持っていないゲームの攻略本を読むのが好きだった

小中学生のころ、ゲームの攻略本を読むのが好きだったんです。
ステージの攻略法はもちろん、キャラ紹介やアイテム解説、こぼれ話や小ネタなど、隅々まで読んでいたのを覚えています。

…たとえそのゲームを持っていなかったとしても。

スーパーマリオワールド、そしてヨッシーアイランドの攻略本が好きでした。
スーファミを持っていなかったにも関わらず。

「ドラゴンクエストⅦのあるきかた」は、枕元に常備して毎晩読み返していました。
プレステを持っていなかったにも関わらず。

僕は、持っていないゲームの攻略本を読むのが好きだったんです。

小学生の頃なんて、攻略本があっても全クリできないゲームなんてざらにあるじゃないですか。
そもそもゲームが下手くそだから。

だけど、攻略本を読んだ後の脳内プレイだと、その難点を克服できるんです。
ボスキャラの行動パターンは頭に入っている。回復のタイミングだってばっちりだ。
あとは攻略法通りにキャラクターを動かすだけ。

絶対に失敗しないんです。単なるシミュレーションだから。

当然ですが、実際にプレイするとまったくうまくいかなんですよね。
和田君(家に大体のハードがそろっている。セガサターンはなかった。)の家で初めてヨッシーアイランドをプレイしたとき、
ぜんっぜん狙い通りに卵を投げられなかったもん。

(ちなみにドラクエⅦは最初の神殿で投げました。キーファの種もくそもなかった。なんだあれ。)

持っていないゲームの攻略本は、”かりそめの愉悦"に浸るアイテムだったんです。
ゲームが上手くなった達成感と、知識を得た優越感。

危険なのは、脳内シミュレーションと現実のスキルとのギャップに永遠に気付けない事。
なんとなく気持ちよくなるだけで、未来永劫ゲームの腕前は上達しないんです。

大人になった今、身の回りにはあのころ以上に攻略本があふれていることに気付きました。
ビジネス本、ブログ、YouTube、有料無料のnoteに、Twitterに飛び交う名言たち。

じっと読んで、ふんふんと納得して、自分の脳内でシミュレーションしてみる。
謎の成長感と、知識欲を満たした快感とにより、駆け巡る脳内物質。
何なら自慢げに同僚に説明してみたり、自分のブログで解説してみちゃったりなんかして。

そこまでだと、「出来た気」になっておしまいなんですよね。
ゲームと同じで、実際にプレイしてみるまでは分かんないんです。
脳内シミュレーションと現実とのギャップは。

「ビジネスパーソンの筋トレのススメ」を読んでも、実際にダンベル持ち上げないと意味がないんです。

「★新入社員のやるべき事7つ★」にいいねしても、自分の行動を変えないと意味がないんです。

(しかもゲームの攻略本と違ってたちが悪いのは、実際のプレイの際に役立たない攻略法も溢れてるってこと。。。少し話がそれましたね。)

自己成長というのは、理想と現状のギャップとを埋めていくことだと思っています。
理想像ばかり思い描いても、現実が見えなきゃ距離も道筋も分からず路頭に迷うだけです。

もちろんインプットを続けることを否定するわけではありません。
貪欲に学び、情報を取りに行くことは現代の必須スキルの一つとすら思っています。

だけど、”かりそめの愉悦"の麻薬に嵌らないようにすることが、
「攻略できる腕前」を身に付けるために必要な態度だと、僕は思うんですよね。

ちなみにいい歳なんで、さすがにもうゲームの攻略本は買っていませんよw

暇なときはポケモン対戦実況を見ながら学んだ経験を基に、対戦考察wikiを調べながらレート用のパーティを考えたりしています。

…ポケモン持ってないけど。

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