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コロナの影響による賃料滞納と賃貸借契約解除の関係性(5/3時点)@弁護士

新型コロナウィルスの影響により、売上げが激減した小売店や給料を減らされた個人が借り入れている賃貸物件について、賃料を滞納し始めているケースが増えているといったニュースが報道されています。

裁判実務上、一般的に、2回続けて賃料を滞納しても、賃貸借契約の解除は認められず、賃貸人側からの明渡し請求は棄却される可能性が高いです。

では、何ヶ月の賃料を滞納した場合に、賃貸借契約の解除、ひいては、賃貸物件の明渡し請求が認められるか、以下、説明していきます。

貸主及び借主の対応方法

読者のお手元にある賃貸借契約書を見ながら検討していただきたいのですが、一般的に、賃貸借契約書内で「契約の解除」に関する事項を規定した条項には、賃料の滞納があれば、貸主は賃貸借契約を解除できると記載していることが多いです。しかし、裁判実務上、賃貸借契約の解除には、単純な賃料滞納の事実だけでは足りず、これに加えて、賃貸人と賃借人との間で信頼関係が破壊されたという事実が必要です。

そして、信頼関係の破壊があったとされる目安として、一般的には、3ヶ月の滞納があれば、信頼関係は破壊されており、賃貸借契約の解除が認められる傾向にあります。翻って言えば、2ヶ月の滞納であれば、貸主側から賃貸借契約の解除を主張されても、裁判実務上は、解除が認められない可能性が高いのです。

更に、昨今の新型コロナウィルスの影響により、賃料滞納に至っている場合には、おかみである法務省民事局は、「日本の民法の解釈では、賃料不払を理由に賃貸借契約を解除するには、賃貸人と賃借人の信頼関係が破壊されていることが必要です。最終的には事案ごとの判断となりますが、 新型コロナウイルスの影響により3カ月程度の賃料不払が生じても、不払の前後の状況等を踏まえ、信頼関係は破壊されておらず、契約解除(立ち退き請求)が認められないケースも多いと考えられます。」と意見しています。

したがって、新型コロナウィルスの影響による賃料滞納と賃貸借契約の解除の関係性について言えば、信頼関係破壊の解除の目安は3か月の賃料滞納であるという一般論は通用しない可能性もあり、賃貸人側にとっては、3ヶ月の賃料滞納のみで賃貸借契約の解除及び明渡しが認められると安易に判断せず、または、賃借人側も3ヶ月の滞納があったからと言って諦めるのではなく、少しでも、貸主側に対して賃料を支払う姿勢を示し、賃貸借契約の継続を希望することが重要となります。

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