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#64 U13セカンドチームの試合観戦。そこから補欠問題について考える。

こんばんは!お疲れ様です。
今日は珍しく、平日にD2(U13セカンドチーム)の試合がありました。そのためD1(U13ファーストチーム)の練習はグラウンドは横の天然芝で行いました。終わってから後半だけ試合を見ることができました。

・熱量はファーストチームに負けてない。
過去にセカンドチームについては少し書きましたが、もう一度軽く説明。ドイツのクラブでは各年代人数に合わせてレベル分けでファーストチームとセカンドチームを作ったりします。SVホッホドルフのU13も人数がかなり多く2チームあります。それぞれ独立しており、各チームに担当のコーチが2人ずつ配置されていて、セカンドチームもリーグ戦に参加します。
今日はセカンドチームの試合が。比べるものではありませんが、セカンドチームだからといってやる気がないわけではありません。ファーストチームと比べても熱量は同じぐらい。レベルは違えど必死に戦い、サッカーに向き合っています。セカンドチームには、少し太り気味な選手だったり、運動が苦手な選手だったり、サッカーを始めたばかりの選手だったり。様々な選手がいます。だから彼らに出来ないことは多いですが、自分達でやれることを考え、実行し、助け合い、良いチームが出来上がっているのです。その様子は真剣で、そして本当にサッカーを楽しそうにプレーするのです。

・セカンドでも才能を持っている選手達。そして成長している。
セカンドにいるから全てにおいてファーストに劣っているか、、、?そんなことはありません。ファーストの選手が持ってないような能力、才能を持っている選手ばかりです。総合能力は劣るかもしれませんが、一緒にミニゲームをすると、時々素晴らしいプレーを見せ、得点したりします。先日のファーストのリーグ戦にはセカンドの選手が1人呼ばれて参加しました。その試合は負けてしまい、終盤まで0-3。なかなか1点が取れない。そんな状況で裏へ抜け出し、得点したのは普段セカンドチームの選手でした。

最近はセカンドの選手が何人かファーストの練習に参加することがありますが、久々にみる彼らは明らかに成長しています。技術、認知、身体など1つ1つの要素も成長し、サッカーが上手くなっています。今日見た試合でも攻撃の質は上がり、守備も全員でしっかりと固めて簡単に決めさせないプレーが続きます。

僕は羨ましい。そしてこんな環境を作りたいと。強く感じます。
なぜなら僕自身小さい頃はセカンドチームに入るであろう選手でした。運動があまり得意でなく、成長は遅く身体は小さかったのです。試合にもなかなか出られず、そのチームのレベルにもついていくのが大変。正直当時「サッカーが楽しい」と強く思った記憶はあまりありません。それでもここまで続けてこれたのは仲間達との時間が楽しかったりしたからです。
SVホッホドルフのようにレベルでチーム分けをして、サッカーの楽しさを教えてもらえていたらもっともっとサッカーが好きになっていたのになぁと思います。

日本の街クラブの規模では難しいことだと思いますが、少しでもこの環境に近づけられるよう。1人も才能を見逃さず、1人でも多くの人が「サッカーって楽しい!」と思ってくれることを目標にしたいです。

・意味のある出場時間が必要。補欠問題について。
Twitterなどを見ているとよく浮上する補欠問題。SVホッホドルフの環境をみて、この問題がいつも頭に浮かびます。
日本では補欠が存在し、ほとんど試合に出られない、コーチに見てももらえない。お金を払って、送迎しているのに出場時間は0。そんな状況は問題だ!とする話です。
これは僕もそうでした。記憶に強く残っているのは公式戦で、僕より年下の選手が試合に出て、僕はずっとベンチ。それとキーパーをやっていて、試合だけで決着がつかずPK戦になった時にキーパーを運動が出来る子に変えられたこと。25歳になった今でもそれらは苦い記憶として残っています。

そしてこの問題提起の主張は真っ当。全ての選手にはサッカーをする権利があるはずで平等に出場機会を与えるべき!と言う主張。共感します。

しかしこの要望、改善案に少し違和感を感じます。
「補欠を廃止しよう!」と言う主張です。
補欠って?の提議がそれぞれですが、ドイツにも補欠に当てはまるであろう選手はいます。だって9人以上選手はいるし、控え選手0人で試合に挑むことはできません。基本的にベンチスタート。主力の選手らと比べると少しだけ出場時間は少なかったり。いくらファーストとセカンドがあってもファーストのチーム内でも主力となる力のある選手、まだ主力になる力がない選手とそれぞれです。「ドイツにも補欠はいるから日本もいていいだろ」と言うわけではありません。しかし全ての選手に完全に平等な出場時間を与えるのは現実的に不可能だと思うのです。
サッカーの目的は試合に勝つことであり、全員が同じ時間出場することではありません。だから例えば守備の要の選手だったり、圧倒的力を持つ攻撃の選手を「平等だから。」といってベンチに下げることは簡単ではありません。「じゃあ補欠の選手はどうでもいいのか?」と言われれば、そんなことは全くありません。ベンチスタートでも、彼らの能力を分析、評価し、勝つために彼らに合った出来ることをコーチは求め、途中から有効なタイミングで投入されます。そしてもちろん、監督は可能な限り同じぐらいの出場時間になるように調節します。

SVホッホドルフでレベル分けされたチームを見たり、このようにベンチスタートでも大切に扱われる選手を見ると、ただ出場させておけば良いと言う考えの「全員同じ出場時間に!」は見当違いだと感じます。
例えば極端な話、サッカーを始めたばかりの選手に対して平等に!とファーストチームで30分出場しました。この30分で彼は何が出来るでしょう?よくわからないままグラウンドを彷徨い、ボールは全く触れず、、、 そして「はい、君は30分出場できたね。良かったね。」は少し酷ではないでしょうか。意味がありますか?この30分。本当にサッカー楽しめてますか?

僕自身が当時レベルが低めだったからこそ思うのです。どうでも良い試合だけ出場、コーチから特に何の期待もされずにグラウンドに送り出される。「これなら別に出なくてもいいんだけど、ベンチで友達と喋ってたいや。」と思いました。

つまり、半分の15分だったとしても、自分のレベルに合っていて、コーチや仲間から期待されて、勝ちのために自分の力で貢献できるかもしれないグラウンドに立つ。意味のある15分のがよっぽど価値が大きいと思うのです。

公正と平等の違いです。
選手1人1人現時点での能力や身体の成長度合いが違うわけですから、それぞれ目標も違うし、求めるものも違うし、期待することも違うのです。だから出場する環境も、出場時間も違うべきであると思います。

ただ、先程も書いたように街クラブレベルでこれをするのは難しいことです。
「あなたはこのチームのレベルについてこれないと思うので、移籍した方がいいですよ。」なんて言うこともしたくないです。
だからコーチとして、選手をしっかりみて、いいところを見つけて、「試合に勝つためにその力が必要なんだ。」とグラウンドに送り出してあげたいと強く思います。そのタイミング、時間は少ないかもしれませんし、その選手を補欠として扱ってしまうかもしれません。だけど、少しでも、5分でも、意味のある出場時間を与えられるように考え、練習に共に取り組み、チームの一員として一緒に戦える場を作り出したいです。だってそれが本当のサッカーの楽しさだと思うから。適当に出場だけさせておくのではなく。
これが日本における育成年代のコーチの役割の1つなのではないかと感じます。

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