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非営利組織における事業承継問題と後継者育成問題 Succession Planning and Leadership Transition in Non-Profit Organization 小 室 達 章1 )   横 山 恵 子2 ) Tatsuaki KOMURO    Keiko YOKOYAMA

そもそもNPOとは何か
NPO→営利を目的とせず、社会の様々な課題に対して自発的に活動する組織体である。したがって、収益を目的とする事業を行うこと自体は認められるが、事業で得た収益は、様々な社会貢献活動に充てることになる。
ビジネスや公共サービスが充足することができないでいる社会的課題を解決する主体として期待されており、社会問題が複雑化・ 多様化する現代社会において,社会的サービス提供者として不可欠な存在。


上記のグラフを見て分かるように、近年ではNPO法人において・設立よりも解散が多い・休眠NPO(組織的な活動を行っていない休眠状態のNPO法人)が目立つようになってきたという事実がある。
これには様々な理由が考えられるが、本論文では事業承継および後継者育成問題に関して焦点を当てて展開している。また、これには前提条件があり、社会的ニーズあり×継続の意思ありの必要性があるNPO法人のみとなっている。

NPOが抱える問題に後継者不足・人材の確保や教育・収入源の多様化が大きく挙げられることを理由としての事だと考えられる。

NPOにおける事業承継問題および後継者育成問題は、理事長や事務局長などNPOの代表者の「代替わり」において発生するものであり、この点は現在問題視されている事業継承の問題と同じだと言える。また、NPOにおける事業承継問題および後継者育成問題が、近年特徴的になっている事実からも分かるように比較的新しい現象であり、それらに関する研究は蓄積されているとは言い難い現状がある。


また、上記の図を見ても分かるように、NPO代表の年齢における高齢化・準備ができていない起業が多くを占める点を見ても、日本NPOにおいて事業承継や後継者育成に関する課題を認識しつつも、対応できていない現状が明らかになっている。

本論文で大きく取り上げられたまとめは2点ある。一つは状況適合的な考え方を取り入れて、NPOの事業承継問題と後継者育成問題を分析する必要性。二つ目はNPOに関わる人々の世代間格差に注目する事だ。
(他に事業を個別で分析し、足りないところを抽出するという点があったが、当り前に必要な対応の為省いた。)

一つ目に関して、NPOの事業性の度合い、組織の発展段階、求められる社会性の質に応じて,NPOの事業活動および後継者として求められるスキルや考え方が異なるという考えを述べたもの。

具体的に、各NPO法人において、それぞれが持つ目的意識・期間・対象・方向性といったものは大きく違い、「世代論」という形で分けられている。

ここからも言えるように、社会性の質の面から、組織の世代の違いを考慮に入れるという発想が、状況適合的に事業承継問題や後継者育成問題を考えるにあたって非常に有用であるということだった。

二つ目はNPOに関わる人々の世代の違いが、事業承継や後継者育成を困難にさせていると考えて研究を進めていく必要性があるとするもの。
具体的に、「第2世代はあくまでサポート役であり、リーダーとしてNPOを牽引することが苦手かもしれない。第3世代は社会的課題の解決をビジネスとして展開するソーシャルアントレプレナーとしての考えが強く,第1世代の前任者の手法や考え方に必ずしも共感しない可能性がある。」としている。

ここからも言えるように、時代背景によって求められているNPOの方針は必然と違ってくるので、そこの埋め合わせが難しいという事であった。


上記を踏まえた上で、世代間ギャップと事業形態や目標の内部事情のギャップを大きく帳尻を合わせる必要性がある。

05_Tatsuaki KOMURO, Keiko YOKOYAMA.pdf


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