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ジョアンメソッド2年目突入〜1年目の振り返り〜

2021年度が終わり2022年度が始まりました。
新入生も練習に合流し、キャッチのゾーン1の説明をしていると、ここにきて1年たったことを実感します。ジョアンメソッドでがっちりかためた1年目を振り返り、今後ジョアンのやり方を踏襲する人の役に少しでも立てばと思います。

1,技術面

結論から言えば、ジョアンのやり方でやるとめちゃくちゃ技術的に向上します。懇切丁寧に頭から始めるアプローチは選手のその時点でのレベルに関係なく向上を促すと1年やってみて確信しました。実際、他のチームの指導者の何人かに同じメニューの4月と3月の比較映像を見てもらいましたが多くの人が「明らかにちゃうな!」や「これ同じGK?」という反応でした。選手たち自身もその映像を見て大爆笑してました。もちろん、試合中のアクションがすべて正しくなるわけではありません。間違いもしますし、スピードが上がれば上がるほどミスの回数は増えます。ただ、それは今後の課題かなと思います。頭で理解し、最低限、GKの約束練習で正確な技術を発揮できていれば、今後パワーやスピードを要求していくことで必ずこれまで以上に加速度的に成長していってくれると思います。これが逆だとどうなるかはこれまでたくさん見てきたので言うまでもないでしょう。

(今季、ジョアンは浦和レッズで在原さんと塩田コーチを両腕に指導に当たっていますが、西川周作選手のクロスボールの守備範囲が明らかに広がっているのは周知の事実だと思います。)

2,戦術理解

頭からアプローチするトレーニングは技術以外のところも向上させてくれてます。練習中は「これは間違ってるけど今日大事なところじゃないから流すか」と自分が思ったところも他の誰かが「いや、それあかんやろ」と突っ込んで話が膨らんで次に進めないということが日常茶飯事です。また、試合の飲水タイムやハーフタイムは自分が言いたいことの6割くらいをサブのGKが先に言ってくれてしまうのでベンチから腰を浮かさずに済むことさえあります。頭でっかちになってる部分もあるかもしれませんが、1年前同じことが言えた選手は1人もいないのでこれも成長の一つかなと思います。

3,練習計画

ジョアンのやり方には「技術習得の順番」が明確に決められています。何度もこの順番を変えようと模索しましたが無理でしたw でもそのおかげで「明日何やろう?」「明後日何やろう?」「今週末の対戦相手は~」と追われることがなくなり、いい意味で時間にとらわれず練習を組めるようになりました。唯一の例外は選手権県予選直前でした。まだ半年しかやっていない選手たちだったので、新しいことをするより不安なことを取り除くことを優先しました。しかし、これも去年だけです。今年は2,3年生が出たとしても1年半はやっています。そもそも、選手権期間は最長で8月~1月まであります。その間、不安を取り除く練習をし続けるのはGKチームとしても望ましいことではありませんので。

4,怪我

練習で怪我をする件数が少なかったのが一番大きかったかなと思います。自分が知ってるほかの何チームに比べても明らかにGKの怪我が少なかったです。(もちろんGKなので階段から落ちてケガをした選手や、年末に個サルに参加して捻挫してきた選手等練習以外での怪我人はいました。)
練習中に起きたケースは「スクワット1RM計測の際に腰を痛めた」のと「セービングの反復による打撲」でした。後者は自分が着地のフォームを改善しきれないまま数をこなさせたことが原因です。その選手もマットを用いてフォームの改善を行い、今では何本飛ばせても柔らかく着地できる選手に生まれ変わりました。


もちろん、人工芝で練習できるというハード面に恵まれたことは大きかったです。トレーナーに協力してもらい怪我予防のトレーニングを積み重ねたのもあると思います。しかし、一番の理由は「とにかくやれ!」という練習をやらないところにあると思います。頭で理解してから体を動かす。おかしなところがあれば都度都度改善をかける。ボールを使わない練習日はたくさんありましたし1週間練習でシュートを受けないこともありました。もちろんフィジカルを向上させるトレーニングもしますが、日常的、慢性的な練習による疲労の蓄積が少なかったことが一番かなと思います。

5,仲間

同じやり方で指導している仲間がいるのもとても心強かったです。チームの中でGKについて理解しているのは自分だけだったので、映像を共有して話をしたり、メニューの意図を聞いたり、選手の年代も様々なので1種の選手のプレーを見ると高校生のうちに何を仕込んでおかなければいけないのかが明確になってきます。また、ことジョアンに学んでいるGKコーチ、もとい、GKを準備する人たちは頭おかしい人ばかりなので「誰がそこに興味を持つねん!」という視点で話を飛ばしてきてくれるのでまあ退屈することがないですね。探求心の塊みたいな人たちが集まってますし、そもそも今まで自分たちが人生でやってこなかったやり方を、安くない金額と・短くない時間をかけて・学び・精査し・受け入れ・理解し・教える、ことを選んだ人たちなのでまぁ異常者の集まりです(笑)でもそのおかげで「それはDFのせい」が許されない、選手の責任に逃げられないのでありがたい限りです。
そして、なによりジョアン本人にいろいろ聞けるのも大きかったです。不安な時に相談すると背中を押してもらうことも多々ありました。一方、思慮の浅い質問をすると明らかに不機嫌になるところも自分たちの成長を期待しているからこそだなと思います。長生きしてください!

6、自分の力不足

とここまで良いことばかり言ってきましたが、結局はここに行きつくかなと思います。この1年で選手たちは明らかに成長しました。でももっと伸ばせたかなとも思いますし、あの練習こうすればよかったなということがとても多い1年でした。考えても意味のないことではありますが「ジョアンが見てたらもっと良くなったのでは」と思う日は少なくなかったです。ジョアンのトレーニングメニューをそのままやったときは目と頭が追い付かず、まさにメニューにのまれた「練習させる人」になり下がったのを実感しました。ここに書きたくない、またはかけない複雑な思いも多々ありますが、まだまだ勉強し続けないといけないなと思ういます。とりあえず今年は指導者B級ライセンスのカリキュラムを受講してきます。

7,2年目に向けて

ジョアンメソッド指導の2年目となる今年は去年頭が整理された選手がどれだけ試合中に実力を発揮できるようになるのかというのが一つ大きな課題かなと思います。去年は技術を入れるのでいっぱいいっぱいになっているところもあり、練習に戦術的な要素を入れることができませんでした。彼の言うところの「ゴール前に立つことができる選手」にはなりましたが「GKとしてプレーできる選手」にはまだなっていないかなと思います。
また、すでに複数年指導している某高校の某ABコーチによれば「1年目は精度が落ちる、2年目はたまに間違える、3年目はできるようになる」と言っていたので引き続き仲間に支えてもらいながら、金と時間を惜しまず、いい年なんだから結婚を考えろという声にも負けず、GK育成にまい進できればいいなと思います。

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