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弁護士ばんぶうの不倫裁判百選

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弁護士 齋藤健博が、不倫判例を独自の理論で、わかりやすく解説しています。
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2020年9月の記事一覧

不倫裁判百選95 飲酒運転防止目的であれば,タクシーや運転代行を依頼することもできるはず?

0 はじめに配偶者ある人間を宿泊させたら、不貞行為に及んだと言えるでしょうか? 答えは、これだけではNOといわざるをえないでしょう。 しかし、裁判所は、2週連続で2回にわたることや、そもそも不貞相手は徒歩で被告宅にきたこと、翌日一緒にパチンコに行く約束をしたために双方があらかじめ合意の上で泊まったことを考慮して、不貞行為の存在を認めました。 1 争点及び当事者の主張名古屋地方裁判所において令和元年11月25日に出された裁判例は、外泊を主な根拠としています。  (1) 

不倫裁判百選94 人目に触れて通報されるかもしれないリスクを承知の上で,敢えて車内での性行為に及ぶという大胆不敵で破廉恥な性的行動?

0 はじめに不貞行為の存在を本気で争う事例では、探偵などの証拠が出てこない場合、間接事実といって不貞行為をしていてもおかしくないであろう事実を積み上げていき、最後は裁判官の判断になります。実際に立証に成功した事例はもとよりですが、立証に失敗してしまった事例にこそ、学ぶべき教訓がないか?東京地方裁判所において令和元年12月3日に出された裁判例は、原告の主張をひとつひとつ蹴り飛ばすスタイルをとっています。 1 争いのない事実 ‥(前略)‥A(原告の配偶者)は,同月28日,午後零

不倫裁判百選93暴力があっても、妻が不貞に前のめりでも、旅行に行けば夫婦関係は破綻しない?

0 はじめに  東京地方裁判所において令和元年 8月29日に出された判決は、婚姻関係の破綻が争点になっていましたが、被告は,原告に対し,220万円及びこれに対する平成30年5月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払えと命じています。この事例では、原告と、不貞相手であるAとが離婚に至っていないにもかかわらず、220万円の高額を認容した事例です。 1 争点に対する当事者の主張 被告(男性)は原告(男性)のA(不貞相手)に対する暴力を主張し、対する原告は夫婦の円満