AGAの治療(原因の治療)

原因の治療(抜け毛の抑制)

では治療について書いていきたいと思います。
AGAの原因で見てきたようにDHTが毛髪の成長を阻害しているのでDHTを減らせば良いと考えられます。(テストステロンを減らしちゃうという考えもありますが、テストステロン自体は脳の活動や精神面にも直接関わってくるので影響が多すぎます。)
そもそもDHTとは男性ホルモンの代表でもあるテストステロンが体内にある5αリダクターゼという酵素によって変換されたものでした。現在の治療薬フィナステリドやデュタステリドはその酵素の働きを阻害するという作用を持っているのでDHTが作られにくくなるのです。
イメージ的には…

テストステロン+5αリダクターゼ=DHT↑↑
テストステロン+(5αリダクターゼ+フィナステリド)=DHT↓

という感じです。

毛髪というのはそもそも毛周期に従って生えて伸びますが必ず抜けます。
ただ抜けて減っていく量と生えて伸びてくる量が同じ程度ならば、全体として変わらないわけです。AGAの症状が出ていなかった時期はその釣り合いが取れていたんですね。
ところが抜ける量が増えてしまった為に毛量の減少・薄毛というAGAの症状が出現してしまったのです。
フィナステリドやデュタステリドによって抜ける量を減らすことができれば、相対的に生えて伸びる量が多くなりますから、頭髪全体としても以前の状態に近づくはずと言うことなのです。

理屈の上では上のようにフィナステリドやデュタステリド(プロペシアやザガーロ)の服用だけで治療ができるのですが、実際その効果はどのくらいなのか?もちろん個人差がありますから服用開始してどのように変わるのかは試してみなければわかりません。そんなものです。

しかしこれらの治療薬は製薬メーカー(正確には開発を行った先発医薬品メーカー)が安全性と共に効果の測定も行ったうえで厚労省から認可を得ています。それらが記載されている添付文書はだれでも確認できます。

プロペシア(有効成分:フィナステリド)
ザガーロ(有効成分:デュタステリド)

添付文書には二重盲検比較試験という方法で効果を測定したとあります。これは検査する方もされる方も、治験に参加している人が本当の薬を飲んでいるのかプラセボ(有効成分なしの薬)を飲んでいるのかわからない状態にして検査したということです。つまり意図的に薬が効いているようなグループ分けもできないし、データも捏造できないということを意味します。(TVのCMのようにXX人が実感!というような有利なデータだけを集めた訳ではないということです。)
プロペシアでは48週間の服用で1mgを毎日服用した方で58.3%(77/132例)、プラセボ投与群(プラセボを服用していた人たち)で5.9%は頭頂部毛髪の変化で改善と判定されています。
0.2mgを投与した群では54.2%(71/131例)と1mgの投与群より改善と判定された率は低いのですが、「実薬群間では統計的な有意差は認められなかった」とありますからこれらの数字の違いは「誤差の範囲」と言える程度と言えるのです。(あくまでもこの実験結果からは、ですが。)

副作用についてみてみます。「発現割合は0.2mg投与群で1.5%(2/137例)、1mg投与群で6.5%(9/139例)、プラセボ群で2.2%(3/138例)であった」とあります。プラセボ群の方が0.2mg投与群より多いのは感覚的に不思議ですがコレはサンプル数(試験に参加した人数)が少ないためかも知れません。より大規模な試験が行われると違う結果が出るかも知れませんし、0.2mg投与では副作用の出現はほぼない(服用しなかったとしても副作用と同じ症状が出る)と言えるのかも知れません。
「性機能に関する副作用は0.2mg投与群で1.5%(2/137例)、1mg投与群で2.9%(4/139例)、プラセボ群で2.2%(3/138例)に認められた)。」とあります。この数字からだけですと性機能についての副作用出現は確率としてはそう高くないと感じます。(薬を飲んでいない人でも加齢に従って症状が出てくるということです。)

ちなみに「本剤投与群(0.2mg及び1mg)に認められた主な症状はリビドー減退1.1%(3/276例)、勃起機能不全0.7%(2/276例)であった。」
ということですが、リビドー減退:性に対する興味が減ること、勃起機能不全:いわゆるEDで十分な勃起が得られない、いわゆる中折れ等も、という症状が多いとなっています。

あくまでもこのような検査はその検査対象(母集団)によって結果が変わりますし100%自分に当てはまるとは限りません。どんな薬も(薬以外でも)実験データがそのまま全てに反映する訳ではありませんが、服用を検討しているなら現在分かっていることとして認識しておくべきですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?