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#14 DFBサッカーの教科書その2 才能、タレントを育成するガイドラインとプレーモデル

こんばんは、あけましておめでとうございます!
新年ということで今年の抱負を!と思いましたがつい最近抱負や頑張ることを書いたばっかなので1/1ですが変わらずいきます!!

DFB出版の「子どもからトップまでのサッカーの概念と構造」のその2です。

・才能とタレントを推進するガイドライン
1人1人のポテンシャルを発揮させる。長期的にドイツサッカーが国際的にトップレベルでいるためには、才能の発見と昇進を最年少の子どもたちからしていく必要がある。それはあそびながら教えられる動きのトレーニングから始めなければならない。スポーツを愛する初心者から代表選手まで、トレーニングプロセスの構造がワールドクラスの選手を生み出し、トップレベルのサッカーの質を保証する。大切なのは子供や若者の現在のパフォーマンスではなく、彼らの将来のパフォーマンス。

・ガイドライン1  人格形成
すべてのスポーツは人格形成のためのコンセプトに組み込まれていなければならない。
全人格的な教育という指針のもとサッカーに特化しない形で才能を開花させ挑戦していくことが求められてる。自信や自己批判、そして意志の強さといった資質は人としての将来にもサッカー選手としての成功にも重要。
総合的なプレーヤー教育とは
1 サッカーだけではなく、彼らの人生のために。
2 個人の責任と自発性
3 自信を育む、自己批判、モチベーション
4「精神力」を身につけること。ポジティブ/ネガティブな影響に対処するための。
5 公正さ・寛容さ。対戦相手、コーチ、レフェリー、全ての人への

・ガイドライン2 個々へのサポート
それぞれの選手に焦点を当てること。
プロセスのすべての段階においてそれぞれの子どもの促進が絶対的に優先されなければならない。 これは決してチームの成功を妨げるものではない。特に長期的な観点からみると創造性のある選手が常にいることにつながる。
トレーニングプロセスの個別化を強化する。
1.コーチが選手一人一人にしっかり向き合うこと
2.トレーニングの枠を超えた個別サポート
3.現在のパフォーマンスレベルの詳細かつ定期的な分析
4.総合的な個別トレーニングプログラム
5.個別に対応した負荷の増加

・ガイドライン3 体系的な推進 
複雑なサッカーのパフォーマンスを最適化するためには、パフォーマンスのすべての領域を常に考慮する必要がある。サッカーにおけるトップパフォーマンスは複雑な現象であるがすべてのトレーニングと試合の手順を体系的に計画し、実践し、評価することでコントロールすることができる。あらゆるパフォーマンス要因を考慮した上で、成功の基盤となるパフォーマンスを計画することができる。

体系的って???
→一つ一つのものが一つの理論的な秩序・まとまりの中に組み込まれていること。
メモ📝ちょっと難しいので簡単にまとめ
サッカーは複雑。それを最適化するには?サッカーの全てのことを考慮する必要がある。サッカーにおけるトップパフォーマンスはトレーニングや試合を理論的に計画し、実行、評価することでコントロールできる。サッカーにおける成功のパフォーマンスのためにはあらゆる要因を考慮すべし。
体系的かつ長期的なパフォーマンス開発が考慮されるべき。
1. スポーツをする上での基礎となる、幅広く、調和のとれた基礎教育
2. パフォーマンスの開発における「合法的」な順序
3 世界のサッカー界のトップパフォーマンスを基準とした予測
4. パフォーマンス目標のための個人コミュニケーション
5. 忍耐、時間、情熱、監督と選手の一体感

・才能とタレントの育成のためのスポーツモデル
ドイツ競技サッカーのすべてコーチはトレーニングとプレーの方向性が統一されたゲーム哲学を必要とする。私たちのプレイ哲学は世界のサッカー界の長期的な展望を考慮している。国際的なトレンドとドイツサッカーの典型的な強み を用いた哲学。チームと選手の将来のトップパフォーマンスのために基準を決定する。

世界のトッププレーヤーが求める未来像を基準とする。
世界的な選手には求められるものが広がっている。このような世界トップレベルの選手を的確に育成する「人材育成」と「エリート登用」。
そのため未来志向のトレンドを考慮する必要がある。

1.個性あるチーム
・チーム単位でみんなが助けあう
・ それぞれが強い意志を持ちながらも規律があるチーム
・批判的かつ建設的なチームの雰囲気をを推進
・優れた個性派を集める。しかしエゴイストではない
2.プレッシャー下でのテクニック
・基本的なテクニックを完璧にすることを重点にトレーニング
・個々のボール保持能力の促進
・狭いスペースや相手からのプレッシャーの中でもテクニックでゲームの状況を解決していく。
・個々のポジショニングテクニックをマスターする
3.戦術分析
・明確なプレイ哲学に従う
・各ポジション、グループ、チーム全体に具体的なタスクがあるシステムを採用
・戦術は可変し相手が対応するのは簡単ではないように
・攻撃的なチームを目指す
・魅力的なプレーもしたいが、結果重視
4.勝利への意志
・決して諦めず試合終了のホイッスルがなるまで戦う
・情熱を魅せる
・相手に強さを見せつける
・困難な状況でも試合をコントロールし、勝つために集中し続ける
・チームメイト同士でモチベーションを上げる
5.フィットネス
・サッカーに必要な身体作り。これがサッカーの質を押し上げる
・テンポの速いゲームに必要なフィジカルとメンタルを持つ
・各ポジションに必要な身体的条件をクリアする
6.プレーする喜び
・トレーニング、試合を楽しむ
・お互いのモチベーションを高めあう
・技術、戦術、身体能力。サッカーをより楽しむためにはこれらが必要。そのために時には一生懸命練習をする
・創造性豊かで困難な状況を解決する能力を持つ

今回は才能とタレントを育成するためのガイドラインとプレーモデルについて訳しました。
注目したいのはガイドライン1と2。人格形成は全てのスポーツの育成コンセプトに組み込む必要があるとのこと。人としての将来のためにも必要だということをしっかり書いてくれています。2は個々へのサポート。トレーニングは目の前にいる選手らへ焦点をあててオーガナイズをしていく必要があります。
そしてドイツサッカー協会は全てのコーチにこれらのプレーモデルの統一を呼びかけました。個人的に注目したいのは3の戦術分析の一部分。「魅力的なプレーもしたいが、それよりも結果重視」そうです、僕はドイツに来て彼らはみな勝利至上主義だと感じました。今日本では高校選手権があります。よくこんな批判をみかけます。「ロングキック、ロングスローばかりだ!日本の育成のためにならない!」しかしサッカーは勝ちを目指すスポーツのはずです。監督だけが考え選手がいいなりでは問題ですが勝ちのための手段として選手らが思考しそれを選ぶことは悪いことでは無いと思います。たしかにバルセロナのようなサッカーは美しくたくさんの人を魅了します。しかしそのサッカーだけが正解・正義と凝り固まった考えをするのはサッカーの可能性を狭めてしまっていると思うのです。僕も前までは「勝つことよりも内容。勝ちに拘りすぎない。」と考えていました。何度もいいますがサッカーは勝ちを目指すスポーツです。勝利を目指さないサッカーにこそ価値はないのではないか?と考えています。
勝利至上主義についてはフッスバルラボで過去に吉之伴さんがこんな言葉を使っていました。問題となっている勝利至上主義は勝利至上主義ではなく、結果至上主義だと。過程や育成年代に大切なものを無視し結果のみを求めることが問題なのでしょう。

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