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雪の缶コーヒー

そこは名前にだけ市と付く只の町だった。だだっ広いから。ただ周りよりほんの少しだけ人が多いから。きっとそんな理由だったのだろう。

町の真ん中にはコンクリートに囲まれた幅3メートルほどの川が流れていた。川沿いはちょっとした歓楽街になっていて夜になるとネオンが灯って綺麗だ。その川を体にしてムカデの足みたいに商店街が細く短く軒を並べている。夏になるとそれぞれの商店街から神輿が出され、ちょっと名の通った大きい祭りが行われた。今思えばそれだけのためにあるみたいな町だった。

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アバラ通信

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