミスすら、キタニさん自身の人生に大きな影を落とすことになるほどに膨大になってしまいました
だからこそ当たり障りのないよう、丸くならざるを得なくなりました。でもキタニタツヤという人間の本質は角だらけです。だからこそ、このような形でペルソナを作り出したのではないかと考察してます。かつて自身の弱い部分を数多の人格で覆い尽くしたビリー・ミリガンのようにーー

次に男性と向き合うキタニタツヤ
根本の部分は変わっていないーーとインタビューで語るキタニさんを責め立てるように男性はアンチコメントをキタニさんに送り込み、絶叫しています。その後、リンクするようにキタニさんも絶叫。このシーンで二人が本質的には同じであることが分かります
男性は家の壁に貼ってあるポスターを全て引き剥がし、最後に残ったのは『BIPOLAR』。
BIPOLAR(バイポーラ)とは、二極性を意味する言葉です。即ち、この瞬間に男性とキタニさんは、本質は同じでありながら対極に位置する関係になってしまったことを暗示しています
男性がキタニさんを拘束しようとするシーンは、口のキタニタツヤに代わろうとするという暗示……端的に言うと尖った本音で語りたいキタニさんの欲求を暗示しているのではないかと考察しています。
男性が拘束された後、キタニさんのとった行動の意図についてですが……
・読み物を読む=過去の自分の主張、理由を読み解く
・食べ物を食べる=過去の自分を納得させ、飲み込む

その上で「何が分かんだよ」という言葉の意味は、過去の自分もそうですが、男性の方で考察した一部過激な古参ファンに向けたメッセージでもあるように思えます。

最後に、最後のシーンに登場するキタニタツヤ
雑に言うと黒ビニールの中にいたキタニタツヤさんですね。
多くの人が、実は拘束されていたのはキタニさんだったと息を呑んだシーンですね。
結論から言うとあれはキタニさんに変わったというわけではなく、キタニさんと男性が一つになった、言わば超(スーパー)キタニタツヤというわけです。

………

………

………

クーラー代が浮いた所で、先ほど男性、及びそれに向き合うキタニさんは本質的には同じではないかと語りました。これはあくまで考察なので、真偽のほどは分かりません。
ただ男性の家で行った行動の意味を活かすのであれば、キタニさんと男性が一つの存在となったのではないかと考えるのが妥当ではないかと。
家に帰ってきたキタニさんは口のキタニタツヤであり、拘束されたキタニさんはキタニさんの本音そのものではないかと推測できます。家に帰ってきたことで本当の自分になるという意味を最大に象徴するのが、最後に『ん』の文字を食べさせたシーンです。

丸い文字

これは本当の自分を解放するための言葉なのだと考察します
あの丸い文字が出てきたのは「て」「か」「ん」「ん」の四種類です。
コメント欄で既に同様の考察が散見されますが、これは私も『転換』という文字を表していると考察しております。
キタニさんが洗面器に嘔吐するシーンは、恐らく男性を押さえつけることに限界が近かったことの暗示なのだと考察します。
これは最後のシーンで『ん』の文字を、拘束されたキタニさんに食べさせるシーンを本当の自分に転換するーー即ち、戻るという意味の演出ではないかと私は読み取ったことに起因します
しかしあの場面だけは意味が違います、あのシーンはキタニさんが男性に転換する寸前だったということを示しており、キタニさんにとって大きな間違いに繋がるかもしれない場面だったのです。
余談ですが、キタニさんが家にいるシーンをよく見るとテーブルの上に二本のワイン瓶?が置いてあり、しかもグラスが置いてあるシーンもありました。生配信を酒を飲みながら行っており、この時に文字を飲み込んでいたのではないでしょうか
最後のシーンではテーブルにあの丸い文字が大量に存在しており、あれは今まで抑え込んできたキタニさんの激闘の痕だと解釈しています

伏せ字

「✕oi✕✕e✕、i✕✕e✕i✕o」
→「moippen、ittemiro」
→「もういっぺん、言ってみろ」

「✕an✕an✕a、o✕ae」
→「Nannanda、omae」
→「何なんだ、お前」

えび

「えび」
何かの隠語か、あるいは特に意味のない言葉なのか、よく分かりませんでしたが、あえて考察するならば……
「えび」には「南京錠」という意味で、隠語として使われた事例がある。ということだけ伝えておきます。
由来は、南京錠には「海老錠」という別名が存在しており、南京錠の呼び方をより簡素なものとするために「えび」と一部では呼ばれるようになったとか。
本当にキタニさんがただえびが大好きな可能性がありますが、口に鍵をかけるという、符合する要素が存在しているーーということであえて考察しておきます。

4.最後に

キタニタツヤさんの一ファンとして非常に稚拙ですが、考察をさせていただきました。
キタニさんの曲には大きな魅力があり、私も日常生活のさなかで常に聴かせていただいております。
ここまで読んでいただきありがとうございます。キタニさんの更なる活躍をお祈り申し上げます。

















































『あの日を思い出して眠れなくなる』

『夕焼けが綺麗過ぎて死にたくなる』

『誰かに依存するのが不安でたまらない』

『愛を向けると、愛を向けられるのが怖い』

『人生の意味を知るため、死ぬ選択肢はある』

『君のその苦しみはずっとあるよ、大人になっても』

男性がポスターを剥がした際、壁には『BIPOLAR』のみが残りました。このシーンを見て、まるで音楽を取ったら自分には……

……………。

……………。

……………。

どうしても眠りたくない夜の怖さを、私は知っています。

綺麗な空を見上げた時に、消えてしまいたくなる気持ちを知っています。

笑顔に満ち溢れた家族の光景を見て、胸の奥が締め付けられる辛さを知っています。

そして、いきなり心に踏み込んでくる他人への、強い怒りを知っています。

バイポーラには、他にも意味があります。ですがここではあえて何も言いません。

答えが分かったとしても、それを大きな声で絶対に言わないでください。それは分かっていても言っちゃダメです。芸人のいじりとは話が違います。

口は災いの元です。我々は人の命を簡単に奪える怪物であることを理解しましょう。

そして、最後に述べたこの考察が外れていることをお祈りします。


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