佐野元春と浜田省吾は、世界を見つめる二つの異なる<視点>である
敬愛するシンガーソングライター兼ラジオDJ(選曲家)の松崎真人氏は、自身がDJをつとめる番組『MUSIC★J』で、佐野元春さんへのインタビューからの文脈で、
と語った。
佐野元春が提供する、極度に抽象化された<街の風景>と、浜田省吾から匂い立つ、僕ら自身の生々しい<心の傷>。
抽象化されなければ、辿り着けない痛みもある。
生乾きの傷だからこそ、信じられる安らぎもあるだろう。
DJ松崎氏の指摘は、元春とハマショーの示した世界の有り様が、こんなにも自然に自分の中で混じり合っていたことに気づかせてくれた。
最初に浜田省吾を大切なアーティストと認識させてくれたのは、高校時代、剣道部の合宿に同期で幼馴染の友だちが持ち込んだカセットテープだった。
「この『片想い』っていう曲がいいんだ」と彼は言った。
この時に限らず、だいたいいつも片想いをしている僕は、宿泊合宿の空気にも当てられて、まんまとハマショーのマジックにハマったのだった。
佐野元春を教えてくれたのは、甲斐よしひろのサウンドストリートだった。言い古された話だが、『ガラスのジェネレーション』の「つまらない大人にはなりたくない」というシャウトには、よく言う「ロックンロールの魔法」ってヤツがかかっていて、またしてもまんまと魔法にかかったんだ。
佐野元春が指し示す世界への憧れと、浜田省吾が包み込む僕の心の傷と、二つながらに存在して矛盾なく、僕が世界を見つめるための大切な視点になっている。
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