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水の星にて5

マコ 身体が水でできた少女。12歳。謎の少年ユキトに出会う。

ユキト 水の星に迷い込んだ少年。不器用だが優しい性格。

ヒムロ ユキトの姉。月から水の星に来訪してきた。

ヒムロは15歳になる月から水の星に来た少女である。

ユキトの姉である彼女は水の星の名所を観光したり、マコやユキトと一緒に遊んだりもした。

ヒムロは基本的に誰かと話したりしない性格だとユキトはマコに言った。

「ヒムロ、僕はこの星に残るよ」

ユキトがヒムロにそう言った。幼き少年の瞳から立派な青年へと変わったユキトを見てヒムロは黙り込んだ。

このままユキトを連れて帰るわけにもいかない。

「分かったわ。あなたが言うならしょうがない」

その夜にヒムロはマコ達家族が住んでいる家からこっそり抜け出て夜の海へと散歩することにした。

ヒムロの肩までの髪が潮風に揺れる。

頬を撫でる風は冷たい。

ヒムロはビーチサンダルを脱いで裸足になる。

足の裏に伝わる砂の感触が心地よい。

ユキトは決して帰らないだろう。

マコは眠たそうな眼でヒムロを見つめる。

ここ2、3日眠れずにいたマコはヒムロと1対1で初めて話す。

「ヒムロさん、どうしたんですか…?」

ヒムロのやる気に溢れた表情や冷静な表情を見てきたマコは思った。

この人は真面目な人で本当にユキトの事を心配しているんだな、と。

「ユキトは優しくて私にも…」

マコは緊張を和らげたいと思いながら言う。

「あなたはまだ幼いのよ」

マコは幼いと言われて確かにそうだな、と思ったのである。

「マコ、ヒムロはここに残るのかな?」

ユキトはマコに聞く。

「それはまだ分かんない…」

「僕が月から来たことをマコは知ったね。ヒムロも僕と同じ月の住人なんだ」

「ユキトから聞いたよ」

2人は互いを見つめ合った。月に帰ることが出来なくても良いとユキトは思った。


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