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映像作品ボツ案③ レオン(仮題)

 考えたけど映像化しなかったシリーズ第3弾です。今回は「レオン(仮題」のお話をします。ジャン=レノじゃないよ(笑

 このボツ案も、「彗星怪獣ハレー」完成後に考えた案になります。今度は「ペットの爬虫類が巨大化した」という王道ストーリーの案です。

あらすじ

 主人公は、他人と関わるのが苦手な女子大生。唯一の友達は、ペットのレオパ(ヒョウモントカゲモドキ)。大学から帰ってくると、毎日レオパに悩みを打ち明けたりしていた。

    ある日、餌のコオロギを切らしてしまった事に気づく。いつも行っているペットショップは閉まっていて、仕方なく河原で捕まえる事に。しかし、河原には化学薬品が不法投棄されており、コオロギ達も汚染されていた…

   そうとは知らずに、捕まえたコオロギをレオパに与えてしまう主人公。翌朝目が覚めると、レオパのケージが割れており、レオパの姿がない。さらに、外が何やら騒がしい。

 外に出ると、なんとレオパが巨大化して街を歩いていた…… 混乱する主人公の前に、さらに巨大化したコオロギが現れ、レオパと戦い始める。主人公は、レオパが自分を守るために戦っている事に気づき……

怪獣と少女の交流

 これは、本案の一つのテーマでもあります。もともと僕は、ガメラ3のような怪獣と少女の関係性を描いた作風がとても好きです。ガメラ3ではどちらかというと敵サイドの怪獣の訳ですが、味方サイドにこうした関係性を持ってくる事は「自分のやりたい作品」のイメージに近いな、と思いました。

 この「怪獣と少女の交流」をどのような形で描くか、が本案を考える上でのスタートでした。

怪獣好き+爬虫類好きに向けた作品

 では、なぜ「あらすじ」のような話にしようと思ったかというと、怪獣・特撮好き以外の層にも楽しんでもらおうと思ったからです。もともと僕は爬虫類が好きなので、爬虫類好きにも楽しめる内容にしようと考えました。

 また、レオパは比較的飼育のしやすい爬虫類として人気があり、爬虫類マニア以外の層にも知名度があります。そのため、より広い層が親しみを持ってくれるかな、と思いました。

実際の動物を使う

 また、現実に存在する生き物を登場させる事で、作品にリアリティ・説得力が生まれるのでは?とも考えました。実際僕はレオパを飼っているので、撮影に協力してもらうつもりでいました。

(僕が飼っているレオパ・檸檬)

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ストップモーション向きのキャラクター

 前回記事で「ストップモーションに向いたキャラクター、不向きなキャラクターがいる」という自論を書きましたが、今回もその理論に則って考えました。

 前回話した「オウマ」では「ロボット」という結論でしたが、今回は「昆虫」と「爬虫類」という結論に至りました。どちらも、哺乳類とは違い、カクッ、カクッとしたような動きをする事があり、元々のアクションがコマ撮りっぽい印象を受けたので、親和性があるのではないか。と考えました。

デザイン

 デザインは、以下のような感じになります。

 今回は、主人公のイメージも描き起こしました。地雷系のイメージです。

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主役怪獣「レオン」のデザインです。エメリッヒ監督版の「GODZILLA」も意識しました。

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敵怪獣・ゴオロギラスのデザインです。

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怪獣の倒し方

 主人公を力無い少女とした場合「怪獣を倒すのにどう加担するか」というのは毎回頭を悩ませるポイントです。全く加担しないのは、ストーリー上お荷物になってしまい、主人公として機能していない事を意味します。

 今回は、自分のペットである怪獣が、自分を守るために戦っていると知り、サポートする。という形で活躍させようと思いました。さらに、もともと人間関係に難があるという設定だったので、そこを解決させる事を物語のゴールにしようと思いました。

 敵の怪獣、ゴオロギラスは、超音波を使った破壊を攻撃手段としています。怪獣レオンもこれに苦しめられます。なので「超音波をどうにかする」事が勝利の鍵となるわけです。

 そこで思い出したのが「音波は、相反する音波をぶつけると相殺する事ができる」という現象でした。これは、イヤホンのノイズキャンセル機能などに応用されています。

 ノイズキャンセルの原理から、主人公がこれに気づき、普段関わってこなかった同じ学科の同級生に協力してもらう。という展開を思いつきました。同級生達はバンドをやっているので、デカめの機材を持っている、と。その機材からゴオロギラスの発する音波と相反する音波を流し、超音波攻撃を打ち消す。という感じです。

 実際に音波攻撃を阻んだのは同級生、という事になりますが、対人恐怖気味だった主人公が、彼らに助けを求める事で物語が解決へと向かう、という構図です。

 僕は、こういう「正攻法ではなく、テクニック的な、頭を使った敵の倒し方」が好きなタチなので、その点では面白いな。と我ながら思っています。

ボツにした理由:「メチャクチャ面白く」はならなそうだったから。

 では何故この案もボツにしたのか。

 それは、「つまらなくはならないと思うが、メチャクチャ面白くもならなそう」だったからです。

 一本の映像作品を作るには多くの時間、お金がかかります。それゆえに「これは絶対面白い!」と堂々と言えるものでないと、スタートダッシュを切るわけにはいかないと思います。

 ストーリー的にはスッキリまとまりそうだな、と思うのですが、逆にクセがなさすぎると言いますか、王道ストーリーすぎて作品としてのインパクトが無いな、と感じます。

 怪獣のデザインにしても、元の生き物がいるデザインなので、いまいち「怪獣デザインとしての面白さ」を出すのが難しいと感じました。

 そうした理由から「これは他の自主怪獣映画メーカーとタイマンできるぐらい面白い!」と思えなかったのです。デザイン時点でそれに気づいたので、今回は脚本も絵コンテも描いていません。

 ある意味、早い段階で気づけたので時間の無駄は少なくて済んだと思います。

 では「メチャクチャ面白い話にするにはどうすれば…?」という事を考えながら思いついた④つ目のボツ案が、次回ご紹介する「鋼鉄怪獣メタルガン」です。もっとも、こちらもボツ案なわけですが…… 

 ボツ案紹介は、次回が最後です。その次はいよいよ現在制作中の作品をリアルタイムで追っていきます。では、また…

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