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昔、エホバ信者の友達がいた②

こんにちは。生田です。
つづき。

◼︎登場人物
・生田
自分。バイト漬けの高校生。

・雪
同い年のバイトの後輩。フリーター。
清楚で品がある。

気まずい会話の後、このままでは次回に引き摺ると思い、勢いで雪をカフェに誘う。

さっきとは別になんでもないような話をして、とりあえずなんとかなったと安堵していた。
この時自分は家庭が崩壊していて、それを後から知られてタブー扱いされるよりは自虐ネタで笑いにしてよく保険をかけていた。(笑ってくれる人はあまりいなかった。)
このまま適当に話して適当に解散で、今までよりは少し話せる相手になるか。そう思っていた。

「エホバの証人って、知ってる?」

やられた。

雪の高校に行っていない現状や中学時代に不登校だった事から、家が複雑とか病んでるとかそういう事情はありそうだとは思っていて、そういう実はバナシはあるかもと予想していたがそっちか。そっちなのか。

「名前と輸血できないくらいしか知らないねー。」

なるべく声色を変えないよう努めなければ。外ヅラを良くしたいので偏見を持ってると悟られたくない。

「ごめんね。印象が良くないのは分かってる。でも生田と友達になりたい。お互いの事をこれ以上知り合う中で、隠せない事だと思う。だから言う。家族ぐるみでエホバの証人なの。」

なるほど。正面から来たか。の後に、雪も自分と友達になりたいんだ。最初あんなにオドオドしてたのに。と言う思いで複雑だった。

「ほー…。」

ほーしか出ない。この手の人は話が上手い。変に問うたら終わりや。どう断る?その事で頭がいっぱいだった時。

「待って!勧誘しない!勧誘しない!」

そっちが勧誘って言うんかい。
雪は必死だった。

「雪はこういう人間なんだと知ってもらう上で必要なだけの話だから、聞いてくれる?」

熱心な両親の元エホバ2世として生まれた雪は、小心者な性格と近所の噂で友達ができず幼少期を過ごす。この時点では何故自分が2世なのか。何故他と違うのか。と両親とエホバを嫌い、毎週のお祈りも行かず、イジメにも合い、やがて精神を病んで自殺未遂の末、精神病棟に閉じ込められることもあった中学時代。だがそこで改めてエホバの証人の事を学び、救われたと。

今こうやってこの命があるのは、神様のお陰。不真面目に生きてきた分、これからもっと学ばなければならない。

ざっくりとこんな事を言っていたと思う。
どう考えてもおかしい。エホバがなければそもそも辛い思いしてないんじゃない?弱ってる時に漬け込む洗脳じゃない?としか思えない。
だがそれでも雪はこの宗教によって今生きている。
自分は雪が嫌いじゃなかった。雪が死んだら多分悲しい。
だから、雪が今生きているならどうでもよくなった。

「神は信じてないけど、雪が今元気ならそれでいいよ。」

雪は笑って

「そっか!あーよかった!緊張した〜」

と、アイスティーを啜っていた。

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