アニメ声は生きづらい
私の地声はアニメ声らしい。
人から教えられて初めて私の声がその分類に属することを知ったのは中学の卒業式だった。
卒業式のあと最後のHRで順番に先生や保護者へのお礼の挨拶をすることになって、私の番が回ってきた。「今までありがとうございました」と言ったとたんクラスがざわついた。正確に言うと後ろで保護者がザワザワとした。中には隣の人とクスクス笑ってる人もいた。意味が分からなくて、それでも続けなきゃいけないと思って、でもザワザワするのが恥ずかしくて、当初考えてたものよりかなり短く挨拶をして終わらせた。HRのあと、すぐに保護者から「すごいアニメ声だね!地声?」と言われ「私の声が笑われた」ことを理解した。
そこから高校に入学した私は入学式後の初めてのHRでの自己紹介でまた同じようにざわつかれ、同じようにクラスメイトから声をかけられ自分の声が恥ずかしくなった。
ここまでnoteを読んでくださってる人は私の声がどんなものなのか気になるだろう。
私の声をここに載せることは出来ない(あまりしたくない)ので、友達に「私に似た声は誰か」と聞いたところ"日高里菜さん"と"小倉唯さん"を足して2で割った声らしい。お二人ともかわいいので恐れ多い…
そんな感じで自分の声が恥ずかしくなった私は新学期、新生活というものがとても億劫だ。自己紹介は必ずあるし、声について「地声なのか」と聞かれるし、最悪の場合はかわいこぶってると言われる。そして、諸々が影響し友達が出来にくい。
新生活だけではなく、初対面の人と話すのも苦手だ。お洋服屋さんや美容室で会話すると「声変わってますね!」と毎回言われるし…
苦手と言うか同じ質問同じ会話にうんざりしてきてるのである。
そして、アニメ声で生きてると聞かれることが多いのは「声優にならないの?」ということである。私もこの声が自分の個性だと最近は認識するようにしてるが、それを仕事にしようとは思わない。とある資格を取りたいと思って大学探しをしてオープンキャンパスに行ったとき、必ず最初に言われたのがこの質問だった。また、資格取得を目指して大学に入学してからも先生から「声優に向いてそうだよね」と言われた。メンタル最弱の私はその言葉を聞くたびに「私にはその資格やその職業に対する素質がないのか…」と考えてしまった。大学には資格を取得して専門職に就くためにその勉強をするために入学したのだ。それなのに、その大学の先生は平気でそういうことを言う。今や声優を目指している人は何万人といて、声優で食べていける人なんてごくわずかなのに…何て無責任なんだろうといつも思っている。
「アニメ声だとちやほやされるし、かわいいって言われるしいいな~私もなりたいな~」と嫌みを今日も言われた。
そんなにアニメ声になりたいなら教えてやろう。
『アニメ声は生きづらい』
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