見出し画像

アラサーの補完計画(シン・エヴァの感想)

※ネタバレあり

 3月14日にエヴァンゲリオンを全く知らない夫と一緒にシン・エヴァを見た。それ以来、宇多田ヒカルのOne last kissを聴きながら、毎日投稿される誰かのシンエヴァの解説サイトを読んでいる。

 私の中でシン・エヴァは、碇ゲンドウが世界を壊してでも一人の女性を求めた愛の話だったし、成長したシンジ君は他者との関わりを求め、傷つきながら生きることを望み、現実世界で新しく登場したマリと一緒に生きることを選んだと理解して、頭の中で映画のラスト1/4のシーンを反芻している。

 緊急事態宣言があけ、大学時代からの親友に1年ぶりに再会した。アラサーの私たちが話すトピックといえば、この一年に変化した友人たちの近況だ。誰と誰が結婚した、子供産んだ、離婚した、会社をやめた、事業をはじめた、なんてそんな話。

 ここ一年に変化がおきた友人たちの結婚に至る経緯をすごい勢いで話していたら、結婚と愛に対しての一つの仮説ができた。
 その仮説とは、私たちはネガディブな心情を理解しあえること(シンクロ率が高いこと)に対して愛情をいだいてしまうということだ。

アラサーの補完

CASE 1 : 友人Aの場合

 大学在学中に、友人Aの父親は若い女と浮気し、その後友人Aの両親が離婚した。彼女は一連の出来事に酷くショックをうけていた。私も彼女を励まそうと友人として彼女の気持ちに寄り添おうとしても、親の離婚歴がない私にとっては適当な言葉がみつからず、ありきたりな言葉で励ますことしかできなかった。
 それから、彼女はこれまで数人とお付き合いをしていたが、全ての男性が親が離婚歴のある人だった。彼女は自分の職業が不安定な為、安定した職のかたと結婚したいといっていたが、このたび、親が離婚歴があり、かつ彼女と同じ職業の男性と結婚し、幸せそうだ。

CASE 2 : 友人Bの場合

 友人Bは、一度結婚した相手がDV野郎だったため、すぐ離婚したが、精神的に回復するにも数年かかっていた。そんな時に、自己啓発のようなセミナーである男性と出会った。彼にはDVが原因で離婚した姉がいて、友人Bの状況を理解してくれ、やがてお付き合いをはじめた。彼は事故で足が不自由であり、また経済的にも不安定であったため、結婚を反対されていたが、結局昨年再婚して幸せそうだ。

CASE 3 : 友人Cの場合

 友人Cは、新卒の会社で鬱になり、退職し、実家の事業を一部を手伝っていた。家業の商品をネットショップに掲載する仕事をリモートでしており、時間に縛られず、フリーランスに近い働き方をしている。彼女は入社した会社でうまく立ち振舞えず、やがて鬱になってしまったことに対して、ずっと劣等感を感じているようだった。彼女は結婚するのであれば、会社員のような安定した仕事をしている男性がいいと言っていたが、ネットアプリでフリーランスの仕事をしている男性と出会い、当時うまくできなかったことに対して、会社が悪かったと自分を肯定的に思えるようになった。昨年より同棲を初めて幸せそうだ。

愛する人の基準=トラウマの共感?

 友人Aは親の離婚に対して同じように傷つき理解しあえる人
 友人BはDV夫からの離婚によって傷いた自分を理解してくれる人
 友人Cは社会人として会社に順応できなかった自分を理解してくれる人

 結婚の条件として、男性は経済力や、女性には若さや容姿が重要とされているが、結局のところ、愛する相手の基準は自分自身の心の中にあり、結婚したいほど愛せる人とお互いに唯一無二の存在思えるようになるには、自分が深く傷ついたことに対するお互いに深い理解があることが基準になっていた。

 深い理解には積極的なお互いの自己開示が必要だし、自己開示といってもいきなり初対面の人に自分のネガティブな過去を開示しても相手に引かれてしまう。それなりの関係性を得てやっと自分を理解してもらうべく開示したところで、旧劇場版のアスカのように『気持ち悪い』といって拒絶されて、深く傷つく場合もある。

人類補完計画のない世界へ

 日々傷ついた私たちにとっては、人類補完計画は、だれにも拒絶されず、誰も寂しい思いもしない、すばらいシステムだと思うけれど、そんなものは存在しない。新劇場版では、結局は相手に気持ち悪いと言われようとそれ受け止めて、現実世界でたくましく前をむいて生きることが監督からのメッセージだったし、実写の風景の中でシンジとマリが走り去っていくところがラストシーンから、アラサーの私たちにも傷ついても自己開示することをやめず生きていけという励ましのメッセージだったように思い、救われた。

 婚活中の親友には、その素敵な性格をもっと開示したら、すぐにいい人が現れるよと言ったら、『はは、私見る目ないんだよね』って言って笑っていた。

後日、婚活中の友人がファンだと言っていた、さらば青春の東ブクロが女性問題で炎上してた。現実はつらい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?