「2023年11月から始めた、脱ステロイド後の地獄とも言える生活 ②」

ステロイドをやめた人の話を聞いたり、体験談を読んでみると、大抵みんな同じような体験をしている。①でも書いたように、ステロイドを使っていた時よりも更に皮膚症状が悪くなって、それはもうアトピー性皮膚炎というよりも、ステロイドを長年使っていたことによって皮膚が毒に冒されているような感じになり、アトピーではなくまったく違う皮膚疾患のように感じている。痒みも半端ではなく、掻いても掻いても痒みが治まらないものだ。更にステロイドを使えば使うほど皮膚は薄くなり、よく見るとサランラップのような質感の皮膚に見える。少し掻きむしっただけで血や汁が出るので、皮膚としては薄くて弱いように感じる。

話を元に戻す。2月くらいまで地獄のような日々を送っていた。母もとても心配していた。私は精神的にも参っていて鬱病のようになっていた。鬱病とまでは行かないまでも、毎日が憂鬱で気分が晴れない日を送っていた。困った時の神頼み。あまりに辛いので神様に頼るしかなかった。布団に入ると念仏を唱えるように「助けてください、助けてください、助けてください」と言っていた。

私の唯一の心の救いは大好きな愛車を運転して出掛けられることだけだった。私の相棒は新車購入後8年で30万キロを走ってくれた。ただのコンパクトカーだが、乗れば乗るほど愛着が湧き、乗れば乗るほど調子の良いクルマだった。30万キロも走っているから運転も上手になり、CVTなのにシフトチェンジをしてイニシャルDのようなスポーツ走行をしていた。ステロイドをやめて身体の調子が悪くなると、乗ってあげられない日が続いてとても辛かった。たまに身体の調子が良い時は深夜にクルマを走らせて、相棒の振動を感じながら信号の少ない山間の田舎道を駆け回った。調子が良くて相棒に乗っている時だけが心の救いだった。

ある日、ステロイドなどの劇薬を使わずにアトピーを治療している皮膚科はないかネットで調べた。すると、Youtubeでもある用語がよく出てくることに気付いた。
「脱ステロイド、脱保湿」

ステロイドを使わず保湿もせずに治せるのか?それならば、カネもかからないし言うことなしだが、そんなにうまく行くものなのか?よく読んでみると、大阪の阪南中央病院の皮膚科の佐藤先生という医師が提唱している治療法だった。
重度の患者さんで最後に辿り着いた砦がこの病院で、入院して完治した女性が言っていた。皮膚は渇かさなければ再生が遅くなるので、保湿や濡らすことはダメだと言う。ワセリンやクリームは一切塗らず、入浴もなし。シャワーは週に一回だけとか、下着も含めて汗をかきやすかったり蒸れる服装などもダメで、なるべく風通しの良いゆったりしたものを着用しなければならないと話していた。クスリなどの投薬はほとんどなく、水分摂取量や生活指導が中心だと言っていた。治るも治らないも自分次第。人間本来が持つ自然治癒力を引き出す治療法のようだ。その代わり、食事には寛容で好きなものを食べていいそうだ。

皮膚が痒い病気なので掻くのは致し方ないが、汁が止まらない場合は汁が早く止まるように洗って渇かしたガーゼ1枚を患部に貼り付ける(かさぶた代わりにする)とか、今まで聞いたこともないようなことを色々話していた。「ステロイド難民」のような人は世界中にいて、ステロイドなどの外用薬の効き目がなくなり医者から見放されたような人が、佐藤先生の書いたのを読んでビックリして実践したところ、症状が改善したとか、完治したそうだ。日本だけでなく、ステロイドは世界中に広まっていて、ステロイドの効き目がなくなると、それはもう「難治性」の皮膚疾患のようになってしまい、現代医療では即効性がある治療法は他にないと言う。

それにしても、大阪まで行く費用も入院費もない。少なからずお金はかかるものだ。今の自分にはとてもそんなお金はない。私は岐阜県庁がある岐阜市の中心部に住んでいる。岐阜県内でステロイドを使用せずに治療している皮膚科医はいないかネットで調べてみた。
すると、ネットが普及し始めた何十年も昔に作ったと思われるすごく古いホームページが出てきた。私も昔、ホームページビルダーなどで自分のホームページを作っていたから、それによく似ている作りだった。脱ステロイドについても色々書かれてあり、皮膚症状の写真も多く掲載されていた。どこの皮膚科かよく見てみると、私が住んでいる岐阜市のすぐ隣りにある大垣市(おおがきし)だった。しかも大垣駅のすぐ前。そんな近くに良い皮膚科医がいるなら行くしかない。私は母にこのことを話した。いつまでも放っておいても身体は治らない。不幸中の幸いとなるかもしれないことを私はすごく期待した。