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ツボでいきいきー東洋医学よもやま話ー

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2021年12月の記事一覧

ツボでいきいきー東洋医学よもやま話ー

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004_最新の脳科学から迫る経絡の謎
ツボを理解する上で重要な経絡という情報伝達系がどのような仕組みになっているかは、現在に至るまで謎のままだ。しかし、1996年に発表された研究はその仕組みの一端をうかがわせている。

研究で取り上げられた患者は、列車事故で右腕の肘から先を失った青年。
”切断された手がある”という感覚が、青年にはあざやかに残っており、歩く時には他の部位と合わせて動いたという。

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ツボでいきいきー東洋医学よもやま話

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003_秘められたエネルギー回路
 ツボの歴史を考えるうえで、興味深い事例が1949年、千葉大学眼科学教室で見つかった。
視力障害で入院していた男性患者(51)に、鍼を打つと、しびれたような感覚が体内の経絡に沿って全身に伝播し、そのルートをなぞることができた。落雷を受けたことがあるという男性は「経絡敏感人」と名付けられたという。

 経絡はエネルギーの回路で、中国の紀元前の医書にも登場する。
手足

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ツボでいきいきー東洋医学よもやま話

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002_ツボの数は1年の日数と同じくらい

ツボのことを専門家は経穴(けいけつ)と呼ぶ。
広辞苑では「灸(きゅう)を点じ、鍼(はり)を打つべき身体の箇所。全身に数百か所あり、経絡(けいらく)の要所にあたり、病気の診断と治療の対象点」と説明している。

痛みがある所に、とげが偶然に刺さったり、石が当たったり、やけどになったりして、痛みが和らぐことで新しいツボは発見されてきた。
一つひとつのツボが、経

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ツボでいきいき-東洋医学よもやま話

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001_奧の細道押して旅する足三里
疲労回復には、「三里の灸」が効くと言われる。
全く動けなくなって、足三里に灸をしたら、さらに3里(約12キロ)も歩けたというのが、この言葉の由来というが、これは俗説だ。
中国のツボ解説書によると、膝の皿の下方外側にあるくぼみから、三里の所にあるから、こう呼ばれるようになったらしい。
ここでの一里は、手の親指の横幅にあたる。

わが国では、松尾芭蕉の紀行文「奥の細

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