#19 IB生におすすめのツールは?
皆さんこんにちは、ここ最近はまだ大学の試験が本格的にやって来ない間にという思いで記事を連載しておりました。前回で一通り完了したと言いつつも、まだ残していたご質問へのご回答を今回やり切ろうと思います。
おすすめのツールに関してはいつか記事を書ければと思っていたのですが、ちょうどご質問いただいたので IB Mock や Final に向けた準備に焦点を当てて学年別にご紹介します。もちろん、各ツールとの相性の良さは人それぞれですが、今回ご紹介しているのはどれも私が実際に活用していたものです。この記事の内容も参考にしつつ、色々試して自分なりのツールを見つけてみてください!
主に11年生向け
11年生の間はまだ既習範囲が比較的狭いため、いきなり Past Paper に取り組むのは難しいと思います(例えば Math AA HL の場合は微分・積分なしで解ける問題の方がむしろ少ないくらいです)。この時期はまず基礎を固めることが重要ですが、2年間を通して頭に入れてなければならない内容は増える一方なので、その全てを網羅するように復習することは不可能になってきます。そのため、シラバスの範囲を一通りカバーしつつ、選択的に復習を行うスキルを身につけていくことがカギとなります。
1. Kognity
私が選択していた科目の中では、Physics と Chemistry の復習で役に立ちました。Topic の内容を一通り理解できているのであれば必ずしも Kognity を読む必要はありませんが(特に Physics は説明が長い印象でした)、極端な話、知識ゼロの状態からでも Kognity を読み込めばその Topic をマスターできます(Organic Chemistry や Nuclear Physics などの範囲は現にそうしていたので…)。Chemistry に関しては指示されていたこともあり、最初の頃は授業で Topic が完結するごとにその範囲の Kognity を読んでいましたが、正直時間的に大変になってきたこともあり、途中からは理解が不十分だと感じた範囲のみ読むようにしていました。
Kognity の強みは Strength Test という機能によって理解度の確認ができる点です。Math や Geography に関しては形式が IB Exam と異なるため、活用するには工夫が必要ですが、Physics は定期試験前に解いて問題なさそうなら復習を省略する、という方法で活用していました(やや難易度が高めとなっている点は加味する必要がありますが)。Chemistry はやや難易度が低い気もしますが、知識の抜けをスクリーニングするうえでは有用だと思うので、ぜひ試してみてください。
なお、Geography に関しては重要な概念とそれに合った case study が掲載されているので、太字で書いてある vocabulary などを中心にさっと目を通してみると Paper 2 対策になると思います。Paper 1(option)の範囲には対応していないのですが、case study のまとめ的なものも付いているので、もし良かったら確認してみてください。
もう一点、試験はないのですがTOKに関しても Kognity は活用できます。全て読むにはかなりの量があるのでそこまでしなくても大丈夫だとは思いますが、Essay や Exhibition に取り組む際の参考にすると良いかもしれません。例えば Knowledge Framework や特定のAOKなど、何を知りたいのか分かっている場合には該当する箇所を読めば良いですし、特定のキーワードに関連する example などを探したい場合は検索をかけることもできます。
2. Mind map(Chemistry/Mathematics)
Chemistry に関しては、Cambridge の教科書では Topic の末尾ごとに要点をまとめた mind map が付いています。Mathematics(AA/AIおよびHL/SLを問わず)に関しては、"IB Mathematics mind map" と検索すればこんなものが出てきます:
ここに載っている全ての項目について自信を持って他の人に説明できるレベルに達していれば一通り理解すべき内容が定着していると言えます。何かを読んで勉強する際には知識のインプットに重点を置きがちですが、このようなツールを使ってアウトプットもしておくことで本質的な理解度を確認すると同時に、既に問題ない範囲を無駄に何往復もすることを避けられるので非常に効率的かつ効果的です。
3. Textbook
個人的にはそこまで教科書を活用する派ではなかったのですが、必要に応じて活用していくと学習効果を高められると思います。Physics の攻略法に関しては既に記事を書いているのでそちらを参考にしてくださればと思いますが、それ以外の科目だと Chemistry で教科書を活用できそうです(Math AA と Geography ではほとんど使っていませんでした)。これも最初から最後まで全て読むのではなく、先ほどご紹介した mind map と併せて必要な箇所のみ選択的に読んだり、復習用に目印を付けたりすると効率的です。また、Chemistry に関しては各章末に付いている Exam-style Question がやや難易度は高いものの、力を付けたり試したりするのにちょうど良いと感じていました。
その他
ツールとは少し異なりますが、Math に関してはノート(ルーズリーフでも可)を使って問題を解いていくことをおすすめします。そうすることで自分が間違えた問題を記録できますし、ワークシートのようにかさばったりバラバラになったりすることなくコンパクトにまとめて保管できるので復習に便利です。特に、全範囲を見返すことは非現実的になってくるので、印を付けておくことで必要のある箇所だけ確認できるというメリットが大きいです。
また、以前にも述べたように Language & Literature の Essay などに関しては先生に添削やディスカッションをお願いするのも有効です。こんなことを書いて先生方に依頼が殺到してしまったら申し訳ないのですが、せっかく先生方がウェルカムな体制を整えてくださっているのにその機会を活かしている生徒が少ないのが現状なのでは、と思われます。IB Mock や Final 直前になる前の、まだ比較的余裕がある時期から積極的に先生に聞きに行くことで早い段階から自分のスタイルを確立できますし、じっくり丁寧に教えてくださる可能性が高まると思います。
主に12年生向け
まだシラバスの範囲を学んでいる最中であれば先にご紹介した「主に11年生向け」のツールを活用していくのが良いと思いますが、Final および Mock 対策の主体はやはり past paper となります。特定の Topic で理解に抜けがあると感じた場合には Kognity(Math の場合はノートなど)で内容を学習し直すことになりますが、そうでない場合には本番のように、時間を計ってペンで past paper を解いていくのが最もシンプルかつ効率的な勉強法です。
Past paper
Past paper に取り組む際にはいくつかポイントがあるのですが、まず理科系科目(Chemistry/Physics/Biology)は Paper 1(MCQ)から手を付けましょう。その理由としては次のような点が挙げられます:
Paper 2 は解くのにも、答え合わせをするにも時間がかかり、取り組むハードルも高い一方で Paper 1 は短時間で数をこなせるうえ、鉛筆さえ持っていれば移動中含め、合間時間にも取り組める
Paper 2 では問われている知識に偏りがあることも多い一方で、Paper 1 ではまんべんなく Topics 順に出題されていることが多く、知識の抜けをスクリーニングするのに適している
Paper 1 では正誤をシンプルに判断できるため、記述形式の Paper 2 に比べて理解があやふやな箇所が一目瞭然になる
また、Math AA HL に関しては Paper 3 の対策ももちろん必要ですが、まずは Paper 1 および Paper 2 の対策を進め、その間は Paper 3 は放置で問題ないと思います。なぜなら、
Paper 3 は past paper や practice paper の数が少ない
正直 Paper 3 は点数が稼ぎにくい(問題との相性の影響も大きい)
Paper 1 および Paper 2 に比べて比重が低い
使う数学的な知識自体は Paper 1 および Paper 2 と変わらない
からです。Paper 3 では計算機を使いこなすのも大切な要素となりますが、これも Paper 2 の対策でカバーできます。実際に Paper 3 を解くのは数学力の向上というよりは、問題の形式に慣れ、時間配分の感覚を身につける目的がメインとなるので、ある程度力がついてきたと感じてから取り組めると良いと思います。
暗記事項
IBでは暗記を求められることが少ないとはいえ、いくつか覚えなければならない内容はあり、それらは past paper 以外でカバーしていく必要があると思われます。例えば、Language & Literature A では暗記とはやや異なりますが、表現技法などに関してある程度の知識は必要です。また、Geography に関しては case study や vocabulary を一通り把握しておくべきです。Math や Physics に関しては Formula(Data)Booklet が全ての paper で使用できるので、それらを丸暗記する必要はありませんが、時間のロスを防ぐためにはどこに何が書いてあるのかしっかり知っておくことと、よく使う基本的な公式や定数は(覚えるというより)体に染み込ませることが重要です。
Chemistry に関しては覚えるしかなさそうな内容もある程度あるので、あらかじめ印を付けておいて Mock/Final が近づいてきた頃にそれらを頭に叩き込む、という方法も考えられます。個人的には、できる限りつながりを見出して内容の理解を目指した結果、最終的に暗記リストに入れていたのは
Cambridge textbook p.101 の oxides 関連
Cambridge textbook P.174 の ozone/radical 関連(HL)
の2つのみになりました。また、enthalpy に関しては種類が多く、記憶が曖昧になってしまいがちだと感じたため、自分でまとめを作って復習に使っていました。やりやすい方法は人それぞれだと思うので、他にも活用できそうなツールがないか色々試してみてください。
番外編
今回は主に IB Mock/Final に向けた対策をするうえでおすすめなツールをご紹介してきましたが、改めて考えてみると皆さんが日常的に使っているツールがいかに大切か気付かされると思います。例えば、Google Docs は他人と共有したり、コメントを付けたりする機能がとても便利なので、EEやIAの執筆や添削だけでなくテクストの分析や授業ノート(主に文系科目とTOK)、CASの記録にも活用できます。また、試験で使う筆記用具もそれだけで1つの記事になってしまったくらい重要です。個人的にはノートやワークシートを含め、何かを紙に書く際には普段からボールペンを使っていました。そうすることでIBの試験で求められるペン書きに慣れることができますし、後で見返した時に字が薄くなっていて読みづらくなっている心配がありません。また、鉛筆と違ってきれいに修正できないという短所はある一方で、これを逆手に取ると思考のプロセスを残せるため、例えば数学の問題なら過去にどこで迷ったのか確認することもできます。
以上、個人的な主観も入っていますがIB生におすすめのツールを思いつく限り挙げてみました。かなり前から構想だけは練っていた記事なので、皆さんの参考になれば幸いです!
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ここまで読んでくださりありがとうございます!
皆さんのコメントはとても励みになるので、ぜひ積極的に残していってください!
毎度のことですが、何か聞きたいことがある方はこちらの Google Form から匿名で送信いただけます。質問内容は受験やTOK/CAS/EE、IA/IO、定期テスト/Mock/Final についてでも、純粋に教科の内容でもOKです。お時間をいただく場合もありますが、皆さんが知りたい内容は積極的に記事にしていきたいと思うので、よろしくお願いします。