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GKコーチとは・・・?

 あるきっかけがあり、改めて「GKコーチとは」について考えようと思ったので、まとめます。プロ経験もJリーガー育成経験もないので自分の範囲の中の備忘録です。

①チームの中のGKコーチ


 前提ですが、サッカーにおいてGKの割合は基本的に1/11しか存在しません。GKスクールを開催したり某スポマネで審判のバイトをしたりしない限りGKがその集団において多数派になることはありません。当然、チームスタッフの中でGKコーチは少数派の存在になります。GKコーチの意図や気持ちに寄り添ってくれる同僚と出会えることは幸運なことだといろいろな話を聞いて思います。チームによってはGKコーチがホペイロや事務職を兼務するのが当たり前くらいのところもあると聞いています。もちろん、その中でもリスペクトを勝ち取るのは自分次第なので言い訳をしたいわけではありません。ただ、GKコーチが普通のコーチやスタッフと違う思考回路や言動をするのは当然のことだというのは理解してほしいです(笑)し、GKコーチの仕事はピッチ上でGKを運動させるだけではないというのは言っておきたいです。むしろ、練習以外のところでの作業の方が圧倒的に多いです。その辺は、授業をしている先生方はわかると思います。1コマの授業を作るのにどれだけの背景があるか、と同じです。(他のスタッフが楽しているということではないですよ。)


②監督とGKコーチの違い


 監督はチームの勝敗に対する現場の最高責任者です。勝敗ということは「どのようにどれくらい得点を奪う」と「どのようにどのくらい失点を防ぐ」を決める仕事です。そもそも監督とコーチはここが決定的に違います。具体的に言えば、成績不振でシーズン途中、もしくはシーズン終了後解任される監督は年間で何人もいますが、選手のパフォーマンス不振で解任されるコーチはあまり聞きません。
 ただ、GKコーチがGKのトレーニングを仕切っている以上、GKのパフォーマンスの責任はGKコーチにあると私は思っていますし、ほとんどの失点はGKコーチの責任だと思っています。例えば、「今日のゲームでGKがトンネルして失点したが、それは監督である私の責任だ」と言ってくれる監督はどれくらいいるでしょうか。(育成年代の試合で、GKのミスにぶちギレてる指導者を見てるといらいらしますよね!)賛否分かれると思いますが、自分は今見ている選手に「ミスは俺のせいにしていい」と伝えていますし、スタッフにもそう言っています。なぜなら彼らのプレーは自分の練習を一生懸命取り組んだ結果だと思っているからです。
 監督がチームの結果に責任を取るなら、GKの結果に責任を持つのがGKコーチだと思います。なぜなら、監督がGKについて理解するのは困難だからです。だからGKに関して、GKコーチが広く裁量を持つことができているのです。特に、GKは点を取ることができないので、GKコーチの思考は「勝つこと」より「点を取られないこと」に重きがおかれます。だって、GKにクロスを上げる練習やシュートを打つ練習を本気でさせるGKコーチいませんよね?いつだって、最優先は失点する可能性を減らす作業になります。

 最終責任者は監督なのでGK陣に要求があるのは当然のことです。しかし、それを受け入れるかどうするか、もしくはどのように落とし込むのかはGKコーチの仕事です。なぜなら、GKのミスを監督が「おれのせいだ」と言ってくれることはほぼないからです。だからディスカッションを重ねてより良いものにしていくことが必要です。それに、監督もGKコーチも失点したくない思いは同じだと思います。ま、稀に例外もありますが。

 そういえば、プロ野球では読売ジャイアンツと横浜DeNAベイスターズがシーズン中にコーチの配置転換をしましたね。


③コーチとGKコーチの違い


 私がGKコーチをしていて一番思うのは、GKコーチはコスパが良くないということです。私自身某高校の部活動で指導しているのですが、1人の指導者がさばける人数は圧倒的に少ないのがGKコーチです。FPのコーチが20人50人とか見ている傍らでGKコーチは4人と練習しているというように。そう考えると、GKコーチを雇うというのはかなりの投資だと思います。同じ金額でより多くの選手をさばけるスタッフを入れることは可能です。だからこそ、その投資に対するリターンをチームにしなければいけないと思います。人数が少ないからこそFP以上にGKのレベルやパフォーマンスを上げないといけないと思います。


④GKにとってのGKコーチ


 自分は「足が遅いから」という理由で小学校からGKをしていました。中学校と高校の途中まではGKコーチがいる環境でサッカーをしていました。高校のGKコーチが退職されてからは、同級生のGK(身長が低く、腰痛持ちで本人の思うようなプレーはできてなかったと思うけどめちゃくちゃうまかった!)がGKコーチの役割をしてくれました。今考えるとめちゃ恵まれてたなと思います。技術的なことはもちろん、戦術的なことや精神的なこと。やはりGKコーチは特別な存在だったと記憶してます。(あんまいいことではないですが)厳しいことも、GKコーチに言われると受け入れられることもたくさんありました。チームメイトとGK陣では同じGKコーチに対する評価・印象は全然違ったということもありました。GKにとってGKコーチは特別な存在だと思うし、その関係性はFPとコーチより濃いものなのではないかなと思います。(しらんけど!)
 自分が現役時代にそのように思っていたからこそ、今指導者としてGK陣には全力を注ぎたいし、少しでもGKを好きになってほしいなと思います。

⑤様々なGKコーチの形態


 チーム専属。外部指導者。総監督兼務。複数チーム掛け持ち。スクール。パーソナル。オンライン。現役の選手の発信etc
 GKコーチにも様々な形があります。(元々指導者になりたいと自分が思った時に考えていたことは「GKスクール」を開くことでした。今はその考えはなくなりましたが根本の思いは変わってません。)
 子供たちがGKの専門の指導を受けやすい環境があり、ネットを探せばいろいろなGKのプレーやトレーニングを見ることができます。すごくいい時代だなと思います。もちろん、個人的に「これだめでしょ、ありえない」と思うものもあります。ただ、いろいろなものがあるから比較することができるし、発信してくれる人がいなければそもそも見れないのでそれは別問題かなとも思います。結局は自分の受け持っている選手の為にやるだけだし、派閥(?)や理屈(?)の好き嫌いはあれど、考えていることや思いというのは共通していると思います。
 (前提)そもそもGKはこだわりが強い人種で、GKを指導する人間はより一層こだわりが強い人が多いです。だからこそお互いに分かり合えない部分や受け入れられない部分があるのは当然のことだと思いますし、それはグレーにしなくていいのではないかなと思ってます。グレーでゴールが守れるなら苦労はしないので。

 一つ言っておきたいのが、あくまで「その人の考え方」や「その人の理論」に対して色々思うことがあるだけで、「その人そのもの」に対して白黒つけているわけではありません。よく「〇〇さんのこと嫌いでしょ?」と言われますが、違います。

⑥ジョアンミレッについて


 GKコーチの話題でこのスペイン人に触れないわけにはいかないのです。
 が、書き始めてみたら止まらなくなったのでやめます(笑)
 多分、ジョアンと三好さんはそれぞれに関して連載記事が出せる(笑)
 そのあたりはジョアンの愛弟子(?)のFC東京・林彰洋選手があちこちで語っているので探してみてください。https://note.com/focus_goalkeeper/n/n25ebda30d707

 とはいえ、自分はジョアンじゃないし、ジョアンだけが正解だとも未だに思っていません。勉強は続きます。

⑦まとめ


 書きながら、考えながら、思い返しながら、を繰り返して整理しながら結局まとまらない文章を書いてみましたが、出てきた答えは無難なものでした(笑)5年後同じことを考えているかどうかはわかりませんが、備忘録として残しておきます。

・チームの勝敗の責任を取るのが監督
・GKのプレーに責任を取るのは監督ではなくGKコーチ
・GKにとってGKコーチの影響は良くも悪くも大きい
・全GKコーチの想いは一緒(だと思う!)


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