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レコード棚を総浚い #23:『Billy Joel / Cold Spring Harbor』

これを書き始めた今この瞬間も、ビリー・ジョエルのデビュー盤を最初に紹介していいのか迷う。
手元にあるレコードは'83年にコロンビアから再発売された物だからだ。

'81年発表のライブ盤『ソングズ・イン・ジ・アティック』からシングルカットされた『シーズ・ゴット・ア・ウェイ』が全米23位のヒットとなり、絶盤になっていた『コールド・スプリング・ハーバー』を'83年に再発したという経緯がある。
その際、テープの回転数を上げてマスタリングされたものをオリジナルのピッチに戻したり、バックトラックの編集、曲の長さの変更など、ビリーが元々意図していたイメージに沿う大きな改変が施されている。

それでも、いやだからこそビリー・ジョエルという才能が、あるべき姿で世に出た証という意味で、やはりこの盤はデビュー盤として扱うべきなのだろう。

そしてこの盤と最初に出会ったのはミュージックテープだった。
1984年、親元を離れて予備校に通う僕に、母が持たせてくれた何本かのミュージックテープの中に、この『コールド・スプリング・ハーバー』はあった。

住み慣れた故郷や、家族の愛情に守られて過ごした日々から、少しづつ大人になっていく節目の一年間に、毎夜僕を慰めてくれたこのアルバムのすべての曲が、今でも僕の中に染み付いている。

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