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GTM(Go-to-Market)の現状(2023)

TL;DR

  • 海外のTech企業ではGTMという言葉が使われている。特に2020年以降により多く検索されるようになった。スタートアップと大企業で少しGTMが必要になっている背景が異なるかも。

  • 比較的新しい言葉かつGTM戦略(GTM Strategy)のように「戦略」という魅力的なバズワードと合わせて用いられることが多いため、まだまだ明確な定義は存在せず抽象的な概念。

  • 最近では「GTM Strategy」という役職も新たに設けられている。結構給料高い。


国内ではあまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、海外(主にシリコンバレー、シンガポール、インドあたり)の特にTech企業ではGTMという言葉がよく使われます。2000年代から使われていた言葉ですが、Google Trendによると2020年頃から多く検索されているようです。おそらく、この背景には3つの理由があると思います。
1つ目はスタートアップエコシステムが活性化し、スタートアップが増えたことで、プロダクトを市場にリリースする際の戦略が必要になったからです。「顧客像と異なる企業にアプローチしてフィードバックを受け、それをプロダクトに反映することでプロダクトが『誰も使わない万能ナイフ』化することを防ぎたい」「PMFしてない段階(バケツに穴が空いた状態)でマーケティングに投資してしまって資金を無駄使いするのを防ぎたい」と言った理由です。
2つ目は大企業におけるRevenue組織(Marketing, Inside Sales, Sales, Customer Success, Allianceなど)のオーケストレーションが必要になったからです。Revenue組織が細分化されることで個別機能の高度化・最適化は推進されたものの、それぞれの機能の連携に課題が生まれています。
3つ目はスタートアップにも大企業にも共通することですが、今まで以上に顧客中心で物事を考えることが必要になったからです。マーケット、顧客、買い手を理解した上で、適切なオペレーション、体制、コミュニケーションを構築しなければなりません。
これらの解決策としてGTMという道標(判断軸)が注目されているのです。

Google Trend

このように比較的新しい言葉かつGTM戦略(GTM Strategy)のように「戦略」という魅力的なバズワードと合わせて用いられることが多く、まだまだ明確な定義は存在せず抽象的な概念です。以下にいくつか定義を掲載しますが、ご覧の通り共通項はあるものの定義元の立場の違いからか内容は多岐に渡っており、戦略(Strategy)の定義に計画(Plan)という言葉が用いられているような状況です。

A go-to-market (GTM) strategy is a detailed plan of how your startup will reach its target customers effectively and efficiently—where effectiveness depends on how rapidly you reach and convert customers and efficiency on how profitable your efforts are. Typically, a GTM strategy includes a mix of direct and indirect channels to educate, support, and distribute your product to customers.
Go-to-Market(GTM)戦略とは、スタートアップがターゲット顧客に効果的かつ効率的にアプローチする方法の詳細な計画である。一般的に、GTM戦略には、プロダクトを顧客に啓蒙、サポート、提供するための直接的および間接的なチャネルの組み合わせが含まれる。

Harvard Business School

A go-to-market (GTM) strategy is a plan that details how an organization can engage with customers to convince them to buy their product or service and to gain a competitive advantage. A GTM strategy includes tactics related to pricing, sales and channels, the buying journey, new product or service launches, product rebranding or product introduction to a new market.Go-to-Market(GTM)戦略とは、組織がどのように顧客と関わり、自社のプロダクトやサービスを購入してもらい、競争上の優位性を獲得するかを詳述した計画である。GTM戦略には、価格設定、マーケティングおよび営業戦略とチャネル、購買ジャーニー、新プロダクトやサービスのリリース、プロダクトのリブランディング、新市場への製品導入などに関する戦術が含まれる。

Gartner

A go-to-market (GTM) strategy is a step-by-step plan designed to bring a new product to market and drive demand. It helps identify a target audience, outline marketing and sales strategies, and align key stakeholders. While each product and market will be different, a well-crafted GTM strategy should identify a market problem and position the product as a solution.
Go-to-Market(GTM)戦略とは、新製品を市場に投入し、需要を喚起するための段階的な計画である。これは、ターゲットオーディエンスの特定、マーケティングおよび営業戦略の概要、主要な利害関係者の調整を支援します。製品や市場はそれぞれ異なるが、よく練られたGTM戦略は、市場の問題を特定し、製品をソリューションとして位置づけるべきである。

Hubspot

A Go-to-Market strategy fuses together all of the elements that drive a business, such as marketing, content marketing, customer intel, and brand development and provides an action plan for how you can better reach your customers.
Go-to-Market戦略は、マーケティング、コンテンツマーケティング、顧客情報、ブランド開発など、ビジネスを推進するすべての要素を融合させ、顧客によりよくアプローチするためのアクションプランを提供する。

Product Marketing Alliance

GTMは主にRevenue組織(Marketing, Inside Sales, Sales, Customer Success, Allianceなど)のリーダーシップとRevenue Operations / Sales Operationsによって定義されることが多いですが、最近では「GTM Strategy」という役職も新たに設けられていたりします。Rev Ops / Sales Opsよりもタイトル(役職名)がカッコイイですし、泥臭いことよりも頭脳派なイメージがありますし、給料水準も$136Kと高いのでRev Ops / Sales Opsよりも人気なのではないでしょうか。

Glassdoor

長くなってきましたので、このような現状を踏まえて、GTMとして何をすべきなのかについては次回の記事で共有したいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!