最後までやり抜く力
最近では、1歳半、2歳くらいから通っていた子どもたちが年長さんや小学生になり、改めて乳幼児期の環境の大切さを実感します。
今年、年長さんの一翔くん。(仮名)1歳8ヵ月から通ってくださっています。最初は「公園に行く。」と泣いていることもありました。「公園に行きたいんだね、お仕事が終わったら行こうね。」と伝えていました。そんな泣いていた時期もあったなぁと、思い出されます。
年長さんになり、ある日世界地図パズルを選択。
いざやってみると、たくさんのピースがあって、世界にはこんなにたくさんの国があることを知った一翔くん。
「え~こんなにある。大変だな。」
ネガティブな言葉が出ていましたが、黙々とやり始めました。自分で休憩を取りながら1時間強かけて、世界地図パズルが完成。
「できた~!!!」
その言葉には『疲れた』『大変だった』『やり抜いた』『嬉しい』
こんな言葉がたくさん入り混じっていたことと思います。
教師が「できたね。」と声掛けをすると、
「うん、最後までできて良かった。」と。
そこからぐっと最後までやり抜く力が、じわじわとついてきました。そのあと、大陸地図作りに誘ってみました。
「やってみる!。」
このお仕事もとても根気が必要です。
でも、一翔くんならできる。
大陸の色を塗り始めると、『大変』と言う言葉が多くなってきました。
「続きにして次に来た時にしてもいいんだよ。」と伝えると、「今日はここまでやる。」と、自分で終わりを決めて続きにしていました。
その次の時は、まずはこのお仕事をしてから、大陸のお仕事をするというように、自分で計画を立てている姿がありました。
大人が終わりを決めるものでもなく、やらせるのではなく、自分が納得しながら、計画的にすすめていく。そんな力こそが、すなわち先を見通す力が、小学校入学前に大切なのです。
いよいよ海を色鉛筆で塗っていきます。塗りながらも「海ってこんなに広いんだ・・・。」と、まさに感覚をとおして海の広さを実感していた一翔くん。「今日はここまでにして、次に終わらせる。」
その宣言通り、一翔君は次に入室した際、最後までやり抜きました。
コツコツとやるには、自己コントロールや計画性、やり抜く力など様々なコントロールが必要です。
大人に言われて従って行うのは簡単です。でも、自分で計画を立てて、やり抜く!という気持ちを維持していくことは容易いことではありません。今までの様々な経験が土台となっているのです。
小学生になると、自分で計画を立てて行うことが多くなります。宿題をいつするのか、遊びの時間はいつにするのか。大人が「宿題はやったの?やりなさい。」と言うのではなく、自らスケジューリングしていくことが大切になります。
幼児期から次はこれをして、次までに終わらそう。そんな経験が【先を見通す】という土台になります。
小学生になっても大丈夫。そんな思いも込めながら、「最後までできたね。」と声を掛けました。